前営業日トピックス
東京市場では、前日の米国市場でドル安となった流れが一服し、序盤は小動きの展開となった。そして、日経平均株価が下落して始まると、ドル円・クロス円は下押しする場面もあったが、その後株価が下げ幅を縮小する動きとなったことや、実需のドル買いが入ったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、米FOMCやFRB議長人事発表などを控えて様子見ムードも強まりつつあり、限定的な動きが続いた。
海外市場では、米国債利回りの上昇などを受けて、ドル買い・円売りが強まった。また、米国市場では経済指標が予想を上回る結果となったことや、トランプ米大統領の発言が影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が下落して始まったことを受けて、ドル円・クロス円は序盤下押しした。その後は、株価が下げ幅を縮小する動きとなったことや、国内輸入企業や機関投資家の買いなどで、仲値公示にかけて堅調な動きも見られた。
(2)日銀が金融政策の現状維持を発表したが、2017年度の消費者物価見通しを下方修正したことで、大規模緩和策が当面続くとの思惑から円売りが強まる場面もあったが、ドル円・クロス円の上値は限定的となった。そして、米国の税制改革の先行き不透明感やトランプ政権のロシア関連疑惑が意識されたこと、また米国債利回りの低下もあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(3)ドイツ市場が休場となったものの、その他の欧州主要株価が堅調な動きとなったことや、米国債利回りの上昇を背景に、ドル買い・円売りが優勢となった。
(4)シカゴ購買部協会景気指数が2011年3月以来の高水準となり、その後に発表された米消費者信頼感指数が2000年12月以来の高水準となるなど、いずれも市場予想を大きく上回る結果となったこと受けて、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、トランプ米大統領が税制改革はクリスマスまでの実施が目標と発言したことを受けて、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。ただ、FOMCの声明やFRB議長人事の発表を控えて、その後は小動きの展開が続いた。
本日のトピックス
東京市場では、日本の主要な経済指標の発表がないことや、米FOMCの声明発表などを控えて様子見ムードも強まっており、限定的な動きが予想される。そして、月初めとなることから、実需の売買が活発になる可能性もあり、仲値公示近辺などの節目の時間帯の動きには注意したい。一部の日本の機関投資家の資金運用計画では、円高局面でのオープン外債投資の検討を表明していることもあり、ドル/円の下値は限定的だろう。
米国市場では、ADP雇用統計やISM製造業指数、FOMCなど重要な指標発表が予定されており、結果に注目したい。特に、市場予想と大きく乖離した翌月の発表であり、思惑も交錯している。また次期FRB議長の決定を翌日に控えており、こちらの思惑も交錯していることから、値動きには注意したい。
11/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
10月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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20.0万人 | 13.5万人 |
前回は、市場予想と一致し昨年10月以来の低い伸びとなった。2つの大きなハリケーンの襲来が雇用に影響を及ぼす結果となった。ハリケーンの影響は、一時的との見方がある一方、自然災害の場合、雇用に与える影響は数ヵ月続くケースもあることから、結果に注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
10月ISM製造業景況指数
ISM製造業景況指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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59.4 | 60.8 |
前回は、市場予想を大きく上回る結果となり、2004年5月以来の高水準となった。ハリケーンの影響が残っていることも一部で懸念されたものの、新規受注が伸びるなど、復興需要が影響した可能性が考えられる。今回は、前回から若干の低下が予想されているものの、引き続き60を上回るようなら、ドル上昇を後押しする可能性もあるだろう。 | ||||
翌3:00 | 米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含む7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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1.00%-1.25% | 1.00%-1.25% |
前回は、予想通り政策金利が据え置かれたものの、10月からのバランスシートの縮小が発表されたことや、年内のあと1回の利上げを見込んでいる当局者が増えたことで、年内の追加利上げの期待が高まったとの見方が広がった。今回も政策金利は据え置きがコンセンサスとなっており、金利先物市場でも金利据え置きの予想確率86.6%となっている。引き続き、年内の追加利上げや、来年の利上げのペースに関する声明があるのか注目したい。 |