先週発表された米経済指標の大半が市場予想を上回ったほか、公表された7月FOMC議事要旨では、FRBがインフレの上振れリスクを認識していることが明らかとなったことも米長期金利に上昇につながり、ドル円の上昇をサポートする一因となりました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
また、中国の不動産会社や信託大手の経営破綻や債務不履行のリスクが相次いで浮上。こうしたリスク回避を背景にドルが幅広く買われるとともに、オフショア人民元が昨年11月以来の1ドル=7.35元手前まで対ドルでの人民元安進行とともにドル円は17日に一時146円56銭まで上昇。しかし、人民銀行が国有銀行にドル売り・人民元買いの介入強化を指示し、人民元安阻止の姿勢を示した影響もあり、米10年債利回りが7日ぶりに低下する中、持ち高解消売りとともに一時144円93銭へ反落したものの145円台前半を回復して先週末の取引を終えています。
パウエルFRB議長の講演
今週はカンザスシティ連銀の年次シンポジウム(24日〜26日)が米ワイオミング州ジャクソンホールで開催され、25日(日本時間23時05分)から行われるパウエルFRB議長の講演が9月以降の金融政策の行方を占う上で注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
7月27日に発表された米4‐6月期GDP(速報値)は前期比+2.4%、前期比年率+6.5%とコロナ禍前の2019年10‐12月期を上回る成長となりました。中でもGDPの約7割を占める個人消費が、外食や宿泊、娯楽、自動車などの好調にサポートされ+11.8%と、1‐3月期(+11.4%)に続き2四半期連続で2桁の伸びを記録し、企業の設備投資も+8.0%と増加、個人消費とのポジティブな循環を示唆しました。加えて、FRBが物価の目安として注目している個人消費支出(PCE)コア価格指数が+6.1%と、1‐3月期(+2.7%)から大幅に上昇。さらに、こうした中、16日にアトランタ連銀が発表した経済予測モデル「GDPナウ」による7‐9月期の成長率見通しは+5.8%となったほか、8月4日の7月雇用統計でも失業率が3.5%と6月(3.6%)から改善するなどインフレの高止まりを示唆する指標が相次いでいます。
こうした状況でパウエル議長がジャクソンホールでの講演テーマを「経済見通しについて」としたことから6月FOMCで示された成長率やインフレ見通しについて9月FOMCで上方修正を示唆する発言となるか注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
8月10日に発表された米7月消費者物価指数は前年比+3.2%と市場予想(+3.3%)を下回ったものの6月(+3.0%)から上昇。また、コア指数も前年比+4.7%と6月(+4.8%)から鈍化したものの、依然として6月FOMCで示された年末時点の予想(3.7〜4.2%)を上回る状況が確認されました。
講演内容の注目点
1)インフレ見通しについて高止まりの可能性とともに、年内少なくともあと1回の利上げの必要性に言及するか
2)データ次第であるとこれまでの発言を踏襲するか
3)実質金利の上昇やこれまでの金融引き締めの影響、さらに中国経済の減速懸念が米経済に及ぼす影響も踏まえ、年内の追加利上げに慎重な見通しを示すか
前述1)、2)のケースであれば反応は限定的に留まる可能性があるものの、6月のFOMCで示された見通しが上方修正されるとの思惑とともにドル買いにつながる可能性が高まると思われます。一方、3)のように米経済の先行きに慎重な見通しを示すことになればサプライズと受け止められ、ドル売りで反応する可能性に注意が必要です。
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