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2019年の国内株式
日本国内においてもキャッシュレス化が一気に進展 完全キャッシュレス店舗も、一気に広がってこよう
2019年小売セクターの展望
2019年最大のイベントは10月に予定されている消費増税であろう。食品の軽減税率適用、プレミアム商品券、キャッシュレスのポイント還元など、様々な対策が打ち出されており、全体的にみれば、個人消費への影響は軽微とみている。但し、これまでの消費増税とは異なり10月に実施されることがポイントとなりそうである。多くの小売業において、駆け込み需要と反動減が同じ期に発生するため、月次や四半期決算での影響はあっても、通期の企業業績への影響は軽微となろう。一方で、10月は秋冬物の立ち上がりの時期に当たる。増税直後の消費の冷え込みに、暖冬などが重なったりすれば、プロパー販売の重要な時期に当たるアパレル関連企業などへの影響は甚大であろう。また、消費増税の副次的な影響として、価格競争が激化、再びデフレ傾向が強まる可能性も否定できない。ディスカウントストア、100円ショップ、低価格の専門店や外食企業などが脚光を浴びる年となろう。
2019年小売セクターのキーワードは?
“キャッシュレス”。大手小売各社を含めた多くの企業が○○payのようなQRコード決済などを開始、様々なサービスが乱立してくる中で、日本国内においてもキャッシュレス化が一気に進展してこよう。QRコード決済が非常に低い決済手数料・導入コストで、これまでクレジットカードの取扱いに慎重だった小売・外食各社への導入が広がり、クレジットカード手数料の引き下げも促すこととなろう。取扱い店舗が増え、各陣営が普及拡大に向けて大規模なキャンペーンを展開、認知度・利用意向も高まり、日本人に根強い現金志向にも変化が表れてこよう。まだ実験店レベルに止まっている完全キャッシュレス店舗も、一気に広がってこよう。
2019年のレジャー・アミューズメントの注目テーマは?
“バーチャルYouTuber(VTuber)”。2018年は「キズナアイ」をはじめとした人気VTuberが多数誕生、話題になったものの、マネタイズや市場の広がりが不透明で、関連銘柄への落とし込みができず、株式市場では大きなテーマにはならなかった。しかし、ここに来て、VTuberのタレント芸能事務所、VTuber向けのプラットフォームの提供、オリジナル3Dアバターの作成などのサービスが本格化してきている。VTuberのアイドル、アーティスト、ゲーム実況者などの中から、メジャーな存在になっていく人も現れてこよう。また、3Dアバターを身にまとい仮想世界で暮らすなど、「セカンドライフ」を彷彿させるような世界も広がってくる可能性もある。2019年はVR(virtual reality)関連の本命にVTuberが浮上する年となろう。
田中 俊 (たなか しゅん)
SBI証券 企業調査部(小売、レジャー・アミューズメント業界担当 シニアアナリスト)
1988年に山種証券(現SMBCフレンド証券)入社、支店営業、投資情報部などを経て、山種調査センター(現SMBCフレンド調査センター)に出向。 以来、約20年に亘り、小売、レジャー・アミューズメント業界のアナリストとして、業界・企業分析に携わる。2016年12月より現職。トムソン・ロイター アナリスト・アワード・ジャパン2016にて、収益予想部門 ホテル・レストラン&レジャーで業種別1位。主力銘柄のカバーをしつつ、機動力を生かして、アナリストカバレッジの少ない地方銘柄、中小型銘柄の発掘にも注力。
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