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「ビッグ5」が駆動するブル相場
「ビッグ5」が駆動するブル相場
2024/6/14
米国を代表する株価指数であるS&P500指数とナスダック総合指数が揃って新値をつけています。
これを駆動しているのはアップル(ティッカーシンボル:AAPL)、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)、エヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)の大型株です。
この3つの銘柄だけでS&P500指数の20%を占めています。
これにアルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)とアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)を加えた5銘柄は最近、「ビッグ5」と呼ばれています。
これらの銘柄はいずれもAIブームで恩恵をこうむる企業だと考えられています。
実際、2024年第1四半期決算ではアマゾンのAWS、マイクロソフトのアジュール、アルファベットのグーグルクラウドらのクラウドプラットフォーム部門の売上高成長率はいずれも前期に比べ加速しているばかりでなくセグメントマージンも改善しています。
この部門は米国の投資家が「ビッグ5」の決算を吟味する際、とりわけ注意を払う重要なビジネスであり、それが折からのAIブームで好調に飛ばしていることがマーケット全体の推進力になっていることは間違いありません。
一例としてアマゾンAWSのセグメントマージンは2023年第4四半期の30%から2024年第1四半期は38%へと急改善しています。
これはAIの恩恵という面があることに加えて、アマゾンは今年の1月からAWSの償却年数をこれまでの5年から6年に伸ばしたことが影響しています。
償却年数が5年から6年に伸びると、仮に100設備投資したとして、単年度の償却額はこれまで20だったのが16.7で済むことになります。この差、つまり3.3は利益になります。年間償却コストはいままでの83.5%で済むわけです。
この償却コスト減がAWSのセグメント利益を嵩上げしたというわけです。
ハッキリ言って、今回アマゾンがデータセンターの耐用年数を6年としたのは会計基準の改悪です。
なぜなら先日エヌビディアは「1年に1回のペースで新しいGPUを発表してゆく」という方針を打ち出したばかりだからです。
GPUの賞味期間が1年であるのに対してデータセンターの賞味期間が6年というのは整合性がありません。
もちろんエヌビディアとデータセンター間での契約途中でGPUがアップグレードになった際、データセンターは余計なコストを払わず、オリジナルの契約金額で最新のGPUの供給を受けられるようなフレキシブルな契約になっているはずです。
しかし、いずれ設備投資の償却負担が「ビッグ5」の利益の圧迫要因になることを考えれば、苦しくても前倒しの償却により将来のリスクを軽減するのが保守的なやり方です。
いまは先行投資して建設したAIファクトリーはすぐ他企業に貸し出すことで売上高を生みます。
これらのAIファクトリーを利用しているのはAIスタートアップ企業です。
AIスタートアップ企業はベンチャーキャピタルからどんどん出資を受けているのでいまは手元資金が潤沢です。だから需要があるかないかわからない新しい試みにどんどん資本を投入しているのです。
しかしいずれそうやって準備したAIサービスに需要が無いことがわかるとデータセンターの売上高成長も鈍化するリスクがあるでしょう。
つまりAI相場は現在ターボチャージがかかっており、面白いように値が伸びているけれど……未来永劫にわたって現在のような高度成長が続く保証は無いのです。
結論的には今はモメンタムがあるので「ビッグ5」が駆動する強気相場に素直についてゆけば良いけれど、この勢いが永遠に続くと考えるのはAIベンチャー各社が未だ満足な売上高を上げてない現状をみるにつけ甘い考えだと思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。
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