日米決算やFOMCが焦点、月末・月初で需給要因にも留意か
2024/1/29
提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 東野幸利
今週の株式見通し(2024/1/29〜2/2)
今週(2024/1/29-2/2)の日経平均株価の予想レンジは35,500円-36,500円。週前半は重要イベントを控え方向感に乏しく、週後半に動意が生じるかがポイントとなる。日米ともに決算発表が本格化する中、連邦公開市場委員会(FOMC)や米中の重要経済指標を消化するスケジュールとなる。週末には米国で1月雇用統計も発表される。月末・月初の週のため需給要因で株価の変動が大きくなる可能性もあり、慌ただしい1週間となりそうだ。
最大の注目は1/30-31のFOMCとなる。政策金利は据え置かれる公算が大きいが、波乱なく通過できるかどうかが焦点となる。FRBが注目するインフレ指標が予想通りに鈍化しており、早期利下げ期待が強くなっている。早期利下げ期待が高まるようなら、米国主導によるリスクオン相場の継続が期待できる。ただ、足元で米国株は高値圏で推移しており、FOMCが利益確定売りを誘うイベントとなる可能性も十分に考えられる。
マイクロソフト、アルファベット、AMD、アップル、アマゾン・ドットコム、メタなど米国の巨大グロース企業の決算も市場参加者の注目材料になるほか、国内企業の決算発表が本格化しており、業績動向で個別株への売買が盛り上がることが予想される。
日経平均株価(図表1)は1/23につけた昨年来高値(36,984円)からの調整が続く。1/26には36,000円の心理的節目や10日移動平均線(35,970円 1/26)を割り込んで終えた。
25日移動平均線(34,626円 1/26)からの上方かい離率は3.2%まで低下。基本的には年初からの上昇基調は継続しているとの判断が優先されるが、10日移動平均線を割り込んだことで目先は日柄調整が必要か。
上値メドは、1/23高値(36,984円)、心理的節目の38,000円、1989年12/29終値(38,915円)、1989年12/29高値(38,957円)などが考えられる。下値メドは、1/11高値(35,157円)、心理的節目の35,000円、25日移動平均線、1/10高値(34,539円)、心理的節目の34,000円などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/1/26)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、12月失業率、12月有効求人倍率(1/30)、日銀金融政策決定会合の主な意見(1/22〜23開催分)、12月商業動態統計、12月鉱工業生産指数(1/31)、1月新車販売台数、10年国債入札(2/1)がある。
企業決算の発表では、JPX、東映アニメ、コーエーテクモ、キヤノンMJ、マクニカHD、九電工、航空電、住信SBIネ、トプコン、キヤノン電(1/29)、OLC、キヤノン、コマツ、JR東海、NEC、大ガス、ヒューリック、大東建、積水化、小糸製、日清粉G、ソシオネクスト、アルプスアル、M&A総研H、日本M&A、M&Aキャピ、SBIリーシンク(1/30)、日立、第一三共、アドバンテ、富士通、レーザーテク、JR東日本、TDK、NRI、野村HD、塩野義、三住トラスト、商船三井、関西電、りそなHD、ANA、エムスリー、JR西日本、カプコン、中部電、スクリン、東電力HD、京成、富士電機、SCSK、野村不HD(1/31)、三井住友、中外薬、武田、HOYA、京セラ、コナミG、大塚商、イビデン、ローム、三菱自、ヒロセ電、日本ハム、BIPROGY、ヤマダHD、コニカミノルタ、JVCKW(2/1)、キーエンス、KDDI、三井物、デンソー、みずほ、村田製、丸紅、豊田織機、パナソニックH、豊通商、川崎船、日本酸素、アイシン、JAL、エプソン、双日、ミツコシイセタン、住友化、豊田合、H2Oリテイル(2/2)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、米FOMC(〜1/31)、米11月住宅価格指数、米11月ケース・シラー・住宅価格指数、米12月雇用動態調査(JOLTS)求人件数(1/30)、中国1月製造業PMI、米1月ADP全米雇用リポート(1/31)、中国1月財新製造業PMI、米1月ISM製造業景気指数(2/1)、米1月雇用統計、米12月製造業受注(2/2)などがある。
主な米企業決算の発表では、マイクロソフト、アルファベット、AMD、スターバックス、ユナイテッド・ハーセル・サービス(UPS)、コーニング、ゼネラル・モーターズ(GM)、エム・エス・シー・アイ(MSCI)、ファイザー、シスコ(1/30)、ボーイング、クアルコム、ナスダックOMXグループ、マスターカード(1/31)、アップル、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、メルク、ドイツ銀行、ハネウェル・インターナショナル、インターナショナル・ペーパー、アルトリア・グループ(2/1)、エクソン・モービル、シェブロン、ブリストルマイヤーズ(2/2)などが予定している。
今週の注目銘柄!(1/29〜2/2)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
|---|---|---|---|---|
5110 | 1,950 | 1,490 | タイヤ国内2位。昨年4月以降、中期では上昇トレンドが続いている。上方修正を発表して11/13に跳ねた後、利食い売りに押されて調整局面に入った。しかし、12/28に1,502円まで下げたところで売りが一巡。10/20につけた直近安値の1,475円を下回ることなく切り返している。週足では26週移動平均線あたりをサポートに反転した格好となっており、今年に入って13週移動平均線を上に抜けてきた。日足でも直近の上昇で25日移動平均線や75日移動平均線を上回っている。ここからは円安進行も追い風に昨年11月の高値1,818.5円からその上を試しに行く展開を予想する。ターゲットは1,950円、ロスカットは1,490円 | |
6376 | 1,500 | 950 | ポンプ・システム製品の製造・開発などを手掛ける。1/23に1,113円まで上昇し、昨年来高値を更新した。昨年6月の858円をボトムとして緩やかな上昇基調が続いている。2021年8月の急落以降、1,000円を超えてくると戻りが重くなることが多かったが、2022年8月の高値が1,070円、2023年2月の高値が1,074円で、これらを上回ってきたことは特筆される。昨年9月以降で形成されていた三角保ち合いを上放れたことで勢いが生じる公算が大きい。PBRは0.6倍程度とバリュエーション面では割安感がある。過去の高値を超えてきたことで、ここからは2018年10月につけた1,557円を目指す展開を予想する。ターゲットは1,500円、ロスカットは950円 | |
6728 | 8,700 | 6,550 | 真空関連の技術に強みを持つ。昨年後半までは5,000〜6,000円レベルでの一進一退が長く続いた後、昨年11月に水準を一段上げてきた。そこからしばらく6,500円を中心にもみ合いが続いていたが、11月と12月の高値をつないだ抵抗線を上方ブレイクしてきた。直近の上昇で7,000円台に到達。もみ合いを上に放れている。1/25には7,519円まで上昇。2022年1月高値7,300円を上回った。ここから上は2017年11月につけた上場来高値の8,930円まで抵抗となりそうな水準が見当たらない。動きが良くなる中で商いも厚みを増しており、真空地帯を駆け上がる展開を予想する。ターゲットは8,700円、ロスカットは6,550円 | |
8354 | 4,160 | 3,300 | 九州の地銀を複数傘下に持つ。1月の植田総裁会見を受け、早期マイナス金利解除への期待が上昇。年始は半導体株一強の相場だったが、物色対象が再び銀行株に移る可能性も出てきた。九州地方は半導体工場の建設ラッシュであり、銀行株の中でも注目度は高いと考える。株価は昨年11月に4,164円の高値を付けてから調整していたが、2020年3月の安値1,223円からみた3分の1押し水準で下げ止まった。そこからやや戻していたところ、1/24は銀行株が軒並み上昇。同社株も75日移動平均線を上抜ける場面もあった。オシレーター系指標の過熱感はなく、期待買いが続くと予想する。ターゲットは4,160円、ロスカットは3,300円 | |
9627 | 5,700 | 4,260 | 調剤薬局首位。コスメ店も展開している。昨年12月に2024年4月期の上期決算を発表。増収増益となったほか、通期の見通しも引き上げた。今期はコロナ前の2019年4月期の実績を上回る計画だが、ここ1年の株高局面にも乗れておらず、業績動向に対して売られすぎと考える。しばらく下落トレンドが続いていたが、昨年10/24に4,023円で底打ちしてから徐々に値を戻している。上記の決算が好感されると一時4,990円まで急騰。戻り待ちの売りに押されても75日移動平均線を割れずに持ちこたえており、その後は徐々に下値を切り上げる動きとなっている。直近はボリンジャーバンド(20日)では+2σにタッチし、バンドが広がる兆しもみえてきた。トレンド転換の可能性が出てきており、買いの好機とみる。ターゲットは5,700円、ロスカットは4,260円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・1/26現在、プライム市場に上場、時価総額が700億円以上、PERが23.0倍未満、PBRが2.0倍未満、配当利回りが1.0%以上、信用倍率が8.0倍未満、株価が25日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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