7/15週は、5日移動平均線上を早期に回復できるかが上昇トレンド復活のカギ
2024/7/16
先週の振り返り(7/8〜7/12)
先週の主なイベント
7/ 8(月) 5月貿易収支、6月景気ウォッチャー調査
7/ 9(火) 6月マネーストック、6月工作機械受注、NATO首脳会議、パウエルFRB議長が議会上院銀行委員会で証言
7/10(水) 中国6月消費者物価指数、同6月卸売物価指数、パウエルFRB議長が議会下院金融サービス委員会で証言
7/11(木) 5月機械受注、米週間新規失業保険申請件数、同6月消費者物価指数
7/12(金) ミニSQ、中国6月貿易収支、米6月卸売物価指数、同7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値
8日(月)、休み明けの東京市場は、ETFの分配金捻出による売り物を吸収できず、取引終了にかけて下げ幅を広げる展開となった。朝方は前日の終値を挟んだ方向感のない値動きとなっていたが、11時過ぎごろから先物主導で買いが優勢になると、午後に入って41,112円をつけるなど一時199円高となって取引時間中の過去最高値を上回る場面があった。一方、高値を上回った水準からはETFの分配金捻出の売りに対する警戒から、さらに買い上がる動きは見られず、マイナスに沈んだあとは取引終了にかけて売り物に押され、日経平均は安値引けとなった。また、TOPIXも続落となりこの日のほぼ安値で終えた。
9日(火)、米国市場でナスダックやS&P500に加え、SOX指数も過去最高値を更新して終えていたことから、東京市場は半導体関連株を中心に買いが入り大幅高となった。日経平均は小幅高で始まったあと、指数への寄与度が高い値がさの半導体関連株が買われると、徐々に水準を切り上げた。また、TOPIXも一瞬マイナスになる場面があったが、もち直して午前の取引を終えると、昼休み中に225先物が買われていたことから、225先物の水準にサヤ寄せする格好で午後の取引が始まり、日経平均は41,769円をつけるなど一時988円高となる場面があった。また取引終了間際に利益確定と見られる売り物に押されて上げ幅を縮めたものの、日経平均は今月4日以来となる過去最高値を更新し、初めて41,500円台に乗せて終えた。一方TOPIXは取引時間中の過去最高値を上回る場面があったが押し返され、終値でも押し返された。
10日(水)、前日の大幅高の反動から売り先行で始まったが、バリュー株が買われTOPIXが午前中に前日の高値を更新すると、日経平均もプラスに浮上し、前日の終値を挟んだ値動きとなった。一方午後に入ると、バリュー株が売られてTOPIXがマイナスに沈んで下げ幅を拡大する場面があったが、国内の長期金利が上昇すると時価総額が大きなバリュー株が買い戻された。その後は225先物が買われるとともに日経平均への寄与度が高い値がさ株が買い直されて日経平均の水準を切り上げ、連日で過去最高値を更新、TOPIXも過去最高値を更新して終えた。
11日(木)、東京市場は大幅高で3日続伸となり、日経平均は3日連続で過去最高値を更新。また史上初となる42,000円台に乗せて取引を終えた。注目されたパウエルFRB議長の議会証言を受け利下げ期待が高まったことからNYダウが大幅高となったことに加え、ナスダック総合やS&P500が連日で過去最高値を更新して終えていたことが、東京市場の買い材料となった。日経平均は史上初となる42,000円台に乗せて取引が始まると、42,426円をつけるなど一時594円高となる場面があった。その後は利益確定と見られる売り物に押され、上げ幅を縮めて午前の取引を終えたものの、午後に入ると他のアジア市場で香港ハンセンや上海総合指数が反発していたことや、業績発表に対する期待で押し目買いが入ってもち直し、過去最高値を3日連続で更新するとともにこの日の高値圏で終えた。TOPIXも連日で過去最高値を更新した。
12日(金)、米6月CPIが予想を下回り、同長期金利が低下するとともにドルが下落して円高にふれていたことや、ナスダックやS&P500、SOX指数など連日過去最高値更新していた指数が利益確定売りに押されて大幅安となっていたことが東京市場の売り材料となった。この日オプションやミニ先物のSQだった日経平均は売り先行となり、555円安で始まった。取引が始まったあとしばらくもみ合いが続いたが、売りが優勢になると下げ幅を広げ41,188円をつけるなど一時今年最大の下げ幅となる1,035円安となる場面があった。その後一旦買い戻されたが3連休入り前の週末とあって積極的な買いが続かず、午後に入ってからも売り物に押される展開となりこの日のほぼ安値で終えた。
今週の展望(7/15〜7/19)
今週の主なイベント
7/15(月) 国内休場、中国3中全会(18日まで)、中国4−6月期GDP、同6月鉱工業生産、同6月小売売上高、米7月NY連銀製造業景気指数、パウエルFRB議長講演
7/16(火) 独7月ZEW景況感指数、米6月小売売上高、同7月NAHB住宅市場指数
7/17(水) 6月訪日外客数、英6月消費者物価指数、米6月住宅着工、建設許可件数、同6月鉱工業生産、地区連銀経済報告
7/18(木) ECB理事会、米週間新規失業保険申請件数、同7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、ラガルドECB総裁会見
7/19(金) 6月全国消費者物価指数
3連休明けの東京市場は、ECB理事会が開催されるほか、重要な米経済指標の発表などが予定されており、これらの結果を受けた米国株や為替市場の動向に左右されやすい展開になると考えられ、週初から目が離せない状況になりそうだ。
今週のスケジュールは別表の通りとなっている。米国で注目されるのは、7月NY連銀製造業景気指数や同フィラデルフィア連銀製造業景気指数のほか、6月小売売上高や地区連銀経済報告になると思われる。7月NY連銀製造業景気指数は前回と同じ予想だが、フィラデルフィア連銀製造業景気指数は前回を上回る予想となっており、製造業の回復の兆しが結果に表れるかが注目される。
また、6月小売売上高は前回を下回る予想となっており、地区連銀経済報告も景気の鈍化を示す内容になるようだと、9月の利下げ期待がさらに高まり、長期金利が低下して株式市場の下支えや押し上げにつながることが視野に入る反面、景気悪化と受け取られたり、ドル安が加速したりするようだと、米国株の下落と円高が嫌気され、東京市場の利益確定売りの材料とされることが考えられ、ポジションを大きくし過ぎないよう注意しておく必要があると思われる。
続いてはユーロ圏についてだ。注目されるのはECB理事会とラガルド総裁の会見のほか、独7月ZEW景況感指数の結果にも注目が集まると思われる。ECB理事会については金融政策の変更はないと見られているものの、発表後の会見でラガルドECB総裁がさらなる利下げを示唆するようだと、ユーロが下落して円高になったり、円高を嫌気して国内株の売り材料になったりすることが警戒される。
また独7月ZEW景況感指数は前回を下回る予想となっており、こちらの結果も予想を下回るようだと、今後の利下げ期待が高まり、これまでのユーロ高の反動で円高に振れることが考えられる。
また円高に振れた場合、東京市場の上値を押さえる要因となるため為替市場の値動きには注意が必要と思われる。
最後は国内についてだ。国内では6月全国消費者物価指数が発表されるが、前回を上回る予想となっており、結果が予想を上回るようだと日銀の利上げに対する思惑が広がり、国内の長期金利が上昇して金融セクターに買いが集まりそうだ。
一方で円高に振れるようだと、輸出関連株を中心に上値が押さえられたり、売り圧力に押されたりすることが考えられるため、選別物色になったり、市場全体が売り物に押されたりした場合は損失の発生や拡大に要注意だ。
チャートから読み解く!今週の投資戦略
前回は「上向きの+2σ上を維持できるかが注目ポイント」とした。また「+2σ上を維持するようだと、株価が上昇して高値更新が続きそうだ。一方で、+2σ上を維持できずに割り込んだり、割り込んだまま戻せなくなったりするようだと、+1σや25日移動平均線辺りまで下落することが考えられ、上昇一服後の利益確定売りに注意する必要があると思われる」と指摘したが、週初は+2σと+3σのあいだで推移してバンドウォークが継続したが、週末の日中取引では窓をあけて下落するとともに上向きの+2σを下回って終えているのが分かる。そのため今週は、+2σ上を早期に回復できるかが注目ポイントになると思われる。
仮に+2σ上を早期に回復して維持するようだと、上昇トレンドが継続するとともに高値更新も視野に入る反面、+2σ上を回復しても維持できなかったり、+2σ上を回復できずに株価水準を切り下げたりするようだと、+1σを下回って25日移動平均線辺りまで下落することが考えられるため、押し目買いは控えるか、下げ止まりを確認してから慎重に行う必要があると思われる。
そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、週初は上下の動きを示し横ばいを続けたあと11日に急上昇したものの、2月22日につけた高い水準に届かなかったことから一気に下向きに変化して週末の取引を終える結果となっているのが分かる。
また、モメンタムの移動平均線であるシグナルも緩やかな下向きに変化して取引を終えている。そのため今週は、2本線の低下が続くかが注目ポイントだ。仮に2本線の低下が続いたり、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる100ラインに接近したりするようだと、+1σ上を維持できずに25日移動平均線辺りまで下落することが視野に入るため、買いポジションを持っている投資家は、損失の発生や拡大に注意する必要があると思われる。
一方で、2本線が低下しても限定的だったり、上向きに変化して上昇したりするようだと、上昇の勢いが回復するとともに、+2σ上を回復したり、上回ったりすることが考えられ、売りポジションを持っている投資家は買い戻すタイミングを逃さないようにしたい。

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