前営業日トピックス
東京市場では、パウエルFRB議長の議会証言を控えて様子見ムードが強まる中、五・十日の実需のドル買い観測などから、仲値公示にかけてドルは底固い動きとなり、ドル/円は一時108.99まで上昇し、5/31以来の高値を更新した。上昇一服後は、狭いレンジ内の動きが続いた。
米国市場では、パウエルFRB議長の下院での議会証言が月末のFOMCでの利下げを示唆する内容であり、ハト派的だったことを受けて米10年債利回りが低下したことからドルは主要通貨に対して下落した。さらに、FOMC議事要旨で多くのメンバーが利下げの根拠が強まったとの認識を示したとの内容が伝わったことも加わり、ドル/円は序盤に付けた108.96から108.35まで下落した。一方、株式市場では、利下げが示唆されたことを好感し、主要3指数はいずれも最高値を更新する動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)パウエルFRB議長の議会証言を控えて様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開となった。その中で、五・十日にあたり、仲値公示にかけて実需筋によるドル買いのフローも観測され、ドル/円は108.99まで上昇し、5/31以来の高値を更新した。さらに、米10年債利回りが2.0631%から2.0822%まで上昇したこともドルの下支え要因とんなった。
(2)仲値公示通過後は、実需のドル買いも一服し、ドル/円は上値の重い動きとなった。午後に入り、日経平均株価が上値の重い動きが続いたことなどもあり、ドル/円は狭いレンジ内の動きが続いた。
(3)序盤に発表されたパウエルFRB議長の議会証言の原稿で、6月のFOMC以降の不透明感が引き続き見通しを曇らせるとするなど、ハト派的な内容だったことから、7/30-31のFOMCでの利下げが示唆されたと受け取られ、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに質疑応答でも好調な雇用統計の結果を受けても見通しを変えていないとしたことで、米10年債利回りが序盤の2.103%から2.037%まで低下したことも影響した。その後のFOMC議事要旨では、多くのメンバーが利下げの根拠が強まったとの認識を示したとの内容が伝わり、ドルは下げ幅を拡大し、ドル/円は108.35まで下落した。
本日のトピックス
欧州市場では、ドイツやフランスの消費者物価指数の発表が予定されており、特に最近ではドイツの経済指標の冴えない結果が続いていることから注目したい。米国市場でも消費者物価指数の発表が予定されている。前回は、前年比ベースで2月以来、コア指数は2018年2月以来の低水準となったが、今回はさらに低下が予想されている。一方、昨日に続き、上院でのパウエルFRB議長の議会証言が予定されているが、証言原稿は前日の下院での証言と同じであることから、大きな反応はないと考えられるが、一応注目しておきたい。また、複数の米当局者の発言予定もあり、こちらの発言の内容にも注目したい。
7/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
6月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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1.6% | 1.8% |
前回は、市場予想を下回り、前年比ベースでは2月以来の低水準となった。一方、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数も予想を下回る結果となり、2018年2月以来の低水準となった。今回は、さらに低下が予想されており、結果が注目される。コア指数は横ばいが予想されているが、2%を切る場合には影響が大きくなる可能性も考えられることから注目したい。 |