米12月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
1/10(金)22:30(日本時間)
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前回値: |
+26.6万人 / 3.5% |
事前予想: |
+16.2万人 / 3.5% |
米12月雇用統計 予想を確認!
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月予想 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | 16.6 | 21.9 | 19.3 | 15.6 | 26.6 | 16.2 |
失業率(%) | 3.7 | 3.7 | 3.5 | 3.6 | 3.5 | 3.5 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.3 | 0.4 | 0.0 | 0.4 | 0.2 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 3.3 | 3.2 | 3.0 | 3.2 | 3.1 | 3.1 |
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※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は1/6現在の予想平均値
2020年は波乱の年明け
2020年の年明けは、米軍によるイラン革命防衛隊の司令官殺害による中東情勢を巡る地政学的リスクを背景に、ドル円は107円台後半まで円高が進行したほか、大発会の日経平均株価も昨年(一時773円安まで下落し452円安で終了)同様に一時500円安まで下落するなど、波乱の展開となりました。
さらに、先週末1/3に発表された米 12 月 ISM 製造業景況指数が 2009 年 6 月以来、10 年半ぶりの 低水準に低下したことも円高を加速させる一因となりました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ISM製造業雇用指数も、前月の46.6から2016年1月(44.6)以来の低水準となる45.1へ低下しました。前月11月の雇用統計では、全産業に万遍なく雇用が拡大していることが確認される中、製造業では10月の2.5万人減から11月には4.8万人増へ改善が見られました。
今週末1/10に発表される米12月雇用統計では、製造業の雇用の改善が持続しているのか、11月の反動減が見られるのか注目されます。
原油価格上昇の影響は?
中東情勢を巡る地政学的リスクを背景に、先週末1/3に63ドル台まで上昇した原油価格は、週明け1/6の時間外取引で64ドル台へ上昇し、実に昨年4月末以来の高値まで跳ね上がりました。
12月雇用統計には影響ないと思われるものの、今後も原油価格が高止まりする状況が続けば、個人消費の抑制を真っ先に受けやすいレジャー産業などサービス産業の雇用に悪影響が及ぶ可能性が懸念されます。
直近のレジャー産業の雇用を見ると、9月の5.6万人増、10月の7.0万人増に続き11月も4.5万人増と前年同月(3.9万人増)と比べても堅調さを維持しています。しかし、12月も原油価格が上昇していたこともあり、影響が注目されます。
さらに、原油価格の上昇は、企業のコスト増を背景に時間給賃金の抑制につながる可能性もあるかもしれません。
また、地政学的リスクの高まりが一段と増すことになれば、企業の設備投資意欲の抑制につながりかねず、雇用拡大にブレーキを掛けることになるか注目されます。
すなわち、12月の雇用統計が市場予想に近い堅調な数値となった場合でも、先行きを懸念した動きがドル円の上昇を抑制する可能性があるかもしれません。
一方で、来週1/13にも中国の貿易交渉団がワシントンに派遣される可能性が一部で報じられており、米中通商交渉の一段の進展期待が企業の設備投資意欲の回復につながるか、時間差はあるものの先行きへの明るい材料が労働市場の堅調地合いを支援するのか、注目されます。
さらに、雇用統計前日の1/9には、英議会下院でEU離脱関連法案の採決が行われる予定です。EU離脱後のEUとの新たな通商条約の締結までの一年間で、明確な道筋を示すことができるのでしょうか。ポンドの対ドル、対円の影響が残る中で、雇用統計の発表を迎えることになるかもしれません。
中東情勢を巡る緊張が、雇用統計などの材料に目が向かわないほどの高まりを見せるのか、それとも新たな動きがないまま沈静化に向かうのか、こうした政治情勢にも注意しながら1/10の雇用統計結果を待つ展開となりそうです。
非農業部門雇用者数(万人)の推移
- ※出所:米労働省
米時間給賃金 前年比(%) 、 前月比(%)
- ※出所:米労働省