前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、上昇して始まった日経平均株価が上げ幅を縮小し、午後にはマイナス圏まで下落したことが影響し、上値の重い動きが続いた。欧州市場では、ドル買いが優勢となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。ただ、欧州主要株価が軟調な動きとなったこともあり、クロス円はやや上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された雇用関連や製造業関連の経済指標が市場予想を上回る結果となったことからドル買いとなる場面もあった。しかし、トランプ米大統領がFRBの金融政策やドル高に対して不満を表明したことが嫌気され、ドルは大半の主要通貨に対して下落した。ただ、その後、ホワイトハウスが大統領は金融当局の独立性を尊重しているとの声明を出したことで、ドルはやや持ち直した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の米国市場で113円台に乗せられなかったことから、投機筋などがポジション調整のドル売り・円買いを先行させ、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。日経平均株価が堅調な動きとなったことなどもあり、一旦値を戻したものの、上値の重い動きとなった。日銀が通告した国債買入オペで、残存10年超25年以下の国債買入額を100億円減額、残存25年超は100億円減額したが、反応は限定的だった。
(2)午後に入り、日経平均がマイナス圏に下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。そして、欧州勢がドル買いを先行させたこともあり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなったが、クロス円は欧州主要株価の下落などもあり、上値の重い動きとなった。また、ポンドは英国の経済指標が悪化したことから、7/9以来の安値を付けた。
(3)米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数やフィラデルフィア連銀製造業景況指数が市場予想を上回る結果となったことからドル買いとなる場面もあり、ドル/円は一時1/9以来の高値を付けた。しかし、トランプ米大統領がインタビューで「FRBは追加利上げを望んでおり、そうした状況を喜ばしいとは感じていない」とFRBの金融政策を批判したことや、「ドル高は米国を不利な立場に置く」とドル高に対して不満を表明したことが嫌気され、ドルは大半の主要通貨に対して下落した。
(4)ホワイトハウスは、金融当局の独立性を尊重する立場から金融政策にコメントするのを長年避けてきた。ホワイトハウスは、トランプ大統領の発言後に、大統領は金融当局の独立性を尊重しているとの声明を電子メールで発表するなど、火消しに動いたこともあり、ドルはやや持ち直した。
本日のトピックス
トランプ米大統領のインタビューでの発言を受けて、FRBの利上げペースが鈍化するなどということはないだろうが、ドル高に対する不満も出ていて、マーケットではいつ再び牽制発言があるのか不安感もあり、時間が経過するまでドル買いに積極的になり難いかもしれない。
ただ、1月につけた年初来高値の113.39円(トランプ大統領の発言前に113.17まで上昇)が視野に入っていただけにやや消化不良であり、不安感が鎮まれば再びトライする可能性もあるだろう。ただ、昨日の今日では警戒感も強く、米国の主要な経済指標の発表もないことから、週明け以降か?
一方、マーケットでは米中貿易戦争の対抗措置として、中国が人民元相場を切り下げる可能性があるとの懸念も一部で出ており、可能性は低いと考えられるが、警戒する声も聞かれる。