週間マーケット展望 2025/11/10
今週の展望
今週も米政府機関閉鎖の影響により、11/13-14に予定されている米10月CPIやPPI,小売売上高の発表が延期される可能性があります。市場が判断材料を欠く中、テクニカル要因と高市政権の政策動向が相場の方向性を左右するとみられます。日本側では、11/7の衆議院予算委員会で高市首相が財政健全化の考え方を「単年度ベースから複数年度ベースへ見直す」と表明。これは「責任ある積極財政」を改めて強調したもので、市場の円安・株高期待を大きく損なう内容ではありません。そのため、152円台後半からの押し目買い意欲を裏付け、日足・転換線(153円01銭)からの下方乖離も限定的に留まると見込まれます。一方、米国側では政府機関閉鎖解除に向けた動向が注目されます。それだけに、解除期待が強まればリスク選好を背景に11/4高値の154円48銭を上抜け、節目の155円台を試す可能性があります。一方、閉鎖の更なる長期化懸念が高まれば日米株式市場は不安定な動きとなりかねず、11/7の152円81銭を下抜け、一時的にせよ10/30の152円16銭を下回る可能性に注意が必要です。
今週は、11/12のシュナーベル専務理事、デギンドス副総裁を含む複数のECB高官の発言に加え、11/10発表のユーロ圏11月センティックス投資家信頼感や11/11のドイツ11月ZEW景況感指数など、欧州の景況感を占う重要指標が相次いで発表されます。これらは12月ECB理事会、さらには来春に向けた利下げ議論の判断材料として注目され、ユーロ相場の方向性を左右するテーマとなります。こうした中、ユーロドルは、11/5の1.1469ドルで一旦の底入れを確認し、足元では日足・転換線(1.1566ドル)を回復しつつあり、基準線(1.1611ドル)を上抜ければ、10/28の1.1669ドルを目指す可能性もあります。また、ユーロ円は、ユーロドルの反発に加え、ドル円が再び154円台を回復できるかポイントとなります。特に、日足・転換線(177.26円)を下値支持線として10/31-30の178円56銭や178円82銭を試すか、上値メドとして注目されます。ただ、米政府機関閉鎖の長期化など不透明感を背景にドル円が152円台半ば割れへ調整する場合、175円から176円台への下振れに注意が必要です。
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米ドル/円
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週間予想レンジ152.00 〜 155.50
10/30の米中首脳会談を受けた貿易摩擦懸念が後退を好感し、10/30-31にかけて154円台を維持した流れを継いだ11/3も底堅く、153円99銭から154円30銭へ上昇。また、米10月ISM製造業指数の下振れにも153円台後半までの反落に留まるなど、押し目買い意欲を確認。さらに、11/4には154円48銭へ上昇したものの、片山財務相の円安牽制発言や日経平均株価の反落が重荷となり、153円32銭へ調整。また、11/5には、日経平均が一時2,400円超安と急落したリスク回避を背景に152円96銭へ下落。ただ、その後の米10月ADP全米雇用報告やISM非製造業景気指数の上振れを受け、154円36銭へ反発。一方、11/6の10月企業人員削減数が大幅増とともに、12月FOMCの追加利下げ観測が強まり152円83銭へ、さらに11/7の東京市場では152円82銭へ下落。ここでも、152円台後半での押し目買い意欲に支えられ、153円台前半を中心に小幅な動きを継続。NY市場終盤には、政府機関閉鎖の解除に向け民主党が予算要求の一部緩和に応じるとの報道に153円59銭へ上昇し、153円42銭で取引を終えました。
今週も米政府機関閉鎖の影響により、11/13-14に予定されている米10月CPIやPPI,小売売上高の発表が延期される可能性があります。市場が判断材料を欠く中、テクニカル要因と高市政権の政策動向が相場の方向性を左右するとみられます。日本側では、11/7の衆議院予算委員会で高市首相が財政健全化の考え方を「単年度ベースから複数年度ベースへ見直す」と表明。これは「責任ある積極財政」を改めて強調したもので、市場の円安・株高期待を大きく損なう内容ではありません。そのため、152円台後半からの押し目買い意欲を裏付け、日足・転換線(153円01銭)からの下方乖離も限定的に留まると見込まれます。一方、米国側では政府機関閉鎖解除に向けた動向が注目されます。それだけに、解除期待が強まればリスク選好を背景に11/4高値の154円48銭を上抜け、節目の155円台を試す可能性があります。一方、閉鎖の更なる長期化懸念が高まれば日米株式市場は不安定な動きとなりかねず、11/7の152円81銭を下抜け、一時的にせよ10/30の152円16銭を下回る可能性に注意が必要です。

FX総合分析チャート 日足
ユーロ/円
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週間予想レンジ176.00 〜 179.00
10/30のECB理事会を終え、その後の複数のECB高官からは、「経済の不確実性は依然高く、あらゆる選択肢がある」との見解が示されました。こうした影響もあり、ユーロドルは10/28の1.1669ドルを高値に、6日連続で前日の高値・安値を下回る下落基調を続け、11/5には1.1469ドルまで下落。ただ、11/6発表の米10月企業人員削減数が大幅に悪化、FRBの12月利下げ観測が再び意識され、11/7には1.1591ドルへ反発し、1.1566ドルで取引を終えました。一方、ユーロ円は11/3に177円98銭の高値をつけた後、11/4には片山財務相による円安牽制発言、さらに日経平均株価の急落などを受けて軟化。加えて、ユーロドルが1.1500ドルを割り込んだ11/5には、175円71銭へ一段安となりました。しかし、ドル円が152円台後半で底堅さを維持したことや、ユーロドルの反発とともに11/6に177円22銭、11/7には177円61銭へ反発し177円45銭で取引を終えました。
今週は、11/12のシュナーベル専務理事、デギンドス副総裁を含む複数のECB高官の発言に加え、11/10発表のユーロ圏11月センティックス投資家信頼感や11/11のドイツ11月ZEW景況感指数など、欧州の景況感を占う重要指標が相次いで発表されます。これらは12月ECB理事会、さらには来春に向けた利下げ議論の判断材料として注目され、ユーロ相場の方向性を左右するテーマとなります。こうした中、ユーロドルは、11/5の1.1469ドルで一旦の底入れを確認し、足元では日足・転換線(1.1566ドル)を回復しつつあり、基準線(1.1611ドル)を上抜ければ、10/28の1.1669ドルを目指す可能性もあります。また、ユーロ円は、ユーロドルの反発に加え、ドル円が再び154円台を回復できるかポイントとなります。特に、日足・転換線(177.26円)を下値支持線として10/31-30の178円56銭や178円82銭を試すか、上値メドとして注目されます。ただ、米政府機関閉鎖の長期化など不透明感を背景にドル円が152円台半ば割れへ調整する場合、175円から176円台への下振れに注意が必要です。

FX総合分析チャート 日足
ポンド/円
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週間予想レンジ199.50 〜 204.00
米FRBが10/29のFOMCで「タカ派寄りの利下げ」を決定したことを受け、ドル堅調地合いが続く中、ポンドドルは10/31に4/14以来の1.3097ドルへ下落。その反動もあり、11/3には1.3162ドルへ反発しましたが、11/4にリーブス財務相が11/26に公表予定の秋季予算案をめぐり、大規模な増税の可能性を示唆。こうした財政見通しの不透明感や金利先安観を強め、11/4と11/5に1.3010ドルへ一段安となりました。ただ、短期の下落行き過ぎを調整する動きで下げ止まり、11/6の米企業人員削減数が大幅に悪化したこと、英中銀政策委員会で「ハト派寄りの現状維持」を決め、「リスクは従前からバランス」としたことから11/7には1.3175ドルへ反発し、1.3160ドルで取引を終えました。一方、ポンド円は11/3の202円81銭を高値に、11/5にかけてポンドドルの下落やドル円の153円割れへの調整に伴い199円07銭へ下落。しかし、11/6-7にかけてポンドドルの反発やドル円の152円台後半での底堅さを確認したことから202円09銭へ持ち直し、201円88銭で取引を終えました。
先週の英中銀政策委員会は、「ハト派寄りの現状維持」とされましたが、11/26の秋季予算案を控え、利下げ判断を先送りしたとの見方も根強く、12月の利下げ観測を完全に後退させるには至っていません。さらに、英財政運営を巡る不透明感は依然としてポンドの上値を抑える要因となる見通しです。一方、米国では政府機関閉鎖がさらに長期化するのか、或いは閉鎖解除に向けて議会が歩み寄るか注目されます。米政治要因がドル高/ドル安の双方に作用し得るため、方向感が出にくい局面が続くと見込まれます。こうした中、ポンドドルは11/4-5にかけての1.3010ドルで下げ止まり、1.3000ドル割れを回避すれば、11/7の1.3175ドルを上抜け、日足・転換線(1.3188ドル) を回復する可能性もあります。また、ポンド円は11/5の199円07銭を安値に、日足・雲の上限を下値支持線とする底堅さを確認。そのため、ドル円が154円台を回復すれば、転換線や基準線(201円47銭/201円51銭)を下値支持線として、10/30の203円27銭を回復するか注目されます。

FX総合分析チャート 日足
豪ドル/円
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週間予想レンジ98.50 〜 102.00
11/3の101円14銭を高値に、翌11/4の豪中銀政策理事会を控え、10/30の高値(102円21銭)を前に上値の重い展開となりました。理事会では予想通り政策金利は据え置かれ、声明文ではインフレ懸念に言及しつつも、見通しについて「上下双方向の不確実性が高まっている」との認識が示され、豪ドル売りに反応しました。さらに片山財務相による円安牽制発言を受けて円買いに反応し、99円47銭へ下落。また、11/5には日経平均株価が一時2,400円超まで急落し、リスク回避を背景に98円83銭へ一段安となりました。ただ、その後発表された米ADP全米雇用報告やISM非製造業景気指数の上振れを好感、100円39銭へ持ち直しました。しかし、11/6発表の米10月企業人員削減数の大幅な悪化となり、NY株式市場の下落が嫌気され、再度98円83銭へ反落。それでも日足・基準線(98円73銭)を下値支持線として、買戻しが入り11/7には99円76銭へ反発し、99円61銭で取引を終えました。
10/30の101円21銭を直近の高値とし、11/5-6にかけて98円83銭へ下落しましたが、基準線(98円73銭)を下値支持線として、99円台後半へ反発しています。来週にかけても、こうした流れが続き、転換線(100円02銭)を回復できるか、さらに安定的に100円台を維持できるかが重要な焦点となります。また、11/7に高市首相が「単年度のプライマリーバランス目標は取り下げる」と述べたことで、積極財政への期待とともに、円売りが優勢になり易い環境にあると考えられます。そのため、ドル円が再び154円台を回復し、155円台を視野に捉える展開となれば、豪ドル円の100円台回復の追い風となります。こうした中、11/13発表の11月雇用統計が弱ければ12月の利下げ観測が強まり、豪ドル売りに反応すると見込まれる一方、底堅い結果となれば、100円台定着につながるだけに結果と反応が注目されます。

FX総合分析チャート 日足
南アフリカランド/円
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週間予想レンジ8.60 〜 9.00
11/3には南アの主要輸出品である金やプラチナの反発を好感し、8円91銭へ上昇。しかし、南ア最大の貿易相手国中国10月製造業PMIが市場予想を下回ったこと、南ア10月の新車販売台数が9月から伸び悩んだことから10/30の8円94銭を前に伸び悩み反落。また、11/4にはアジア株全般やNY株式市場の下落とともに南ア全株指数が4日続落。こうした流れを受け、11/5には対ドルで17.5791ランドと9/10日以来の水準へ下落したことから8円70銭へ下落。一方で南アの主要輸出品の金やプラチナ価格の反発や、南ア全株指数が5日ぶりに反発したことで8円86銭へ反発。さらに、11/6発表の米10月企業人員削減数が大幅に悪化し、米長期金利の低下を受けた対ドルでの上昇とともに11/7には8円87銭へ反発して取引を終えました。
11/11発表の7-9月期失業率のほか、11/12には9月財政収支が発表されます。また、11/20の南ア中銀政策委員会では、9月に続き3会合連続の政策金利7.00%据え置きが見込まれています。インフレ率が目標レンジ(3-6%)下限付近で安定し、金融政策に不確実性が少ないことがランド相場の支援材料となると見込まれます。さらに、金・プラチナなど主要資源価格の底堅さもランドを下支えると見られます。そのため、10/30の昨年7月以来の8円94銭を明確に上抜け心理的節目の9円台回復を試す展開となるか、ドル円の動向と合わせて注目されます。

FX総合分析チャート 日足
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
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