4/29週は、連休の谷間でボラティリティの上昇に注意が必要な週
2024/4/30
先週の振り返り(4/22〜4/26)
先週の主なイベント
4/22(月) 4月中国最優遇貸出金利発表
4/23(火) 4月月例経済報告、独4月製造業・サービス業PMI、ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI、米4月製造業・サービス業PMI、同4月リッチモンド連銀製造業指数、同3月新築住宅販売件数
4/24(水) 独4月Ifo景況感指数、米3月耐久財受注
4/25(木) 日銀金融政策決定会合(26日まで)、米週間新規失業保険申請件数、同1−3月期GDP速報値、同3月中古住宅仮契約指数
4/26(金) 4月東京都区部消費者物価指数、日銀会合の結果発表、4月展望レポート発表、植田日銀総裁会見、米3月個人所得、同3月個人消費支出
22日(月)、前週末の大幅安の反動もあってバリュー株を中心に反発して始まった。日経平均、TOPIXともに小幅高で始まると、その後上げ幅を広げる展開となり37,511円をつけるなど一時443円高となる場面があった。ただ、両指数ともに買いが一巡すると上げ幅を縮め、日経平均は小幅なマイナスに沈むなど強弱が対立した。一方午後に入ってからは小動きとなって午前につけた高値と安値のあいだで推移していたが、時間外のNYダウなど米国株の先物が上昇していたことや、値上がり銘柄数がプライム市場全体の88%に達するなど底堅い値動きとなっていたことから、売られていた値嵩の半導体関連株に買い戻しが入り、もち直すとともにこの日の高値圏で終えた。
23日(火)、米国市場で下落が続いていたSOX指数やナスダックに加え、S&P500も反発して終えていたことが好感され、東京市場の買い材料となった。日経平均は買い先行となって始まり、取引開始後に37,817円をつけるなど一時379円高となる場面があったが、半導体関連株の上値が重たかったことから買いが続かず上げ幅を縮めた。また、午後に入ってからは決算発表を控え様子見ムードが広がると、狭いレンジでの値動きとなったあと小幅高で取引を終えた。
24日(水)、米国市場でナスダックやSOX指数といった半導体関連株が上昇して終えていたことを受け、東京市場でも半導体関連株に買いが入り指数を押し上げた。日経平均は319円高で始まると、そのまま上げ幅を広げる展開となり38,000円台を回復した。また38,000円台を回復して午前の取引を終えるなか、他のアジア市場で上海総合や香港ハンセン指数が米国株の上昇を好感して上げ幅を広げていたことに加え、時間外の米国株先物がプラス圏で推移していたことが買い安心感につながり、取引終了にかけて上げ幅を広げて900円を超す上げ幅となり、日経平均はこの日の高値で終えた。TOPIXもほぼ高値で終えている。
25日(木)、前日の大幅高の反動で利益確定と見られる売り物に押されて取引が始まると、指数への寄与度が高い半導体関連株や値がさ株が売られたことから徐々に下げ幅を広げる展開となった。また決算発表がすすむなかで、円安がこれまでほど業績の押し上げに寄与していないとの受け止めから、155円台後半まで円安が進んだところで、コスト高で業績に対するマイナスの影響が懸念される電気・ガスに加え、自動車などの輸送用機器もマイナスに沈み、下げ止まらないまま前日の上昇分をほぼ帳消しにする形で取引を終える結果となった。
26日(金)、前日の大幅安の反動もあって、日経平均、TOPIXともに小幅高で始まったが、直ぐに売り物に押されてマイナスに沈んだ。ただ売り一巡後は日銀金融政策決定会合の結果発表を控え買い戻される展開となった。日経平均、TOPIXともにプラスに浮上して午前の取引を終えると、午後の取引開始前に日銀金融政策決定会合の結果が現状維持と伝わると、先物主導で買いが優勢となり、日経平均は上げ幅を広げて始まり、38,097円をつけるなど一時469円高となる場面があった。ただ戻り売りに押されて上値が重く、取引終了にかけて伸び悩んで終えた。
今週の展望(4/29〜5/3)
今週の主なイベント
4/29(月) 国内休場、独4月消費者物価指数
4/30(火) 3月失業率、同有効求人倍率、同鉱工業生産、中国4月製造業PMI、同4月非製造業PMI、同4月財新製造業PMI、ユーロ圏1−3月期GDP速報値、同4月消費者物価指数、米4月シカゴPMI、同4月カンファレンスボード消費者信頼感指数、米FOMC(5月1日まで)
5/ 1(水) 中国、香港、欧州市場など休場、米4月ADP雇用報告、同4月ISM製造業景況感指数、同3月雇用動態調査、FOMC政策金利発表、パウエルFRB議長会見
5/ 2(木) 4月マネタリーベース、中国市場休場(3日まで)、米週間新規失業保険申請件数、同3月貿易収支、同3月製造業新規受注
5/ 3(金) 国内休場、ユーロ圏3月失業率、米4月雇用統計、同4月ISM非製造業景況感指数
今週は連休の谷間の取引となるが、注目されるイベントや米経済指標の発表が控えており、ボラティリティが大きくなることも考えられ注意が必要になると思われる。
今週のスケジュールは別表の通りとなっているが、米経済指標から確認したいと思う。
注目されるのは、FOMCの結果とパウエルFRB議長の会見に加え、ISM製造業、同非製造業景況感指数や4月雇用統計の結果になると思われる。
FOMCでは金融政策の変更はないと見られているものの、パウエルFRB議長の会見での発言内容を受け、年内の利下げの可能性が後退したり、場合によっては利上げの可能性が出てきたりするようだと、米長期金利の高止まりや上昇が続いて米国株の下落につながったり、ドルの上昇が続いたりすることが考えられ東京市場への影響に要注意だ。
ただ29日午前10時35分頃の外国為替市場では、ドル円の上昇が続いて1990年4月以来となる160円20銭台をつけたが、その後同日14時06分現在、ドル売りに押されており155円台前半まで急落している。
そうしたなか、東京株式市場ではこれから国内製造業の業績発表が本格化するが、このところの急速な円安によってコスト高の方に注目が集まっており、円安が製造業の業績の押し下げ要因になるようだと、売り材料となることが考えられ要注意だ。
一方、4月ISM製造業景況感指数と同ISM非製造業景況感指数と同雇用統計については、4月ISM非製造業景況感指数はわずかに前回を上回る予想となっているが、同ISM製造業景況感指数はわずかに前回を下回る見込みだ。
また雇用統計については、非農業者部門雇用者数が前回を下回るものの、失業率は前回と同じ予想となっており、雇用の底堅い状況が続くと見られている。
そのため、これらの結果が予想を上回るとともに米長期金利が上昇するようだと、米国株の上値を押さえたり、売り材料となったりすることが考えられ結果と株、為替市場の反応に注意しておく必要があると思われる。
続いてはユーロ圏についてだ。注目されるのは、1−3月期GDP速報値と4月消費者物価指数になるのではないかと思われる。予想では、前期比、前年同期比ともに前回を上回る見込みとなっていることに加え、4月消費者物価指数は前年同月比で同じ伸びとなる見込みだ。
ユーロ圏もこれらの結果が予想を上回るようだと、利下げ期待が後退してユーロ高、株安につながることが考えられ、東京市場への影響にも注目しておきたい。
最後は中国と国内についてだ。中国では、3月製造業PMIと同財新製造業PMIに注目が集まると思われる。予想では、いずれも前回の結果を下回る見込みとなっているが、景況感の判断の分かれ目となる50を上回っていることから、仮に結果が50を下回った場合、市場の波乱要因になることも考えられ要注目だ。
国内については、3月鉱工業生産と企業決算に注目が集まると思われる。3月鉱工業生産は前月比で前回を上回る予想となっており、予想を上回るようだと、東京市場の下支えや押し上げにつながることが期待される反面、予想を下回る結果になるようだと、製造業の業績に対する警戒が出てくることも考えられ要注目と言えよう。
チャートから読み解く!今週の投資戦略
前回は「−2σ上を回復して維持できるかが注目ポイント」とした。また、「−2σを上回って維持するようだと、底入れからの反発期待が高まることが予想されるため、売りポジションを持っている投資家は買い戻すタイミングを逃さないようにする必要がある」としたが、指摘した通り週初から−2σに接近して翌営業日には上回って推移した。また、一時下向きの−1σを上回ったが、売り物に押されて−1σを下回ったままで週末の取引を終えている。
そのため今週は、−1σを上回って維持できるかが注目ポイントになると思われる。仮に−1σを上回って維持するようだと、反発が継続するとともに下向きの25日移動平均線に接近したり、上回ったりすることが考えられ、売りポジションを持っている投資家は買い戻すタイミングを逃さないようにする必要があろう。
一方で、−1σを上回っても維持できずに押し返されたり、押し返されたまま下向きの−1σに沿って下落が続いたりするようだと、4月19日につけた安値に接近したり、場合によっては下回ったりすることも考えられるため、買いポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に注意するようにしたいところだ。
そうしたなか、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる100ラインを下回っているものの、上向きに変化して週末の取引を終えている。そのため今週は、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が上昇を続けるかが注目ポイントだ。
仮に2本線の上昇が続いて100ラインに接近したり、上回って維持したりするようだと、下向きの25日移動平均線上を回復することが期待される反面、2本線が上昇しても限定的だったり、下向きに変化して低下したりするようだと、−1σに押し返されて水準を切り下げることが視野に入るため、買いポジションを持っている投資家は要注意だ。
特に、2本線の低下が続いて直近の低い水準を下回って低下が続くようだと、下落の勢いが強まるとともに−2σを下回って下落が続くことが考えられるため、リバウンド狙いの買いは控えるか、下げ止まりを確認してから行うようにする必要があると思われる。

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