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米9月雇用統計を終え、10日発表の米9月消費者物価指数に注目
2024/10/8
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
米経済は健全な労働市場に支えられ回復力を維持
4日発表の米9月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+25.4万人と市場予想(+15.0万人)を大幅に上回り、失業率も4.1%と市場予想(4.2%)を下回り2ヵ月連続で改善しました。加えて、時間給賃金も前月比+0.4%/前年比+4.0%といずれも上方修正された8月からさらに0.1%上昇し、いずれも市場予想(+0.3%/+3.8%)を上回りました。そのため、米労働市場の底堅さが確認され、米10年債利回りは3.985%と8月8日以来2ヵ月ぶりの水準へ上昇。日米金利差が容易に縮小し難いとの見方に加え、米経済のソフトランディングへの期待とともにNYダウは4日ぶりに史上最高値更新したことも好感、ドル円は149円00銭へ上昇し148円71銭で先週末の取引を終えました。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
9月雇用統計は、例年、レジャー関連やホスピタリティー産業での季節要因によるレイオフ(一時的解雇)や新学期開始の影響を調整する必要があり、予想外に上振れる傾向があるとされ、昨年9月雇用統計でも就業者数(速報値)は+33.6万人と市場予想(+17.0万人)を上回ったことに続き、今年も大幅増となりました。
また、1.0倍を割り込むと失業率の悪化が進むとして注目された労働需給ギャップ指数(求人数÷失業者数)も7月(1.07倍)から8月は1.13倍へ改善したことも労働市場の堅調を裏付ける結果となりました。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
10日発表の米9月消費者物価指数
先週末の米雇用統計を受けて次回11月6-7日のFOMCで0.25%の利下げが決定されるとの確率が94%、現状維持が6%となり、0.5%の利下げ確率は0.0%となりました。
こうした中、9日に0.5%の利下げを決めた9月FOMC議事要旨、10日に米9月消費者物価指数が発表されるだけに、今後のFRBによる利下げペースを占う上で注目されます。
9月30日に講演したパウエル議長は、「金融政策は、時間とともに中立スタンスへ移行している」「インフレリスクと雇用目標はほぼ均衡している」として「急いで利下げをしようとしているわけではない」と述べており、CPIが予想を大幅に上回る鈍化がない限り0.50%の利下げ観測が高まることはないと見られています。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット
8月の消費者物価指数はエネルギー価格(前年比-4.0%)が7月(+1.1%)から大幅に低下したこと、アマゾンなど小売りがセールを実施したことが指数の低下圧力になりました。一方、住居費は前年比+5.2%と7月(+5.1%)から小幅に上昇したほか、サービス価格は前年比+4.9%と7月から横這いとなったことから総合指数は前年比+2.5%と7月(+2.9%)から鈍化したものの、コア指数は+3.2%と7月から横這いに留まりました。
中東情勢を巡る地政学リスクが意識されるものの、9月CPIの集計時点では原油価格の上昇は見られず、8月のNY原油価格(終値)の平均は75.43ドルだったのに対し、9月は69.58ドルと低下していることから総合指数が鈍化すると予想される根拠の一つとなっていると思われます。その一方、子供が既に成人し住宅ローンも完済のシニア世代は老後資金と蓄え、レジャー、接客、ヘルスケアなどサービスに対し旺盛な消費を続けているとされます。加えて、9月のNY株式市場の月間上昇率は3指数ともに大きく上昇しており、こうしたこともサービス価格の高止まりに影響しているかもしれません。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
いずれにしても、9月CPIを受けてパウエル議長が9月30日に述べた「急いで利下げをしようとしているわけではない」との見解を大きく変えることにならなければドル円は日足・雲の下限(146円88銭)を下回ることもなく底堅い動きを続けると予想される中、心理的節目とされる150円00銭を上抜けるか注目されます。
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