先週の米国株式市場はナスダック総合指数とS＆P500指数が史上最高値を更新。NYダウも反発しました。10年債利回りは一時4.271％まで低下しました。6/5にはカナダ中銀が、6/6にはついに欧州中央銀行（ECB）が政策金利の引下げを実施。主要な中央銀行の金融政策が緩和方向に転換するなか、米国株式、債券とも資金流入が進みました。

今週は6/11〜12に米連邦公開市場委員会（FOMC）、6/13〜14に日本銀行が政策決定会合を行います。FOMCでは利下げの手がかり、日銀は国債買入れの減額などが注目を集めそうです。また、個別株ではアップル（AAPL）が週を通じて開発者会議（WWDC）を実施。生成AIに関する発表があるか、期待が高まります。エヌビディア（NVDA）は6/10に1対10の株式分割を実施。株価が1/10となり取引がしやすくなること、流動性の増加が期待されます。決算ではオラクル（ORCL）、アドビ（ADBE）といったところが発表を行います。依然、エヌビディアがマーケットの主役として存在感を発揮しています。生成AI関連銘柄や、電力などのセクターに物色のすそ野が拡大するか？上昇相場継続の鍵となりそうです。

SBIグローバルウオッチ　S&P500の年初来上昇上位、エヌビディアは2位、１位は？3位は？?※YouTubeに遷移します

S&P500指数構成銘柄500社のうち、497社が決算を発表。売上高が市場予想を上回った企業が267社（53.8%）、調整後EPS（1株当たり利益）が市場予想を上回った企業は398社（80.6%）です（6/7時点、Bloombergのデータより、SBI証券調べ）。7/11にはペプシコ（PEP）を皮切りに2Qの決算発表が始まります。

ブロードコム（AVGO）　6/12　引け後

米半導体大手。無線・ブロードバンド通信向けの半導体やソフトウェアを製造販売しています。幅広いIP (知的財産権) ポートフォリオを有しており、無線通信向け半導体が強みです。アップルなど大手ハイテク企業に半導体を供給しています。

3/7発表の1Q決算（米国株式OnePagerに遷移します）では売上が前年同期比4％増（半導体が同3％増、インフラストラクチャー・ソフトウェアが同7％増）、調整後EPSが同6％増で、いずれも市場予想を上回りました。半導体は各種産業向けの弱さを人工知能（AI）関連の伸びでカバーしています。株価は5/16に史上最高値を更新。現在は高値圏でもみ合っています。

マグニフィセント7といったところに注目が集中するなか、ブロードコム（AVGO）の株価も5年で約5倍を上回るパフォーマンスを示し、業容拡大と相まって目を引く存在です。積極的な買収戦略をとり成長を遂げる同社。今回の決算発表では、半導体の売上高に占める生成AI関連の比率、急成長を遂げるネットワーキング向け半導体事業の動向、スマホ向けなど既存事業の動向も確認したいところです。