先週末からにわかに衆議院の解散・総選挙の様相となってきています。安倍首相は28日に招集される臨時国会で解散に踏み切ると見られています。日程としては、11月初めのトランプ米大統領訪日の前、10月10日公示、22日投開票で調整・検討されているとの報道もあります。そこで本稿では解散・総選挙前後の過去の株価の動きを振り返ってみました。
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過去の解散・総選挙
表1は株価データを取得できた1966年12月27日の第1次佐藤内閣における衆議院の解散から、2014年11月21日の第2次安倍内閣における衆議院の解散までを掲載しています。2014年12月14日の衆議院選挙による衆議院議員の任期満了日は2018年12月13日ですから、現在は任期満了まで残り1年強となっているタイミングです。
なお、表1においては1993年6月の第40回衆議院総選挙後に日本新党(当時)による細川連立内閣、2009年7月の第45回衆議院総選挙後に民主党(当時)による鳩山内閣が非自民党の内閣として成立しています。
表1:過去の解散・総選挙日程
総選挙回次 |
解散日 |
総選挙日 |
招集日 |
解散後の内閣 |
---|---|---|---|---|
第31回 |
1966/12/27 |
1967/01/29 |
1967/02/15 |
第2次佐藤内閣 |
第32回 |
1969/12/02 |
1969/12/27 |
1970/01/14 |
第3次佐藤内閣 |
第33回 |
1972/11/13 |
1972/12/10 |
1972/12/22 |
第2次田中内閣 |
第34回 |
1976/11/04 |
1976/12/05 |
1976/12/24 |
福田内閣 |
第35回 |
1979/09/07 |
1979/10/07 |
1979/10/30 |
第2次大平内閣 |
第36回 |
1980/05/19 |
1980/06/22 |
1980/07/17 |
鈴木内閣 |
第37回 |
1983/11/28 |
1983/12/18 |
1983/12/26 |
第2次中曽根内閣 |
第38回 |
1986/06/02 |
1986/07/06 |
1986/07/22 |
第3次中曽根内閣 |
第39回 |
1990/01/24 |
1990/02/18 |
1990/02/27 |
第2次海部内閣 |
第40回 |
1993/06/18 |
1993/07/18 |
1993/08/05 |
細川内閣 |
第41回 |
1996/09/27 |
1996/10/20 |
1996/11/07 |
第2次橋本内閣 |
第42回 |
2000/06/02 |
2000/06/25 |
2000/07/04 |
第2次森内閣 |
第43回 |
2003/10/10 |
2003/11/09 |
2003/11/19 |
第2次小泉内閣 |
第44回 |
2005/08/08 |
2005/09/11 |
2005/09/21 |
第3次小泉内閣 |
第45回 |
2009/07/21 |
2009/08/30 |
2009/09/16 |
鳩山内閣 |
第46回 |
2012/11/16 |
2012/12/16 |
2012/12/26 |
第2次安倍内閣 |
第47回 |
2014/11/21 |
2014/12/14 |
2014/12/24 |
第3次安倍内閣 |
出所:衆議院および参議院よりeワラント証券投資情報室作成
解散・総選挙前後の株価の動き
解散・総選挙と株価の関係を見るために、解散「前」、解散「後」、総選挙「前」、総選挙「後」、国会招集日「後」の日経平均株価を表2にまとめました。なお、「前」とは解散、総選挙が行われた日の直前の取引所営業日の日経平均株価、「後」は当該日以後の取引所営業日の日経平均株価としています。
表2:過去の解散・総選挙前後の日経平均株価
総選挙回次 |
解散前 |
解散後 |
総選挙前 |
総選挙後 |
招集日 |
---|---|---|---|---|---|
第31回 |
1449.60 |
1444.91 |
1427.93 |
1457.50 |
1467.51 |
第32回 |
2251.37 |
2252.61 |
2348.03 |
2358.96 |
2288.14 |
第33回 |
4538.65 |
4553.77 |
4878.89 |
4859.40 |
5025.54 |
第34回 |
4619.04 |
4575.74 |
4569.63 |
4585.94 |
4900.19 |
第35回 |
6425.50 |
6410.96 |
6543.89 |
6495.70 |
6405.58 |
第36回 |
6733.00 |
6634.33 |
6813.85 |
6860.89 |
6810.41 |
第37回 |
9345.10 |
9294.71 |
9565.64 |
9484.17 |
9846.57 |
第38回 |
16629.09 |
16739.27 |
17595.36 |
17714.07 |
17639.32 |
第39回 |
37378.02 |
36778.98 |
37460.32 |
37222.60 |
33897.95 |
第40回 |
19925.51 |
19804.54 |
20331.53 |
20150.92 |
20425.64 |
第41回 |
21461.37 |
21547.02 |
21612.30 |
21302.95 |
20771.11 |
第42回 |
16694.30 |
16800.06 |
16963.21 |
16925.40 |
17470.15 |
第43回 |
10531.44 |
10786.04 |
10628.98 |
10504.54 |
9614.60 |
第44回 |
11766.48 |
11778.98 |
12692.04 |
12896.43 |
13196.57 |
第45回 |
9395.32 |
9652.02 |
10534.14 |
10492.53 |
10270.77 |
第46回 |
8829.72 |
9024.16 |
9737.56 |
9828.88 |
10230.36 |
第47回 |
17300.86 |
17357.51 |
17371.58 |
17099.40 |
17854.23 |
出所:衆議院、参議院、ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
変動率で見ると?
表2の解散前後、総選挙前後、解散前から召集後の日経平均株価の変動率を表3にまとめました。まず、解散前後で見ると、1996年9月の第41回以降、解散前後で株価は上昇していることが分かります。特に2009年7月の第45回、2012年11月の第46回の解散前後に大きく上昇していますが、第45回は自民党から民主党の、第46回は民主党から自民党へのいわゆる政権交代が期待された解散でした。
総選挙前後の変動率で見ると2014年11月の第2次安倍内閣における第47回の総選挙前後の変動率のマイナスが大きくなっています。当時、選挙では自民党と公明党の連立与党が憲法改正発議に必要な全体の3分の2を超えて圧勝しましたが、株式市場の上昇材料とはなりませんでした。
解散前から国会召集後までの期間でみると2012年11月の野田内閣における第46回の上昇(総選挙後に第2次安倍内閣が発足)が最も大きくなっています。これは自民党への政権交代による期待に加えて、金融政策において量的緩和政策の拡大が期待されたことを反映していたためです。
平均を見ると、解散前後でやや株高、総選挙前後でやや株安、解散前から召集後まで株高という傾向があるようです。これは過去ゆえ将来も同じことが起こることを保証するものではありませんが、解散から総選挙を経て国会が召集されて新しい内閣が成立するまでは平均で40日強あり、過去には株高となるパターンが多くみられました。
表3:過去の解散・総選挙前後の日経平均株価変動率
総選挙回次 |
解散前後 |
総選挙前後 |
解散前から召集後 |
解散日から |
---|---|---|---|---|
第31回 |
-0.3% |
2.1% |
1.2% |
50 |
第32回 |
0.1% |
0.5% |
1.6% |
43 |
第33回 |
0.3% |
-0.4% |
10.7% |
39 |
第34回 |
-0.9% |
0.4% |
6.1% |
50 |
第35回 |
-0.2% |
-0.7% |
-0.3% |
53 |
第36回 |
-1.5% |
0.7% |
1.1% |
59 |
第37回 |
-0.5% |
-0.9% |
5.4% |
28 |
第38回 |
0.7% |
0.7% |
6.1% |
50 |
第39回 |
-1.6% |
-0.6% |
-9.3% |
34 |
第40回 |
-0.6% |
-0.9% |
2.5% |
48 |
第41回 |
0.4% |
-1.4% |
-3.2% |
41 |
第42回 |
0.6% |
-0.2% |
4.6% |
32 |
第43回 |
2.4% |
-1.2% |
-8.7% |
40 |
第44回 |
0.1% |
1.6% |
12.2% |
44 |
第45回 |
2.7% |
-0.4% |
9.3% |
57 |
第46回 |
2.2% |
0.9% |
15.9% |
40 |
第47回 |
0.3% |
-1.6% |
3.2% |
33 |
平均 |
0.2% |
-0.1% |
3.4% |
43.6 |
出所:衆議院、参議院、ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
直近の解散前から召集日までの日経平均株価推移(解散直前の営業日を100として指数化)
出所:衆議院、参議院、ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
投資に活かすなら
解散前後で株高、解散前から召集後まで株高というパターンが今回も繰り返されることを前提とすると、①9月27日の解散前に日経平均を対象とするコール型eワラントを買い、解散日の28日に売却する短期トレード、もしくは、②27日の解散前に日経平均を対象とするプラス5倍トラッカーを買い、総選挙後の招集日に売却する1ヵ月強のトレードを検討できるでしょう。
①で選択する銘柄としては満期日までの期間が短く、権利行使価格が日経平均株価の水準よりもやや高めのコール型eワラント、②で選択する銘柄としては日経平均プラス5倍トラッカーであれば現状どれでも問題ありません。なお、②でトラッカー型を選択するのは、トラッカー型には時間経過による価格の目減りがないためです。数日から数週間で大きな値上がりを狙うのであればコール型、それより長い期間であればプラス5倍トラッカーと使い分けします。
<①の参考銘柄>
<②の参考銘柄>
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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