2025-12-11 00:27:44

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今、ブラジルレアルを買う3つの理由

19月以降の新興国通貨持ち直し局面で最も戻りが早い通貨は?

9月に入ってから、春先以降低調に推移していた新興国通貨に買い戻しの動きが広がっている。

4月から8月にかけて堅調に推移していた米ドルや中国元が下落に転じる一方、ブラジル・レアル(以下、レアル)やインド・ルピーなどそれまで大幅に売られてきた通貨が大きく上昇している。その中でも、レアルの上昇率が8.3%と主要通貨の中で最も高くなっている。

今年の春先以降はブラジルにとって、正に内憂外患、悪夢のような期間であった。国内ではデモに発展するまでにインフレ率が高騰し、国外では主要輸出先の中国経済の失速が懸念された。そのようなタイミングで米国が量的緩和策第3弾(QE3)の縮小を示唆したため、急速にブラジルからの資金流出に見舞われた。ブラジルレアルは4月から8月までの5ヵ月間に対円で11.7%も下落した。

しかし、9月以降レアルが持ち直した背景にはブラジルを取り巻く以下の3つの環境の変化により投資家心理が改善したためと考える。

図1:2013年の期間別各通貨の騰落状況(対円)
  • (出所)bloombergよりSBI証券作成

2鮮明となったブラジル政策当局の通貨防衛への意思

8月22日にブラジル中央銀行(以下、BCB)は歯止めのきかないレアル安に対する策として年末にかけて600億ドル(約5兆9,400億円)規模の為替介入策の実施を発表した。その後レアルは持ち直しの動きを見せている。

これまでも1ドル=2.1レアルよりもレアル安水準ではBCBは断続的にレアル買い介入を実施してきたが効果は限定的であった。その要因として、政策当局の足並みの乱れが挙げられる。

BCBが政策金利の引き上げと為替介入により通貨防衛姿勢を鮮明にする一方で、マンテガ財務相が1ドル=2.3レアル台までレアル安が進んでいた8月16日に「弱いレアルはブラジルの産業と輸出にとって好材料」との見解を示すなど、レアル安容認とも取れる発言を繰り返していた。

しかし、今回の介入策発表後は、マンデカ財務相もレアル安の進む為替相場は「すべての人に打撃を与えている」との見方を示すなどレアル安を容認する姿勢を改めた。そのため、市場では今回の大型為替介入はブラジル政策当局の通貨レアル防衛への強い意志として受け止められ、9月以降のレアル持ち直しのきっかけとなった。

BCBは為替介入の有効性が確認されれば、追加投入も示唆しており、引き続きレアルの下支え要因になると考える。

図2:ブラジル・レアルの対円、対米ドルレートの推移

3景気の足かせとなっていたインフレ率のピークアウト

また、一時デモにまで発展した高騰するインフレ率だが、ブラジルの消費者物価の指標であるIPCAの上昇率を見ると、6月の6.7%をピークに7月、8月と2ヶ月連続で低下している。8月のインフレ率は6.09%とブラジル中央銀行が目標とする2.5%から6.5%の範囲内に再び収まっている。

インフレ抑制策として4月以降BCBが政策金利を引き上げてきた効果が出てきたものと考えられる。7.25%であった政策金利は、4月17日以降断続的に引き上げられ、9月末時点では9%となっている。

今後についてもレアル安が輸入物価の上昇を通じて、インフレを助長していたことを考えると先述の政策当局の通貨防衛策により通貨下落に歯止めがかかれば一層のインフレの沈静化が期待される。

図3:ブラジルレアルの政策金利と物価動向

(出所)bloombergよりSBI証券作成
(注)IPCAは前年同期比伸び率、網掛けはインフレターゲット

4外部環境の改善〜最大輸出先の中国の景気底打ちとQE3早期縮小観測の後退〜

ブラジル経済を取り巻く外部環境に目を転じても改善の兆しが見られる。ブラジルの最大輸出先である中国の9月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.1となり、3ヶ月連続で改善している。

また、需給面でも9月のFOMCでQE3の縮小が見送られたことで、FRBが量的緩和を「急速に」縮小させる可能性は後退しており、春先と比較すればレアル売り圧力は緩和されよう。

図4:中国製造業購買担当者指数(PMI)

(出所)bloombergよりSBI証券作成

投資対象としてレアル建債券を考えた時に、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが政府財政の悪化や根強いインフレと高金利を伴う低調な経済成長などを理由にブラジル国債格付けの見通しを「強含み」から「安定的」に引き下げるなどリスクが完全に払拭されたとは言い難い側面もある。

しかし、ブラジルの5年債利回りは11.6%と主要国間で比較したときに突出して高く、金利面では魅力は高いと言える。また、通貨レアルについても、先述のレアルを取り巻く環境の変化から最悪期は脱することができたのではないかと考える。

投資において誰もがある投資対象を魅力的と考えたときには既にその投資対象の価格は天井を付けているということが往々にしてある。つまり、不確定要因が残る中、上昇要因とダウンサイドリスクを総合的に検討して上昇可能性の方が高いと考えたときにリスクを取って投資してこそ、リターンは得られる。

図4:2013年9月末の各国5年国債利回り
  • (出所)bloombergよりSBI証券作成

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