今週の株式見通し(2024/9/2~9/6)
今週(2024/9/2-9/6)の日経平均株価の予想レンジは38,000円-40,000円。東京株式市場はしっかりの展開か。8/30の米国株式市場は連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注目する7月個人消費支出(PCE)価格指数が予想通りの伸びにとどまったことで、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待が続いた。ダウ平均は史上最高値を更新し、ハイテク株主体のナスダックも3日ぶりに反発。半導体株指数(SOX指数)は約2.6%高と主要3指数をアウトパフォームしており、国内半導体関連株への買い戻しが指数上昇に寄与する公算が大きい。夜間取引の日経平均先物は39,000円台に乗せて終えており、9月相場は幸先の良いスタートが予想される。
9/2は米国市場が休場となるため、リスク選好で円安・株高が一段と進む可能性が高く、日経平均株価は週前半には4万円どころに近づく場面もありそうだ。
一方、東証プライム市場の騰落レシオ(25日)は8/30現在で127.2%まで上昇し、過熱圏入りの120%を超える水準になってきた。騰落レシオが過熱圏入りでも株価指数はしばらく上昇が続くことが多いが、今週は米国で雇用統計以外にもISM製造業景況指数をはじめ経済指標の発表が多い点に留意が必要となる。特に、予想以上に良好な経済データに米金利が予想以上に上昇の反応を示す場合には、相対的に戻りが鈍いハイテク指数のナスダックやSOX指数の大幅安につながり、日本株にもハイテク株安を通じて下押し要因となる。
そういった意味でも、ここからの焦点は米ハイテク指数の方向性がカギを握る。出遅れの観点から物色が強まれば日本株には追い風となる。一方、米ハイテク指数が8月上旬の安値からの反発が一巡することが米国株全体の調整につながる場合は日本株には逆風となる。
日経平均株価(図表1)はもみ合い基調にあるが、底堅さが目立ち始めている。8/30は、5日移動平均線(38,356円 8/30)上を意識した動きから上値を伸ばし、後場引け間際に100日移動平均線(38,594円 同)を上回る展開となった。4日連続の陽線を形成し、週間ベースでもほぼ高値引けとなった。
トレンドフォローの見方に大きな変化なく、目先的には再び騰勢に期待できるタイミングに入った可能性が高い。今週は心理的節目の4万円にワンタッチできるかが焦点となる。 25日移動平均線(37,124円 同)が下げ止まった点などもポジティブな要因となるが、下落基調が続く一目均衡表の基準線(35,172円 同)との離れが大きいため、突如36,000円~36,500円処に向けて押し戻される展開も想定しておきたい。
上値メドは、心理的節目の39,000円や4万円、7/17安値(41,054円)、7/11安値(42,102円)などがある。下値メドは、200日移動平均線(37,359円 同)や25日移動平均線、心理的節目の36,500円や36,000円、心理的節目の35,000円などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/8/1-2024/8/30)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、4-6月期法人企業統計、8月新車販売台数(9/2)、10年国債入札(9/3)、7月毎月勤労統計調査、30年国債入札(9/5)、7月家計調査、7月景気動向指数(9/6)がある。
企業決算の発表では、伊藤園(9/2)、内田洋、不二電機、ダイサン(9/3)、アインHD、ティーライフ(9/4)、積水ハウス、泉州電、フジコーポ、ロックフィール、ファースト住、ナ・デックス、エイケン工業(9/5)、カナモト、クミアイ化、アイル、日駐、ソフトウェアサー、ハイレックス、日本スキー、日ハウスHD、エイチーム、ナトコ、エッジテクノ、ゼネパッカー、大和コン、光・彩(9/6)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、中国8月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI)(9/2)、米8月ISM製造業景況指数(9/3)、米7月貿易収支、米7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)(9/4)、米8月ISM非製造業景況指数(9/5)、米8月雇用統計、独家電見本市「IFA2024」(独ベルリン、~9/10)(9/6)などがある。
米国企業の決算発表では、ダラー・ツリー、ホーメル・フーズ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(9/4)、ブロードコム(9/5)が予定している。
なお、9/2の米国市場は労働感謝の日で休場となる。
今週の注目銘柄!(9/2~9/6)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
141A | トライアルホールディングス | 4,600 | 2,800 | 九州地盤のディスカウント店。今年3月に上場し、足元では東証グロースの時価総額トップとなっている。高い利益成長率を続けているが、PERは30倍弱。神戸物産やイオンなどの小売同業と比べてバリュエーションは低い。会社規模的に早い段階で東証プライムへ移行する可能性があるほか、小売業者を苦しめていた円安が一服。上場時よりも投資妙味は増していると考える。株価は上場直後に一時3,180円まで上昇したが、その後は上げ幅を縮めて方向感を欠く推移だった。一方、8月初頭の急落から早々に持ち直すと、8月後半から急速に上げ幅を拡大。アナリスト評価もよく、直近で上場来高値を更新するなど勢いは強い。上場来高値更新で上値余地は拡大した可能性が高い。ターゲットは4,600円、ロスカットは2,800円 | |||||||||
1870 | 矢作建設工業 | 1,900 | 1,550 | 名古屋が地盤の建設会社。円高が進行して内需株への注目度が高まる中、全体市場が急落から持ち直す8/6以降は下値を切り上げる動きが続いている。25日移動平均線を超えてきた8/22辺りからは、買いに勢いがついている。 日足の一目均衡表では厚い抵抗帯(雲)を上に抜けてきた。週足では、8月前半に52週移動平均線近辺まで調整を入れた後、鋭角的に切り返して26週移動平均線や13週移動平均線を上回っている。7/17につけた上場来高値(1,743円)に接近しており、これを早々に超えて一段と上値が軽くなる展開を予想する。ターゲットは1,900円、ロスカットは1,550円 | |||||||||
3416 | ピクスタ | 1,550 | 910 | デジタル素材サイトなどを運営している。fotowa事業の費用減少などにより、上期の営業利益は前年同期比10%増となった。現時点で大口受注の影響は会社計画に織り込まれておらず、3Qに売り上げが確定する見込み。しばらく上方修正への期待が株価の支えになりそうだ。株価は8月の急落からV字で回復し、その後の上期決算発表(8/13)を経て上昇を続けている。3/28昼休み中に、機械学習用画像・動画データの受注額が大幅に増加したことを発表。これを受けて後場に動意付いたが、その日は非常に長い上ヒゲを形成した。短期売買の多さから8/29は売りが強まる懸念もあったが、最終的には陽線を形成。上昇基調は崩れておらず、買いが継続すると予想する。ターゲットは1,550円、ロスカットは910円 | |||||||||
5727 | 東邦チタニウム | 1,600 | 1,050 | JX金属系のチタン製錬大手。2025年3月期1Q(4-6月)の連結営業利益は14.3億円(前年同期比2.1倍)で着地した。金属チタン事業が航空機向け、一般産業用途向けなどに堅調に推移したほか、半導体向け高純度チタンの需要も回復傾向となった。上記の決算発表があった8/5の翌日8/6の株価は好反応を示した。日経平均株価が史上最大の上げ幅となった市場全体の勢いも援軍となったもよう。現在は8/16の戻り高値(1,259円)をつけた後の調整局面にあるが、8/27に形成した大陽線をみる限りでは一段高への期待は高い。7月高値(1,533円)超えに向けて上値トライを想定したい。ターゲットは1,600円、ロスカットは1,050円 | |||||||||
9338 | INFORICH | 5,500 | 2,870 | スマホ用充電器のレンタルを手がける。2022年12月に上場し、今年3/27に上場来高値(5,920円)をつけた。その後はさえない新興株相場の影響もあり大きく調整したが、高い利益成長率に反してPERは足元で24倍台。新興グロース株の中では低い方にあり、上値余地が大きいと考える。 8月初頭の急落を受けて年初来安値(2,473円)まで下落したが、そこからV字で回復。8/26は新興株が買われる中で同社株も急騰し、下落直前の水準を回復した。同日に75日移動平均線や100日移動平均線をいずれも上抜けている。底入れ期待からここからの一段高が期待できる。ターゲットは5,500円、ロスカットは2,870円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・8/30現在、プライム・グロース市場に上場、時価総額が5,000億円未満、PERが30.0倍未満、PBRが1.0倍以上、今期増収予想(日経予想)、株価が10日・20日移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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