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2Q(3-5月期)決算速報(現地6/12引け後発表)
米半導体大手。無線・ブロードバンド通信向けの半導体やソフトウェアを製造販売しています。幅広いIP (知的財産権) ポートフォリオを有しており、無線通信向け半導体が強みです。アップルなど大手ハイテク企業に半導体を供給しています。
●決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):1,713.37ドル(+14.6%)
●予想比較売上高:124.90億ドル(予想120.6億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後EPS:10.96ドル(予想10.8ドル)〇市場予想を上回った
●比較可能粗利益率:76.22%(予想75.91%)〇市場予想を上回った
●24年10月期通期売上高見通し:510億ドル(予想505.8億ドル)〇市場予想を上回った
2Qの売上高、調整後EPS、24年10月期通期の売上高見通しが市場予想を上回りました。また、AI向けの売上の伸びが認められ、株式10分割も発表。好感した株価は引け後の取引で14.6%の大幅高となりました
引け後の時間外取引のチャート

決算のポイント
●半導体ソリューション売上高:72.0億ドル(予想71.2億ドル)〇市場予想を上回った
●インフラストラクチャー・ソフトウェア売上高:52.9億ドル(予想49.3億ドル)〇市場予想を上回った
●調整後R&D(研究開発)費用:15.3億ドル(予想15.4億ドル)市場予想をわずかに下回った
●CAPEX(資本的支出):1.32億ドル(予想1.295億ドル)市場予想を上回った
●1対10の株式分割を発表
●2QのAI向けの売上高は31億ドル、前年同期比280%増
●24年10月期通期売上高見通しは510億ドルで前年同期比42%増を見込む。買収したVMウェア*の成長が貢献
*VMウェアは仮想化・クラウド技術の大手。23年11月に買収完了。ソフトウェア分野の成長を狙う
経営陣の主なコメント
●売上高は 約125 億ドルで前年比 43% 増、VMウェアの買収が貢献。これを除いたオーガニック(自律的成長)は前年同期比12% 増。エンジンは主に AI 向け売上によるもの、AI向けは前年比約280% 増の 31 億ドルだった
●AI アクセラレータは、当社顧客のハイパースケーラー(巨大なデータセンターを運営するIT企業)がスケールアップ投資を加速。これら顧客向けの次世代カスタム AI アクセラレータを受注した。AIアクセラレータのネットワーク化は非常に困難だが、技術的に解決し取り組んでいる
●24年10月期通期は、AI向け売上は110 億ドルを超える大幅増加を予想している。AI 以外では第 2 四半期に底打ち、年度後半にむけ緩やかな回復を見込む。インフラストラクチャ・ソフトウェアはVMウェアの統合で成長が加速しよう
決算を受けたマーケットの反応
半導体事業ではAI向けが牽引、ソフトウェア分野では買収したVMウェアとの統合が進み成長加速が見込まれます。従来の主力事業ではスマホやネットワーク向けが年後半の回復を予想。とくに、スマホではiPhone向けに期待がかかります。アップルは今週、年次開発者会議で同社のAIシステム「アップルインテリジェンス」をOpenAIとの連携でiPhoneに組み込むことを発表。AIスマホは買い替えの起爆剤になると見られております。
また同社は株式の10分割を発表。最低投資金額は低下し2.4万円以下で投資可能と見られます(6/12終値基準、1ドル157円換算)。株価の見通しも明るいと言えそうです。
特集レポート:AI関連売上の大きさ(約20%)に加え、アップルiPhoneの回復でも注目されるブロードコム
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:1,562.58ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の4.63
同、相関チャート上位の同業はマーベル・テクノロジー(MRVL)、エヌビディア(NVDA)、マイクロチップ・テクノロジー(MCHP)
最低投資金額:約235,000円(6/12終値、1ドル157円換算)