今週27‐28日には植田日銀新総裁の下、初となる政策決定会合が開催され、28日の結果発表に続き、15時半からは総裁会見が行われます。10年続いた黒田前総裁による緩和政策からの修正(イールドカーブコントロールの修正/撤廃や物価見通しの変更など)について、何らかの変化があるのか、あるいは、次回6月の会合に向けた変更を示唆する内容となるのか観測報道も含めて、為替/株式/債券市場では週末まで神経質な値動きが続くものと思われます。
注目点1 物価展望レポート、2025年度のインフレ見通し
先週、時事通信社が2025年度のインフレ見通しを1.0%台後半になるとの見通しを報じたのに対し、共同通信社は2.0%近くになると発表。そのほか、日銀関係筋からの情報としてイールドカーブコントロール(YCC) 修正には慎重との見方も報じられたものの、国内債券市場の10年債利回りは上限とされる0.50%手前の0.47%前後で小幅な値動きを続けています。
しかし、先週末21日に発表された3月全国消費者物価指数は前年比+3.2%(2月:+3.3%)と小幅に鈍化した一方、生鮮食品を除くコア指数は前年比+3.1%と2月から横ばい、さらに生鮮食品とエネルギーを除いたコア・コアは前年比+3.8%と2月(+3.5%)から上昇。こうした状況下、4月の各企業の賃上げ実態を踏まえ、持続性があるとの見解を示す可能性もあり2025年度のインフレ見通しについて2.0%を上回る水準を示すのか、直近の物価上昇は一時的として2.0%を下回る水準に鈍化するとの見解を示すのか注目されます。そのため、仮に今回、緩和政策の継続を決定したとしても、植田総裁の会見も含め、次回6月以降の修正に含みを持たせる内容となるか焦点になると思われます。
注目点2 5月8日からコロナ感染の取り扱い「第5類」へ変更の影響
先週19日に発表された3月の訪日外国人は181.75万人と2月から34.2万人増となり、感染前の2019年の同月比で-34.2%と2月(-43.4%)から改善。しかも、2019年の訪日外国人全体の約30%を占めていた中国からの来日は低位に留まっている中での回復基調が続いているだけに、 5月8日からコロナ感染の取り扱い「第5類」への変更とともに、同日から観光目的の外国人入国者に対する水際対策も接種証明の提示不要となるだけに、今年8月にも2019年の同月の水準を回復すると見込まれると同時にインバウンド需要を押し上げ、2月時点の推計から1兆円ほど上積みが期待される5.9兆円に達し、GDPを1.0%強押し上げるとの試算も聞かれます。
こうした動きとともに労働市場での人手不足が一段と進む可能性とともに、賃金の上昇基調が続くことになるかもしれません。また、「第5類」への変更は国内旅行需要の拡大とともにレジャー/宿泊に絡む様々な業種での賃金の底上げにつながる可能性もあり、物価が下がりにくい状況は少なくとも年内は続くことになると思われます。
注目点3 審議委員の物価見通しや緩和策の副作用についての発言は?
一方、今月10日の総裁就任会見で植田総裁は1)黒田前総裁が結んだ政府との政策協定について見直す必要はないとした上で、緩和策単独での景気回復は限界があるが、政策の協力が効果を発揮する 2)現行のYCCを継続するということが適当であると考えているとしたほか、内田副総裁も現状の枠組みの中で緩和策を継続することが適切であるとし、氷見野副総裁は、総裁の考えに付け加えることはないとして、足並みを揃え緩和策継続、YCCの修正なしとの考えを示したことになります。
しかし、展望レポートでは審議委員それぞれの見通しがレンジで示されるだけに、インフ見通しとして2.0%台の数値を示す委員も現れるかもしれません。また、総裁会見後の質疑応答でも緩和策の副作用、さらに緩和策修正のタイミングなど、先々の見通しについての質問にどのように対応するか注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
注目点4 5月2-3日のFOMCが意識されるか?
4月7日に発表された米3月雇用統計では失業率が3.5%へ低下したほか、12日発表の3月消費者物価指数ではコアインフレが高止まりする現状を確認。さらに21日発表の4月製造業/サービス業PMIが予想以上に強い結果となったこともあり、今週27日発表の1‐3月期GDPも前期比+2.0%と前期(+2.6%)から鈍化すると見込まれるものの、潜在成長率(+1.8%)を上回ると見られます。一方、21日に大手格付け会社ムーディーズがUSバンコープ(資産規模6,820億ドル)、ザイオンズ・バンコープ(890億ドル)、バンク・オブ・ハワイ(240億ドル)など11社の格下げを発表したものの、5月2‐3日のFOMCで0.25%利上げするとの確率は90%前後で推移しています。
3月FOMCでパウエルFRB議長は、年内利下げを見込む委員はいないと発言したほか、引き続きインフレ対応を継続する姿勢を示しましたが、こうした政策スタンスに変更はないと見込まれます。そのため、日銀政策会合で現状の緩和政策の継続を強く主張すれば、円安が加速する可能性もあるだけに、物価上昇圧力が下がりにくいと見込まれる中、こうしたFRBをはじめとする各国中銀との政策の違いによる副作用について、どのような考えを示すのか注目されます。
注目点5 ドル円は?
1)日銀政策会合で6月以降も現行の緩和策継続に言及した場合、200日移動平均線(137円04銭)や3月8日の高値(137円91銭)を目指すか?
2)現状維持を決める一方、6月以降の緩和策修正を示唆した場合、日足・雲の下限や基準線(132円56銭、132円38銭)を下回り、4月5日の安値(130円60銭)を目指すか?
3)5月2‐3日のFOMCを見極めたいとする様子見姿勢から小幅な値動きに留まるか?
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