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【そうだったのか!ETF徹底解剖】 第4回 ETFは分配金が出るの?投資信託の分配金と何が違うの?

2017/12/20

投資信託の分配金とその良し悪しについて、昨今様々な議論がなされています。一方で、多くのETFは分配金を出します。しかし、米国のETFの分配金と日本の投資信託の分配金については、その原資として利用できるものやファンド内での利益留保の可否などの制度上の違いから、かなり異なったものとなっています。ここでは両者の分配金の違いについて説明します。

シンプルな米国ETFの分配金の考え方

米国ETFの分配金の考え方は非常にシンプルです。分配の原資となるのはその年(決算期)に得たインカムゲイン(配当・利子など)と実現キャピタルゲイン(売買によって実現化した値上がり益)です。これを1年間の間に分配することが求められています。ファンドがこれらの利益の分配を行わなかった場合(利益をファンド内に留保した場合)はファンド自体が課税される制度になっているため、それを避けるためにファンドはこれらの利益のすべてを分配するのが一般的となっています。
また、ETFのポートフォリオマネジャーは実現キャピタルゲインをなるべく発生させないように運用するのが一般的です。この部分がどれぐらいになるのかの推測は難しいのですが、アクティブ運用の回転率に比べるとパッシブ運用のETFの回転率は低いと考えられるため、米国ETFの分配金利回りを予想するのには、インカムゲインに焦点をあてるのが合理的です。
簡単な見積もり方法として、米国のETFの分配金利回りは、ETFが保有している銘柄の配当利回り(または債券の利回り)から経費率を引いたものが目安になると考えられます。

米国ETFの予想分配金利回り ≒ 保有銘柄の配当利回り(または債券の利回り) − 経費率

実際は上記の式とまったく同じになるわけではなく、受益権の口数の変化や実現キャピタルゲインの発生などにより変動はしますが、一つの目安として利用できる考え方です。

複雑な日本の投資信託の分配金

日本では保有銘柄の配当利回りや債券の利回りからかなり乖離した水準の分配金を出している投資信託が散見されます。これはなぜ可能なのでしょうか?
日本の投資信託(ここでは追加型株式投信(ETF以外)を指します)の分配原資については、非常に複雑な仕組みになっています。様々な要因が高い分配金利回りを可能としているのですが、大きくは、未実現のキャピタルゲインも分配原資として利用でき、かつファンド内に留保できることと、投資家の追加設定による分配金の目減り(希薄化)を防ぐための収益調整金の存在の2つがその主な原因となっていると考えられます。
米国と異なり、日本の投資信託ではファンドの決算時点における未実現のキャピタルゲインも分配原資とすることが可能であり、さらにその期に分配せずにファンド内に留保することが出来ます。さらに、一度留保した場合、その翌期に保有銘柄が値下がりしたとしても、前期に計上した未実現のキャピタルゲインとは相殺されず、その損失は繰越欠損金として別に計上されます。これによって、過去に大幅なキャピタルゲイン(それが未実現でも)を計上したファンドは、その後に保有銘柄の価格が下落しても分配原資を確保できていることになります。
また、投資家の追加設定の際に計上される収益調整金については、分配金の希薄化を防ぐ意味合いのものですが、ファンドの留保利益である分配準備積立金が積み上がっている場合は、追加設定があればそれ見合いの収益調整金が積み上がることになり、これもまた分配原資として利用することができます。
結果として、ファンド内に分配原資が大量に確保されることにより、年間に獲得したインカムゲインおよびキャピタルゲイン以上に分配金を出すことが可能となっています。
これについては、過去の歴史的な背景を含めて様々な要因によって現在の仕組みがつくられてきたと考えられています。
(詳しくは、大村敬一 「毎月分配型投信と預金類似性を有したわが国の投信分配制度」 早稲田商学部440号 PDFです。新しいウィンドウで開きます。を参照。)

国内投信と米国ETFの分配金の制度上の違い

 

国内投信

米国ETF

分配原資

インカムゲイン
実現キャピタルゲイン
未実現キャピタルゲイン
分配準備積立金(過去の留保利益)
収益調整金

インカムゲイン
実現キャピタルゲイン

ファンド内における
利益の留保

可能(非課税)
損失が出ても分配準備積立金とは相殺されずに別途計上

実質的に不可能(留保利益には課税)
損失は翌期に繰り越し可能(翌期の実現キャピタルゲインと相殺できる)

※一般的な場合を例示したものですべてのケースに当てはまるものではありません。

形態の違いによる分配金の違い

国が違えば制度も異なります。日本の投資信託の分配金の利回りが非常に高いことに関しては、それを可能とする制度上の理由があります。一方で米国のETFは非常にシンプルな分配金の出し方をしています。ちなみに、一般的な国内籍のETFもインカムゲインだけを分配する仕組みになっています。
投資ビークルの比較には、単純に数字の横比較だけでなく、その数字を可能としている制度上の違いにも目を向ける必要があります。特に国内籍の投資信託と海外のETFを比較する際は、その形態(ストラクチャー)の違いが比較すべき数値にどのように影響しているのかを知っておくことは非常に重要です。
分配金については、日米の制度上の違いから見かけ上の大きな差が数字として出てきますが、投資家としては、その根拠を理解したうえで投資対象を選択することも大切です。

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著者

渡邊 雅史(わたなべ まさふみ)

ウィズダムツリー・ジャパン株式会社 ETFストラテジスト

アクセンチュア株式会社にて金融機関向けコンサルティング業務に携わった後、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・ジャパン)にて、ポートフォリオマネジャー、ストラテジスト、及びETF部門専任のストラテジストを歴任。金融ベンチャー企業に参画した後、2016年よりWisdomTree JapanのETFストラテジスト。ETF市場の分析、ETFを用いた運用戦略の立案・提案業務などに携わる。
慶應義塾大学総合政策学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス修士(MBA)。
著書に『計量アクティブ運用のすべて』(金融財政事情研究会)(共著)

渡邊 雅史

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