米住宅価格や食料品価格が低下

- ※出所:FHFA(米連邦住宅金融局)
米不動産会社レントが掲載物件に基づいて行った調査で、全米の家賃上昇率は2021年10月から昨年8月までおよそ1年に渡り、前年比で2桁の伸びを記録していたものの、昨年9月以降、1桁の伸びへ鈍化。さらに、5月の全米家賃は前月比+1.4%と上昇が続いた一方、前年比では‐0.5%と低下しました。ちなみに全米家賃の中央値は1,995ドル(約28万円)となっています。また、FHFA(米連邦住宅金融局)が公表している今年1−3月期全米各州の住宅価格もニューヨーク州で前年同期比+4.22%まで、上昇率の最も高いサウスカロライナ州でも前年同期比+9.53%と鈍化していることが明らかになっています。
また、米労働統計局によると、労働市場が最も逼迫していた2021年12月には、「宿泊・外食サービス」の求人件数は167万件でしたが、今年4月には114万件まで減少。コロナ感染拡大前に比べ依然多い水準となっているものの、逼迫はかなり緩和されているといえそうです。

- ※出所:米労働省
また、トラック輸送費と多くの食料価格の下落(鶏ムネ肉:前年比-59%、アボガド:-54%、鶏卵:-43%など)は外食チェーンに仕入れ価格の低下をもたらす結果となりました。実際、先週13日に発表された米5月消費者物価指数では肉/鶏肉/魚/鶏卵が前年比+0.3%と4月の+2.8%から大幅に鈍化したほか、14日に発表された米5月卸売物価指数は前年比+2.8%(4月:+3.1%)と2021年2月以来2年3ヵ月ぶりの低水準となるなど、インフレの鈍化を確認する結果となりました。

- ※出所:米労働省
パウエル議長の議会証言、年内2回の利上げ見通しに自信を示すか?
先週のFOMCでは11会合ぶりに政策金利を据え置き、現状維持を決めた一方、声明では年内2回の利上げを示唆するなど、政策金利見通しおよびコアインフレ見通しを3月時点から上方修正しました。その一方、パウエル議長は会見で7月の利上げ再開は確定していないとしたほか、昨年3月からの金融引き締めサイクルが最終段階に入っていることを明らかにしました。今後の金融政策はデータ次第としながらも、エネルギー価格のほか、これまで高止まりが続いていた家賃価格に低下傾向が明らかになる中、食品価格も低下傾向が続いており、今回、利上げ停止を決めた中で、年内2回の追加利上げを示唆したことに対し、利上げ再開も含めて懐疑的な声が聞かれています。
こうした中、米リッチモンド連銀バーキン総裁からは「インフレが比較的迅速に2.0%のターゲットに向けて低下することを確信している」としながらも、「伸びが鈍化しない場合は一段の取組みが必要になるだろう」と発言。また、ウォラーFRB理事は、インフレ低下の進展が鈍いため、もう少し金融引き締めを継続する必要があるだろうとの見方を示していますが、年内2回の利上げとの見通しを確信できるものではないと見られます。
一方、金融緩和策の現状維持を決定した日銀の植田総裁は会見で、粘り強く金融緩和を継続するとの考えを改めて強調したことからドル円は前日更新した昨年11月23日以来の安値141円50銭を上抜け、昨年11月22日以来の141円91銭まで、さらに週明けの東京市場では141円97銭まで円安が進んでいます。(昨日19日 正午当時)
今週21-22日にはパウエル FRB 議長による議会上下両院での議会証言のほか、21日には FRB副議長に指名されたジェファーソン理事、FRB 理事に再指名されたクック理事、FRB理事に指名されたエコノミストのクーグラー氏による議会承認公聴会での発言が予定されています。そのほかボウマンFRB理事、クリーブランド連銀メスター総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁など複数の地区連銀総裁の発言が予定されています。これら複数のFRB幹部からの発言の中で、FOMCで示された年内2回の利上げに否定的な見解があった場合、ドル売りにつながる可能性もあるだけに注意が必要です。
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