前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、序盤から底固い展開となった。その後、EUの不法移民・難民流入の問題が進展したことや、下落して始まった日経平均株価がプラス圏に上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、マーケットでは米中貿易摩擦への懸念が燻り続けていることもあり、その後は上値の重い動きとなった。
海外市場でも、EU首脳会議が移民・難民問題で合意したことが改めて材料視され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米経済指標もまずまずの結果となったことも影響した。終盤には、トランプ米大統領が法人税率の引き下げに言及したことから、米国の財政問題も意識され、ドルは主要通貨に対して下落した。一方、ユーロは、EU首脳会議が移民・難民問題で合意したことが引き続き好感され、終盤までドルや円に対して堅調な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新規材料に乏しい中、日経平均株価が軟調な展開で始まったことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。そして、月末・期末にあたり、駆け込み的な実需のフローから仲値公示近辺ではややドル買いも見られた。
(2)EU首脳会議で移民問題が合意に達したとの報道を受けて、ユーロ買いが強まり、また主要株価や、米長期金利が上昇したことを受けて、ドル/円やユーロ以外のクロスも堅調な動きとなった。ただ、米中の貿易摩擦への懸念が燻っていることや、米長期金利の低下などもあり、やや上値の重い動きとなった。
(3)EU首脳会議が移民・難民問題で合意したことで、投資家がリスク選好に積極的となったことで、相対的に安全な資産とされる円を売る動きが先行し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。そして、米経済指標もまずまずの結果となり、特にPCE物価指数の上昇率が米FRBが目標とする2%を大きく上回り、利上げ加速観測が強まる可能性があるとの見方が広がったことも、ドルの下支え要因となった。ドル/円は、一時5/22以来の高値を付けた。
(4)トランプ米大統領が、税制改革第2弾として法人税率を20-21%に下げる方向で検討していることを明らかにしたが、米国の財政への影響も意識され、ドルは主要通貨に対して下落した。また週末のポジション調整の動きも出ていた。一方、ユーロは、EU首脳会議が移民・難民問題で合意したことを好感してドルや円に対して堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
EU首脳会議が移民・難民問題で合意したことが引き続き材料視され、ユーロは堅調な動きが続く可能性が考えられる。ただ、米国の通商問題に対する懸念が燻っており、米国が対中制裁関税を発動する7/6までに落としどころを見つけられるかがポイントとなっている。それまでは、牽制が続き不安定な動きとなる可能性が考えられる。そして、米中の対立が悪化するようなら、再びリスク回避が意識される可能性も考えられる。また、週末に米雇用統計の発表を控えており、週明けから主要な米経済指標の発表が続くことから、結果に注目したい。本日は、ISM製造業景況指数が予定されており、先週末の米経済指標がまずまずの結果となったことから、引き続き良好な結果となるようならドルの下支え要因となるだろう。
7/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
6月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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58.5 | 58.7 |
前回は、市場予想を上回り、2017年7月以来の低水準となった4月から上昇した。今回は、前回から若干の低下が予想されているが、大きな低下とならないようなら、引き続き高水準が維持されることから、相場への影響は限定的だろう。 |