前営業日トピックス
東京市場では、4/21に北朝鮮が核実験場の廃棄などを発表したことを受け、投資家のリスク回避姿勢が後退し、安全資産とされる円を売ってドルを買う動きが優勢となった。その後は、米長期金利の上昇を受けて、日米金利差の拡大を意識した円売りが入ったものの、日経平均株価が軟調な動きとなったことや、日本国内の政治的な懸念などもあり、上値の重い動きが続いた。
海外市場に入り、米国債利回りの上昇が続いたことから円売りが優勢となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。円は大半の主要通貨に対して下落した。また、米中古住宅販売も予想を上回る結果となったことも加わり、堅調な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末の引け後に、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験の停止と核実験施設の廃棄を表明したことが改めて材料視され、ギャップアップして始まった。また、米長期金利の上昇を受け、日米金利差の拡大を意識した円売りも入り、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(2)米10年債利回りが2.977%まで上昇し、2014年1月以来4年3ヵ月ぶり高水準をつけたことから、ドル買い・円売りが入る一方、日本の国内メディアの世論調査で、内閣支持率の低下が報道されたこともあり、安倍首相の3選に不透明感が懸念されたことが意識され、上値の重い動きとなった。
(3)米10年債利回りがさらに2.9957%まで上昇するなど、米国債利回りの上昇を受けて日米の金利差拡大が意識され、ドル買い・円売りが優勢となった。また、米住宅関連の経済指標が良好な結果となったことや、北朝鮮情勢に明るい兆しが見られ始めたことも引き続き材料視され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。特に、ドル/円は2/13以来、約2ヵ月ぶりの高値を付けた。
本日のトピックス
北朝鮮情勢など、リスク緩和観測を背景に、円売りが続く可能性も考えられる。ただ、今後の推移を見極めたいとの思惑が比較的根強いことや、国内の政治的不透明感もあり、やや上値の重い動きも考えられる。
米国市場では、来週にFOMCを控えて金融当局者の発言はないものの、消費者信頼感指数、新築住宅販売件数など主要な経済指標の発表が予定されており、結果が注目される。
4/24の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
4月消費者信頼感指数
消費者信頼感指数は、米国のCB(Conference-Board=コンファレンスボード「全米産業審議委員会」)という民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化したもの。5,000人の消費者にアンケート調査を行い、現在と半年後の景況感、雇用、所得の項目で回答した結果を指数化している。
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126.0 | 127.7 |
前回は、市場予想を下回り、今年初めての低下となった。現況指数、先行指数ともに低下となったことが影響した。今回は、引き続き低下が続くと予想されているが、歴史的高水準が続いていることや、比較的楽観的な見方も根強いことから、若干の低下なら相場への影響は限定的だろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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63.0万件 | 61.8万件 |
前回は、市場予想を下回り、3ヵ月連続で減少し、昨年10月以来の低水準となった。住宅価格の急上昇で買い控えの動きが広がったことが影響した。今回は、前回から増加が予想されているが、在庫が高水準にあるものの、住宅価格の低下が見られれば、予想以上の増加の可能性も考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、雲下限近辺での底固い動きが続いていたが、雲下限ラインから乖離して堅調な動きとなった。そして、いよいよ雲上限に近づいており、ここを上抜けて一目均衡表の三役好転のシグナル((1)基準線転換線の交差、(2)遅行スパンの価格帯上抜け、(3)雲上抜け)となるのか注目したい。なお、雲上限ラインは、本日は109.314、25日が109.210、26日が109.012、27日が108.250となる。ただ、小幅上昇が続いた後に大きく上昇する場合には、一旦調整となるケースも多いことから、目先の動きには注意したい。
上値のポイント
(1)108.88(レジスタンス)(2)109.00(レジスタンス)(3) 109.31(本日の雲上限)
下値のポイント
(1)108.55(サポート)(2)108.28(サポート)(3)107.90(重要サポート)
気まぐれ投資コラム
今後のVIX指数の動きにも注目
VIX指数とは、「ボラティリティ・インデックス」略称で、CBOE(シカゴ・オプション取引所)がS&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出、公表している指数で、1993年から発表が開始されています。
VIX指数は、平常時10〜20の低い範囲内で推移しますが、経済危機や有事など株式市場の先行きに不安が生じた場合に数値が大きく上昇する特徴があり、別名「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家心理を示す数値としてもよく利用されています。目安としては、20を上回ると先行き不安が高まるとされ、20を下回ると安定的と判断されます。
最近の動きを見ても、その傾向は顕著に表れています。そして、このところのVIX指数は、20を下回る展開が続いており、株式市場の安定を示唆されていることから、投資家のリスク志向も強まりつつあり、やや円が売られる動きとなっています。今後も20以下での低位安定が続くのかに注目です。
※出所:Bloomberg
※出所:データを基にSBILMが作成