2025-11-12 02:44:39

金は米中通商合意後に押し目を買われる

更新:2025/11/4

提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米政府機関閉鎖の行方も確認

 10月27日の週のニューヨーク金市場は、米中の通商合意見通しや米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて売り優勢となったが、通商合意が伝えられると下げ一服となった。中心限月となる12月限は10月3日以来の安値3,901.3ドルを付けたのち、下げ一服となった。JPX金先限は10月8日以来の安値1万9,413円を付けたのち、下げ一服となった。ベセント米財務長官の発言を受けて米中の通商合意が見込まれ、韓国で30日に行われた協議で合意に達した。中国政府は協議後、レアアース(希土類)の輸出規制の導入を1年間延期すると発表した。トランプ米大統領は合成麻薬フェンタニルの流入問題に中国が取り組むとしたことを受け、対中関税を10%引き下げる方針を示した。中国側は米国の関税に対する報復措置を見直すほか、縮小していた米国産大豆の購入も拡大するとした。ただ市場では貿易休戦は長くは続かないとの見方も出ており、今後の行方を確認したい。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、3.75〜4.00%とすることを決定した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で「12月会合での利下げ決定は既定路線ではない」と述べた。米カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は、高インフレが継続し、物価圧力が経済に広がりつつある兆しが見られる中で利下げを実施すれば、物価安定に対するFRBの信認が損なわれる恐れがあると考え、今回の決定会合で利下げに反対票を投じたと述べた。米政府機関閉鎖でデータがそろわないことも判断を難しくする要因となっている。CMEのフェドウォッチで、12月利下げの確率は67.5%(前週94.4%)に低下した。一方、米共和党のスーン上院院内総務は、11月4日に実施される一部の州や都市の選挙が終われば、政府機関再開に向けた協議がやや容易になる、との見通しを示した。南部バージニア州と東部ニュージャージー州の知事選と、ニューヨーク市長選があり、来年11月の中間選挙の前哨戦になるとみられている。
 ロシアのプーチン大統領は29日、核兵器搭載型の原子力魚雷「ポセイドン」の実験が行われ、成功したと述べた。ロシアは21〜22日に原子力推進式巡航ミサイル「ブレベスニク」の発射実験と、核兵器の使用を想定した演習も実施した。ウクライナとの戦闘を巡って西側諸国の圧力に屈しないという意思を示したとみられる。一方、トランプ米大統領は、国防総省に対し、核兵器実験を直ちに開始するよう指示した。バンス米副大統領は、米大統領が核兵器実験を開始するよう指示したことに関連し、米国にとって核戦力の検証は国家安全保障の確保に重要になるとの考えを示した。ライト米エネルギー長官は「現在われわれが議論している実験はシステムのテストだ」と述べた。また「核爆発ではない。いわゆる非臨界実験だ」と説明した。
 10月31日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.73トン減の1,039.20トンとなった。米中の通商合意見通しなどを受けて利食い売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期されている。9月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万6,749枚(前週26万6,410枚)となっている。
 10月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.28トン減の1,046.93トンとなった。安全資産として買われ、1,058.66トンまで増加したのち、利食い売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期されている。9月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万6,749枚(前週26万6,410枚)となっている。

NYプラチナは米利下げや米中の通商合意が下支え

 ニューヨーク・プラチナ1月限は、金軟調につれ安となり、10月22日以来の安値1,501.6ドルを付けたのち、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定されたことや米中の通商合意を受けて下げ一服となった。ただ上海プラチナの出来高は減少しており、高値での買い意欲が戻るかどうかを確認したい。また米政府機関閉鎖の行方も焦点である。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで12.29トン(前週末12.82トン)、31日のニューヨークで38.48トン(同37.77トン)、30日の南アで7.19トン(同7.27トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は米政府機関閉鎖を受けて発表が延期されている。9月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2,042枚(前週1万5,203枚)となっている。

ニューヨーク金は4,000ドル割れで下げ一服

 ニューヨーク金は米中の通商合意見通しや米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて売り優勢となったが、通商合意が伝えられると下げ一服となった。中心限月となる12月限は10月3日以来の安値3,901.3ドルを付けたのち、下げ一服となった。米中の通商合意を受けて弱材料が一巡し、買い戻しなどが入った。米FOMCで利下げが決定されたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は12月利下げは既定路線ではないと述べた。一方、米政府機関閉鎖について、4日の選挙後に協議がやや容易になるとみられている。

11月3日からの週の注目ポイント

3日

文化の日

4日

オーストラリア準備銀行政策金利公表

米貿易収支(9月)

米耐久財受注(9月確報)

米製造業新規受注(9月)

5日

日銀金融政策決定会合議事要旨公表(9月18-19日)

中国RatingDogサービス業購買担当者景況指数

独製造業受注(9月)

ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(10月確報)

ユーロ圏購買担当者総合景況指数(10月確報)

ユーロ圏生産者物価指数(9月)

ADP全米雇用報告(10月)

米ISM非製造業景況指数(10月)

6日

独鉱工業生産指数(9月)

ユーロ圏小売売上高(9月)

英中銀(BOE)政策金利公表

米新規失業保険申請件数

米卸売在庫(9月確報)

7日

全世帯家計調査・消費支出(9月)

中国貿易収支(10月)

独貿易収支(9月)

米雇用統計(10月)

米ミシガン大消費者信頼感指数(11月速報)

※米政府機関閉鎖の影響で米経済指標の発表が延期になる可能性があります。

※重要度を3段階で表示

金 (現物1oz.あたり) 日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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