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再び相場上昇をけん引するエヌビディアをより深く解説!!

2024/10/16
投資情報部 榮 聡

エヌビディアは5-7月期決算の発表後に大幅に下落しましたが、先週に決算前の株価を奪回して、再び相場の上昇をけん引しつつあるように見えます。その注目のエヌビディアについて、歴史、市場シェア、株価の見方についてより深く解説いたします。

図表1 言及銘柄

銘柄 株価(10/15) 52週高値 52週安値
エヌビディア(NVDA) 131.60ドル 140.76ドル 39.23ドル
ブロードコム(AVGO) 175.98ドル 186.42ドル 81.83ドル
アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD) 156.64ドル 227.30ドル 93.12ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 エヌビディアの歴史 - AIコンピュータ市場を支配するまで

今回は「エヌビディアの歴史」、「AIコンピュータ市場の競合状況」、「エヌビディア株の見方」についてご報告します。

2024年のノーベル物理学賞は、「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にした基礎的発見と発明に対する業績」に対して、ジョン・ホップフィールド氏、ジェフリー・ヒントン氏の両氏に授与されることになりました。

人工知能が世の中の進歩に大きな影響を与えつつあることが、ノーベル賞の受賞でも確認されたと言えるでしょう。人工知能の普及で中心的な存在となっているエヌビディアの歴史を振り返ってみましょう。

〇転機となったのは「CUDA」の開発

エヌビディアは、1993年に現CEOのジェンスン・フアン氏がAMD、LSIロジックを経て共同創業した会社です。中核製品のGPUは画像の表示処理に使われるもので、主な用途はコンピュータ・ゲームでした。

GPUはコンピュータ・ゲームには必須のものでしたが、ゲーム向け以外に大きな用途が広がらなかったことが問題になっていたとみられます。同社も何とかしようとあがいていたとみられ、GPUを科学計算(例えば、気象のシミュレーションなど)に利用するためのソフトウェア「CUDA」(Compute Unified Device Architectureの略)を開発、2006年に投入しました。

科学計算というと、使われる場面は大学や研究所に限られ、さほど大きな市場は見込めないと考えられます。非常に地道な取り組みですが、これが後にGPUをAI計算に使うときに重要な意味をもちます。

〇AIコンピュータ市場を支配するまで

2012年に人工知能の処理するときにCPUだとフリーズしがちがったものがGPUだとスムースに処理できることが判明、GPUをAI計算に使う開発に取り掛かりました。GPUは図表2の通り、小さいコアが多数並んだ構造で並列処理が得意ですが、これがAI計算に適していました。

そしてこのときに役立ったのが、「CUDA」でした。2016年にAIコンピュータ「パスカル」を発表したときには、CUDAを2006年に投入してから10年が経過していて、ソフトウェアのライブラリーで圧倒的な優位性を確立できたと考えられます。

GPUを一般的な数値計算に使用するという取り組みは同社しか行っていなかったため、同じようなことをしようとしても「CUDA」のソフトウェアの積み重ねが強大な参入障壁として働いたと考えられます。

〇生成AIの登場でAIコンピュータの会社に変貌

エヌビディアの部門別売上比率をみると(図表3)、AIコンピュータ市場の拡大でデータセンター向けの売上構成比は増えていきましたが、2020年度までは30%以下にとどまり、引き続き主力事業は、ゲーム向けのGPUでした。

この間には2020年前後に自動運転用に数百ドルのAIコンピュータが多くの自動車に搭載されるようになるとの期待があったこともありました。しかし、人命がかかわる分野に、100%確実とは言えないAIを用いることは慎重になるべきだと判断されたようで、いまのところ実現していません。

しかし、生成AI向けの投資が始まった2023年度からはデータセンター向けの構成比は8割近くまで急拡大しています。世界的な大企業の売上がこれほどドラスチックに、しかもオーガニックに変化した例は思いつきません。それくらい稀有なことが起こったと言えそうです。

図表2 CPU(中央演算装置)とGPU(画像処理半導体)の構造の違い

※各種報道をもとにSBI証券が作成

図表3 エヌビディアの部門別売上構成比

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2 AIコンピュータ市場の競合状況

AIコンピュータの市場は昨年から驚くような成長を遂げていますが、こうなると競合状況、新規参入の動きも気になります。そこで現状はどのようになっているか確認しておきましょう。

市場で圧倒的なシェアをもつエヌビディアの2025年1月期のAIコンピュータからなる、データセンター売上は1,105億ドルの予想(市場コンセンサス)です。これを基準に競合しているブロードコムとAMDについてみていきます。

〇ブロードコムは特定顧客向けのAIコンピュータ

前回の四半期決算で、同社は特定顧客向けとして3社にAI半導体を供給しており、1社については過去10年供給していることを開示しました。会社から顧客名は公表されていませんが、10年供給している顧客はグーグルと考えられます。同社のAI半導体「TPU」(Tensor Processing Unit)はブロードコムが生産を担当しているようです。

2024年10月期のAI関連売上は会社のガイダンスで120億ドルになる見込みです。ただし、同社のAI関連売上にはネットワーク半導体も含んでおり、AIコンピュータの売上がいくらになるかは開示されていません。

エヌビディアと違うのは、ブロードコムはAIソフトウェアのリソースはあまりもっていないと考えられることです。顧客と考えられるグーグルやメタが主導してAIコンピュータを企画して、そこに使われる半導体の製造を担っているという立場と考えられます。

〇AMDのAIコンピュータ売上

AMDはエヌビディアとともに世界で2社しかないGPUメーカーですが、AIコンピュータへの展開は遅れ、2023年10-12月期に「MI300」で本格的な進出となりました。同社はCPU分野でインテルと競合していますが、こちらはここ数年シェア拡大して順調で、GPUへの展開の必要性が低かった可能性があるでしょう。

一方、ハイパースケーラーなどAIコンピュータのユーザー側からすると、市場をエヌビディアが支配するとAIサービスの利益がエヌビディアに集中していまうため、マイクロソフトなどが中心となってAMDをエヌビディアの競合に育てようと支援をしています。

このため、ある程度のシェアを確保できる見通しです。2024年12月期のAI関連売上は45億ドルで、最近は四半期決算を発表するごとに見通しが上方修正されています。

〇市場シェアを概算すると・・・

以上のデータを基に市場シェアを概算してみると、エヌビディア87%、ブロードコム9%、AMD4%となります。ただし、各データの計測時期がずれていることと、ブロードコムのAI関連売上には、ネットワーク半導体も含まれますが、すべてAIコンピュータと仮定した結果であることにはご注意ください。

引き続きエヌビディアの優位性は大きいと考えられます。

図表4 AIコンピュータの市場シェア(推定を含む概算)

注:エヌビディアは2025年1月期の市場予想です。ブロードコムは2024年10月期の会社見通しで、ネットワーク半導体の売上を含みます。AMDは2024年12月の会社見通しによります。
※各種報道をもとにSBI証券が作成

3 エヌビディア株の見方

エヌビディア株価の昨年来の動きを、予想EPSと予想PERにわけて解説します。(図表5)

予想EPSについては、一貫して上方修正が続いていることが確認できます。一方、予想PERは上下していますが、これを3つの局面にわけてみていきます。

〇(i)の局面

OpenAIの「ChatGPT」が公表されて、エヌビディアへの恩恵が期待された局面です。生成AIによる恩恵が出てくるだろうということで株価上昇ましたが、予想EPSは動かなかったため(アナリストが業績予想を動かさなかったため)、予想PERは株価とともに上昇しました。

〇(ii)の局面

2023年5-7月期の売上急増見通しが公表された後、EPSはどんどん上方修正される一方、PERが低下した局面です。株価は力強く上昇しましたが、EPSが上方修正されるほどには上昇しなかったため、PERが低下しました。

先行きの売上減少が懸念されたたためとみられます。設備投資関連であるうえ、いつまで需要増が続くか、まだ、見えなかったことが要因と考えられます。

〇(iii)の局面
2023年11月-2024年1月期に、2023年のAI計算の4割は「推論」だったと開示された後、PERの低下が抑えられた局面です。

AIの計算にはモデルを使えるようにするために大量のデータを用いて行う「訓練(トレーニング)」と、ユーザーの問いにAIが答える「推論」の2種類あります。

従来のAIでは「訓練」はAIコンピューターで行うものの、「推論」は通常のCPUでというのが普通でした。このため、「訓練」が終わるとAIコンピューターの出番が大きく減る懸念がありました。

しかし、生成AIでは「推論」でも大量の情報を処理することから、AIコンピューターが用いられる場面が増えているようです。このため、AIコンピューターの需要が急減するリスクが減ったと捉えられてPERの低下が抑制されているとみられます。

「推論4割」の話が出てからは、市場のセンチメントが低下することで予想PERは下がっても30倍までとなっています。

〇(iv)の局面となるか

現在の注目点は、10/3(木)にエヌビディアのフアンCEOが新製品「ブラックウェル」に対する需要は「常軌を逸している」(insane)と発言したことが(iv)の局面、つまり、予想PERが従来より高い水準で維持される局面、が形成されるかです。

同社は5-7月期の決算で、AIコンピュータの売上は、半分以上が一般事業会社になっていると開示していました。従来はハイパースケーラーが中心でしたが、事業会社もAIコンピュータに投資するとなると、重要な局面変化になる可能性が考えられます。

図表5 エヌビディアの予想EPSと予想PER

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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