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2024-12-10 16:46:23

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中国株 ココがPOINT!  〜アリババ、テンセント、資源関連株〜

2022/4/15
投資情報部 李 燕

4/7-4/14の香港市場は続落しました。米長期金利の上昇を嫌気したハイテク株安の米国市場の流れに追随し、中国株でも情報テクノロジーやバイオ関連銘柄が下げを主導しました。情報テクノロジーをめぐっては、中国当局による規制強化懸念の再燃も重石となりました。一方、資源関連株は持ち直しました。

今回は、年初来騰落率トップ3業種とそれぞれの業種で騰落率上位5位に入った銘柄を確認してみたいと思います。

図表1 ハンセン指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

注:4/14(木)までのチャートです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。

図表2 香港市場の業種別指数騰落率(4/14(木)までの騰落率)

注:業種別騰落率はハンセン総合指数が母集団です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図表3 香港市場の個別銘柄の騰落率と関連ニュース等(4/14(木)までの騰落率)

ハンセン指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
06862 海底撈(Haidilao) 14.0% 44.0% -10.9% 火鍋チェーン中国最大手。上海ロックダウンの一部解除や中国当局が「ゼロコロナ」政策を一部で緩和したことが好材料となった。ロックダウンの影響を直に受ける銘柄群が買われた。
00101 恒隆地産 [ハンルン・プロパティーズ] 6.3% 9.4% 4.9% 香港の不動産会社。上海ロックダウンの一部解除や中国当局が「ゼロコロナ」政策を一部で緩和したことが好材料となった。ロックダウンの影響を直に受ける銘柄群が買われた。
00688 中国海外発展 [チャイナオ-バ-シ-ズランド] 5.2% 26.0% 22.9% 中国不動産大手。上海ロックダウンの一部解除や中国当局が「ゼロコロナ」政策を一部で緩和したことが好材料となった。ロックダウンの影響を直に受ける銘柄群が買われた。中国の金融緩和期待も不動産株の上昇につながった。
01928 金沙中国 [サンズ・チャイナ] 4.6% 22.4% 3.9% カジノ大手。上海ロックダウンの一部解除や中国当局が「ゼロコロナ」政策を一部で緩和したことが好材料となった。ロックダウンの影響を直に受ける銘柄群が買われた。
01876 百威亜太[バドワイザーAPAC] 4.0% -2.4% 1.5% ビール大手バドワイザーのアジア子会社。上海ロックダウンの一部解除や中国当局が「ゼロコロナ」政策を一部で緩和したことが好材料となった。ロックダウンの影響を直に受ける銘柄群が買われた。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
02382 舜宇光学 [サニーオプチカル] -4.1% -10.3% -49.6% 大手光学機器メーカー。世界スマートフォン市場の低迷を受け、主力製品の出荷台数が3月にいずれも前年同月比で減少した。今後の見通しについても中国のロックダウン影響で慎重な見方を示すアナリストが増え、売り材料となった。
02018 瑞声科技 [AACテクノロジーズ] -4.5% -1.1% -47.9% 音響部品メーカー。世界スマートフォン市場の需要鈍化懸念に加えて、アナリストによる目標株価の引き下げが売り材料となった。同アナリストは競争激化よる利益率の悪化を理由に挙げた。
00992 聯想集団 [レノボ・グループ] -6.5% 3.9% -14.2% パソコン大手。1-3月の世界パソコン出荷台数が前年同期比5%減となった。同社は市場シェアで引き続き世界首位を維持したが、出荷台数の減少率は業界平均を上回った。ウクライナ情勢や中国のロックダウンによる影響で需要鈍化懸念が強まっていることも売り材料となった。
01810 小米集団 [シャオミ] -7.0% 0.0% -33.1% スマートフォン・IoT家電大手。大手証券会社が投資判断と目標株価を引き下げた。同証券会社はウクライナ情勢や中国のロックダウンの影響で世界および中国のスマートフォン需要は鈍化すると予想し、同社の2022年と2023年の出荷台数を下方修正した。
09988 アリババ・グループ -9.2% 18.1% -26.1% EC・フィンテック大手。下記1)と2)の悪材料が重なり、売られた。1)米著名投資家のチャーリー・マンガー氏が会長を務めるデイリー・ジャーナルがアリババへの持ち分を半分減らしたことが明らかになった。2)中国共産党の中央規律検査委が同社傘下のアントフィナンシャルの調査に直接関与したと報じられ、規制リスクがあらためて警戒された。

ハンセンテック指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
06690 海爾智家 [ハイアールスマートホーム] 9.0% 19.7% -14.1% 大手家電メーカー。初めて中国本土上場のA株の自社株買いを実施したことが好材料となった。
00522 ASMパシフィック・テクノロジー(ASMPT) 2.7% 1.1% -3.7% 半導体装置メーカー。半導体ファンドリー世界最大手のTSMCが2022年の設備投資額について400-440億ドルを維持すると表明し、買い手掛かりになった。SOX指数が下げ止まりの気配を示したことも買い安心感につながったもよう。
01347 華虹半導体 [フアホン・セミコンダクター] 2.5% 7.4% -26.9% 半導体受託生産(ファウンドリー)大手。上海ロックダウンの一部解除やSOX指数が下げ止まりの気配を示したことが買い手掛かりとなった。
09999 網易 [ネットイース] 1.3% 27.0% -5.9% ゲーム大手。中国当局が約8カ月ぶりに新たなゲームのライセンスを認可したことを好感し、ゲーム関連株が買われた。
00700 騰訊 [テンセント・ホールディングス] 0.0% 12.8% -18.5% ゲーム・フィンテック大手。好悪材料まちまちのなか、横ばいとなった。好材料:中国当局が約8カ月ぶりに新たなゲームのライセンスを認可した。悪材料:中国当局がアルゴリズムの規制強化を発表した。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
01810 小米集団 [シャオミ] -7.0% 0.0% -33.1% スマートフォン・IoT家電大手。大手証券会社が投資判断と目標株価を引き下げた。同証券会社はウクライナ情勢や中国のロックダウンの影響で世界および中国のスマートフォン需要は鈍化すると予想し、同社の2022年と2023年の出荷台数を下方修正した。
09988 アリババ・グループ -9.2% 18.1% -26.1% EC・フィンテック大手。下記1)と2)の悪材料が重なり、売られた。1)米著名投資家のチャーリー・マンガー氏が会長を務めるデイリー・ジャーナルがアリババへの持ち分を半分減らしたことが明らかになった。2)中国共産党の中央規律検査委が同社傘下のアントフィナンシャルの調査に直接関与したと報じられ、規制リスクがあらためて警戒された。
09626 ビリビリ -11.4% 53.9% -30.8% 動画プラットフォーム大手。中国当局がアルゴリズムの管理強化を示し、売り材料となった(詳細は本文をご参照願います)。(SBI証券取り扱いなし。リンク先は米国上場のBILIとなっています。)
01024 快手(Kuaishou Technology) -11.5% 5.8% -28.9% ショート動画大手。中国当局がアルゴリズムの管理強化を示し、売り材料となった(詳細は本文をご参照願います)。
00020 SenseTime Group Inc -12.3% -16.4% -23.3% AIソフトウェア大手。3月末に決算発表後、下落基調が続いた。上場後初の決算(2021年通期)はさえず、純損失額(調整後)が前年より60%拡大した。

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。

今週の中国株市況

4/7-4/14の香港市場は、ハンセン指数が1.3%下落、ハンセンテック指数は3.4%下落しました。米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は、3.3%下落しました。米長期金利の上昇を嫌気したハイテク株安の米国市場の流れに追随し、中国株でも情報テクノロジーやバイオ関連銘柄が下げを主導しました。

情報テクノロジーをめぐっては、中国当局による規制強化懸念の再燃も重石となりました。きっかけは、国家インターネット情報弁公室が4/8に、アルゴリズムの管理強化を示したからです。具体的には、アルゴリズムの乱用を防ぐため、ネット企業による自主調査を促すほか、一部のネット企業に対して現地調査を実施するといった内容が含まれています。"一部のネット企業"のリストは公表されませんでしたが、比較的アルゴリズムの使用が多いとされる動画配信大手のビリビリ(09626)や快手(01024)などが売られました。

中国ネット大手の代表格であるアリババ(09988)の大幅調整も投資家心理の悪化につながりました。アリババの調整要因は、1)アリババ傘下のアントフィナンシャルをめぐる不透明感、2)米著名投資家による持ち株比率の引き下げです。1)については、アント・フィナンシャルをめぐる調査に共産党員の汚職調査を担う中央規律検査委員会も関与したと報じられたからです。実際、この情報は必ずしも新しいものではありませんでした(*)。しかし、アルゴリズムの管理強化と同時に報じられたため、規制をめぐる不透明感があらためて意識されました。

(*アント・フィナンシャルがらみの汚職調査のニュースが最初に報じられたのは2021年8月です。当時、アリババの本拠地である杭州市の元トップに対し、中国当局が汚職調査を開始したと発表しました。その後、2022年1月に同氏は汚職が理由で公職から追放されました。)

2)については、昨年末にアリババの下落局面で同社のADRを買い増した米著名投資家のチャーリー・マンガー氏が一転して持ち分を半分減らしたことが判明しました。チャーリー・マンガー氏が会長を務める米デイリー・ジャーナルの届出によると、同社のアリババADRの保有株数は2021年12月末に2021年9月末比で倍増しましたが、2022年3月末は2021年12月末の半分に減少しました。売却の原因は不明ですが、タイミングは2022年1月-3月に中国ADRの上場廃止リスクが高まった時期と重なります。

なお、香港紙によると、アリババをめぐっては2022年1月-3月に米国上場のADRから香港上場株への転換が目立ちました。実際、この流れは中国ADRの上場廃止リスクが浮上した時から始まったものですが、2022年1-3月に加速したもようです。米当局が3月上旬に、中国ADR5社を「上場廃止リスクのある企業リスト」に掲載したからです。それを受け、情報テクノロジー業種指数を筆頭に中国株は大幅に調整しました(図表4)。しかしその後、中国当局が3/16に中国ADRの上場廃止問題をめぐり、米国と前向きに協議していると表明したことを受け、大幅に反発しました。

ただし、4月に入ってからは利益確定売りに押されており、株価の戻り幅はエネルギーや素材に劣後しています。米国上場の中国企業が2021年通期の決算報告書を提出した順に、米国の「上場廃止リスクのある企業リスト」に追加されたからです。ネット大手の2021年10-12期決算が全般的に弱かったことも、投資家の買い意欲を削いだようです。なお、中国当局は4/2に外国当局による中国企業の監査内容の立ち入り検査を認めると発表しました。それを受け、足元では中国ADRの上場廃止リスクはやや後退しました。ただし、最終的に米国当局との合意達成には依然として不透明感が残っており、今後の動向には引き続き注意が必要です。

一方、4/7-4/14の株価動向を確認してみると、情報テクノロジーが全面安とは限らず、テンセント(00700)やネットイース(09999)などゲーム関連銘柄は底堅い動きとなりました。中国当局が約8カ月ぶりに新たなゲームライセンスの認可を再開したからです。今回認可されたゲームライセンスにはテンセントやネットイースの作品は含まれていませんでした。しかし、市場では2018年と同様に、最終的に両社も認可の対象に含まれることを見込んでいるようです。

4/7-4/14の香港市場では素材とエネルギーも上昇しました。図表4の業種別年初来パフォーマンスを確認してみると、素材とエネルギーは軟調相場のなかで逆行高を維持しています。ウクライナ危機やロシア制裁を受けた資源高が背景にあります。

今回のトピックス

今回は、年初来騰落率トップ3業種とそれぞれの業種で騰落率上位5位に入った銘柄を確認してみたいと思います。

今年は軟調相場が続いているなか、4/14までの業種別騰落率を確認してみると、エネルギーや電気通信、素材、コングロマリット、金融、不動産がプラスとなりました。

エネルギーと素材は、ウクライナ危機やロシア制裁を受けた資源高、およびロシアとウクライナの停戦交渉の難航を受けた資源高の長期化見通しが背景にあります。両業種のうち、騰落率上位5銘柄(図表5)を確認してみると、石炭や石油・天然ガス、金・銅などの分野での資源大手が並びました。直近発表された2021年通期決算では、資源大手の好調さが目立ちました。これから発表される2022年1-3月期の決算も資源高を背景に堅調だった可能性が示されています。たとえば、先行して決算を発表したツージンマイニン(02899)は、2022年1-3月期に前年比4割増収、純利益は同144%増となり、市場予想を上回りました。ウクライナ危機の行方や資源価格の動向には留意が必要ですが、ロシア制裁の長期化を背景とした資源高が続くのであれば、資源関連株への投資意欲も続く可能性がありそうです。

同じく騰落率トップ3業種に入った電気通信の場合は、騰落率上位5銘柄には中国の通信キャリア大手が並びました。中国および世界経済見通しに不透明感が増すなか、伝統的なディフェンシブ銘柄として注目されたようです。安定的な収益と比較的高い配当利回りなどが評価のポイントとなったと考えられます。今年のような不確実性が高い相場環境では、分散投資によるリスクの抑制が重要になってくると思われますが、その際、通信キャリア大手は有力な投資候補といえそうです。

図表4 香港市場の業種別パフォーマンス(年初来、2021年12月31日=100)

※BloombergをもとにSBI証券が作成。

図表5 エネルギーと電気通信および素材の騰落率上位5銘柄(年初来、4/14まで)

エネルギー 騰落率上位5銘柄 関連分野 年初来騰落率
01171 エン州能源集団 [ヤンジョウ・エナジー] 石炭 67.7%
01898 中国中煤能源 [チャイナ・コール・エナジー] 石炭 63.6%
00883 中国海洋石油 [CNOOC] 石油・天然ガス 44.0%
01088 中国神華能源 [チャイナ・シェンファ・エナジー] 石炭 43.9%
00467 連合能源集団 [ユナイテッド・エナジー] 石油・天然ガス 29.2%
電気通信 騰落率上位5銘柄 関連分野 年初来騰落率
00728 中国電信 [チャイナ・テレコム] 通信サービス 20.0%
00941 中国移動 [チャイナモバイル] 通信サービス 18.3%
00008 電訊盈科 [PCCW] 通信サービス 13.4%
01883 中信国際電訊集団[Citicテレコムイン 通信サービス 9.5%
00215 和記電訊香港控股 [ハチソン・テレコミュニケーションス] 通信サービス 6.4%
素材 騰落率上位5銘柄 関連分野 年初来騰落率
02099 中国黄金国際資源[チャイナ・ゴールド] 62.6%
01208 五鉱資源 総合資源 59.2%
01258 中国有色鉱業[チャイナ・ノンフェラス・マイニング] 56.1%
02899 紫金鉱業集団[ズージン・マイニング] 金・銅 49.6%
01818 招金鉱業 金・銅 35.6%

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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