米労働市場は逼迫継続・・・
- ※出所:米労働省/ISM
2月3日に発表された米1月雇用統計は、就業者数が前月比+51.7万人増と昨年7月以来の大幅な伸びとなり、失業率も1969年5月以来最低となる3.4%まで改善。一方、時間給賃金は前月比+0.3%/前年比+4.4%と市場予想と一致したものの、12月分が上方修正されるなど、良好な内容となりました。加えて、同日に発表された米1月ISM非製造業景気指数も前月から+6.0Pts改善となる55.2と、景気判断の分かれ目とされる50.0を大幅に上回るとともに、米経済の下振れ懸念が大きく後退するとともに、その後2月14日に発表された米1月消費者物価指数も前年比+6.4%(コア:+5.6%)といずれも市場予想を上回ったことで、複数のFRB高官によるタカ派発言とともに3月21‐22日のFOMCで0.50%(1月31‐2月1日は0.25%の利上げ)の利上げ観測が高まる結果となりました。
雇用統計発表前の2月1日に発表された12月の求人件数は、1,101.2万件と高水準だった11月の1,044.0万件から増加。また、2日発表の新規失業保険申請件数も18.3万件と昨年5月以来の極めて低水準まで改善。今週末10日の雇用統計に向けて1月19日発表分以降、7週連続で20.0万件を下回っており、この間の平均も19.04万件と労働市場の逼迫を裏付けています。
人員を削減する大手企業も、米国の雇用全体から見ればほんの一部でしかないこと、12月の人員削減数は前年同月を上回りましたが、依然として感染流行前の12月の水準を下回っているのも事実です。さらに、離職者数も2021年12月と比べて少なく、多くの企業は、成長する中で採用を急ぎ過ぎたため、それを修正する一時的な動きではないかとみられています。さらに、労働力が必要とされている場所も多くあり、病院では看護師不足が続いているほか、自動車整備士や美容師をはじめとするその他サービス業でも、雇用が依然として感染前の水準を回復するには至っていないことも確認されています。また、労働力不足は、レジャー・ホスピタリティ産業のほか、政府系機関などでも、就業者数が感染前の水準を下回っている業種では雇用の増加が続いています。
米国への移民増加の影響・・・
昨年12月に年次改定された労働力人口データでは、昨年12月時点の労働力人口(就業者と失業者数の合計)が87.1万人上方修正されました。これは、昨年7月までの12ヵ月間における移民純増数が2017年以降で最大の水準を回復するなど、感染拡大期に入国制限などによって減少した移民の増加を示しています。移民の増加とともに労働力人口が増加する中で就業者数の増加が確認されていることから、米労働市場の堅調を示しているといえるかもしれません。2月6日にコンファレンスボードが発表した1月の雇用動向指数は118.74と、12月(117.06)から上昇し、雇用の伸びが今後数ヵ月続く可能性を示唆しています。(2月分は3月13日に発表予定)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
一方、時間給賃金の上昇は昨年12月(+4.9%)から2021年8月以降で最も低水準となる前年比+4.4%へ鈍化、また、前月比では+0.3%と12月(+0.4%)から昨年9月以来の水準へ鈍化しました。こうしたことも移民の増加が関係していると見られるほか、前述したレジャー・ホスピタリティ産業など比較的低賃金とされるサービス業の雇用増の割合が増えていることが影響していると思われます。しかし、こうしたサービス需要の回復が続いていることから人員を補充するために求人を増加させるとともに、時間給賃金も引き上げの動きが続いています。実際、米小売り大手ウォルマートは1月24日に米国の店舗で働く従業員約34万人の最低賃金を現状の12ドルから3月上旬に14ドルに引き上げる(前月比+16.7%)ことを発表。今回発表される2月雇用統計には反映されないものの、他でもこうした賃金上昇の動きが見られることから2月雇用統計では前年比4.7%に回復すると予想されています。
3月21‐22日のFOMCでは0.25%、あるいは0.50%の可能性も?・・・
賃金上昇を背景に個人消費が財(モノ)から外食や宿泊などへの旺盛な需要に支えられており、サービスに価格の上昇がインフレの高止まりの一因とされ、複数のFRB高官からもサービス価格のインフレを注視するとして、金融引き締め継続の必要性に言及する発言も聞かれています。
3月1日に発表された米2月ISM製造業景気指数は、47.7と好不況の節目とされる50.0を4ヵ月連続で割り込んだ一方、支払価格指数が1月から大幅に上昇したことを受け、インフレの高止まりが意識されたほか、雇用指数も49.1と1月から小幅な低下に留まりました。一方、3日に発表されたISM非製造業景気指数では新規受注が1月(60.4)から62.6へ上昇したほか、雇用指数も54.0と1月(50.0)から上昇し、昨年3月(54.0)以来の高水準(昨年3月の就業者数は前月比41.4万人増)となっていることに加え、昨年2月の就業者数は71.4万人増から90.4万人増へ19.0万人も上方修正(ちなみに昨年1月は50.4万人増から36.4万人増へ14.0万人下方修正)されており、こうした季節調整での上振れにも注意が必要かもしれません。
いずれにしても感染収束によって外食産業の回復のほか、航空運賃/ホテル/レジャーなど、サービス業を中心とした米労働市場の逼迫はサービス価格の上昇と無関係ではなく、雇用統計の結果に加え、3月14日の米2月消費者物価指数の結果次第では3月FOMCで政策金利を0.50%引き上げるとの観測が高まることになるかもしれません。それだけに、労働市場の逼迫とともに時間給賃金の数値も合わせて注目する必要があるかもしれません。
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