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【外国株式】景気と株価収益率(PER)の関係
2017/01/04
今日は景気と株価収益率の関係について述べます。
株価収益率とは?
株価収益率はPER(Price-to-earnings ratio)と呼ばれることもあります。PERは株価を一株当たり利益(EPS)で割ることで求める事が出来ます。
PERが上昇するとき
PERが上昇する現象をマルチプル・エクスパンション(Multiple expansion)と言います。Multipleとは「倍率」を指します。Expansionとは「拡大」の意味です。
マルチプル・エクスパンションは、次の2つのシナリオで引きます。
1) 株価が上昇することでPERが大きくなる
2) EPSが下がることでPERが大きくなる
このうち1)は「良いマルチプル・エクスパンション」とでも言える現象で、投資家の期待の高まりを背景として起きる現象です。
これに対して2)は「悪いマルチプル・エクスパンション」とでも言うべき現象で、株価の下落よりもっと速いペースでEPSが下がった結果、見かけ上、PERが大きくなる現象です。
後者を実例で見てみましょう。
不景気の局面でのPER
下のチャートはS&P500指数の過去12ヵ月のEPSに基づく株価収益率です。
S&P500の株価収益率(倍、トレーリング12ヵ月のEPSに基づいて、ファクトセットのデータからコンテクスチュアル・インベストメンツが作成)
2007年から2009年にかけてのPERの動きに注目してください。
2008年のリーマンショックの時、米国株式市場は急落を演じました。このためPERは一時10.9倍まで下がりました。
しかし、その後、不況で企業収益が急速に悪化し、EPSが小さくなってしまいました。このためPERは逆に2009年11月にかけて24倍まで上昇しています。これが「悪いマルチプル・エクスパンション」です。
PERが役に立たないとき
景気暗転期のPERは、上の例のように不自然に高くなるケースが多いです。これはノイズ(雑音)に他なりません。この状態ではPERは株価の割高・割安を判断するツールとしての機能を、一時的に喪失していると考えた方が良いでしょう。
実際、2009年の米国株式市場は、春先に大底を付け、そこから今日まで、7年以上にも渡る長期強気相場を演じています。
すると上のチャートで2009年にPERが24倍になった時点で怖くなって相場から降りていたら、長期強気相場の大部分を取り損ねていたことになるのです。
個別企業のPERを調べる際も上で見たのと同様の注意が必要です。
とりわけ工業株、素材株、エネルギー株、消費循環株などの市況色の強いグループはEPSのブレが大きいです。
このため、景気サイクルのボトムで、本来であればこのグループに果敢に投資すべき局面に限って「悪いマルチプル・エクスパンション」を起こしている場合が多いです。
下は現在のセクター別のPERのグラフです。
セクター別PER(倍、ファクトセットのデータからコンテクスチュアル・インベストメンツが作成)
エネルギー、工業、素材は一見すると割高に見えます。
しかしこれは原油やコモディティ価格の下落がもたらしたEPSの下落の後遺症が残っているためです。
したがってこのへんのグループのPERが現在、過去平均より高くなってしまっていることは、余り気にしなくて良いでしょう。
今後、アメリカの景気が一段と加速し、コモディティ価格が上昇する局面では、これらのグループのPERは逆に下がってくることも想定出来ます。
好景気の絶頂での注意点
事実、市況株の場合、好景気の絶頂では面白いようにEPSが伸びるので、おのずとPERは低くなります。
ここで注意しなければいけないのは、PERが低いからと言って、必ずしもそれは割安を意味しないという事です。むしろ「ピーク・アーニングス」と言って、それは収益環境の暗転の直前かもしれないのです。
このように市況株の場合、(高いPERは売り、安いPERは買い)という、我々の直感とは真逆の投資を心掛けなければいけないのです。
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