2025-07-12 21:39:27

金は米国の財政不安や関税懸念が支援

更新:2025/5/26

提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は地政学的リスクも確認

 5月19日の週のニューヨーク金市場は、ムーディーズの米国債格下げなど米国の財政不安を受けて買い優勢となった。トランプ米大統領がアップルと欧州連合(EU)の関税について警告したことも支援要因となった。中心限月となる6月限は8日以来の高値3,366.5ドルを付けた。
 米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは、米国債の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げた。米国の債務と財政赤字の急増が背景にある。フィッチ・レーティングスとS&Pグローバル・レーティングが既に引き下げており、影響は限定的とみられたが、ムーディーズは米金融大手JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴの長期信用格付けも引き下げた。160億ドルの米20年債入札の需要は軟調となり、最高落札利回りは5.047%に達した。20年債利回りは一時5.125%と2023年11月初旬以来の高水準となった。またトランプ米大統領の大型減税を盛り込んだ税制・歳出法案が下院で可決された。議会予算局によると今後10年間で連邦債務が3兆8,000億ドル程度増える見込みである。米10年債利回りは2月13日以来の高水準となる4.60%を付けた。さらに米大統領の発言で関税に対する懸念が再燃した。米大統領はiPhoneが海外で製造されたものならば、アップルが25%の関税を支払う必要があると主張、欧州連合(EU)からの輸入品に6月1日から50%の関税を課すことを勧告するとした。米シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は、米大統領がEUからの輸入品に50%の関税を課す方針を示したことは、サプライチェーンにとって脅威だと述べた。ただ米大統領は25日、欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談を受け、EUに対する50%の関税発動期限を7月9日まで延長すると述べた。
 4月の米輸入物価指数は前月比0.1%上昇した。資本財コストの急増がエネルギー製品の価格低下を相殺し、予想外の上昇となった。3月は0.4%下落していた。5月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は50.8と4月確報値の52.2から低下し、事前予想の53.4を下回った。一方、1年先の期待インフレ率は7.3%と前月の6.5%から急上昇し、トランプ米大統領が強硬に進める予測不能な貿易政策の経済的影響を巡る懸念が続いていることを示唆した。5月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.1と前月の50.6から上昇した。米中貿易戦争の休戦を受けて回復したものの、米大統領による広範な関税政策を背景に価格指数が上昇した。4月の米新築一戸建て住宅販売戸数は年率換算で前月比10.9%増の74万3,000戸と、2022年2月以来の高水準となった。建設業者による値下げを背景に予想外に増加した。インフレ懸念の高まりは米連邦準備理事会(FRB)の利下げを見送る要因となっている。
 ウクライナのウメロフ国防相は、トルコのイスタンブールで行ったロシアとの約3年ぶりの直接交渉の次のステップは、ウクライナとロシアの首脳会談になるとの考えを示した。両国はそれぞれ1,000人の戦争捕虜を交換することなどで合意した。トランプ米大統領は19日、ロシアのプーチン大統領との電話会談で即時停戦を迫ったが、同意を得られなかった。米大統領は欧州首脳らとの電話会談で、プーチン大統領にはウクライナでの戦争終結の意思がないと伝えた。捕虜交換が伝えられたが、ロシアは25日、首都キーウを含むウクライナの複数都市にドローン298機とミサイル69発による大規模攻撃を行った。ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSのテレグラムに「米国の沈黙、世界の他の国々の沈黙はプーチン大統領を勇気づけるだけだ。ロシアによるこのようなテロ攻撃は全て、新たな制裁の十分な理由となる」と投稿した。
 5月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末3.73トン増の922.46トンとなった。米国の財政不安を受けて投資資金が戻った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月20日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万3,981枚となり、前週の16万1,209枚から拡大した。今回は手じまい売りが129枚、買い戻しが2,901枚入って、2,772枚買い越し幅を拡大した。

プラチナはドル安や金堅調でテクニカル要因の買い

 ニューヨーク・プラチナ7月限はドル安や金堅調を受けて買い優勢となった。戻り高値を突破し、テクニカル要因の買いも入り、2025年5月以来の高値1,104.8ドルを付けた。またワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告で3年連続の供給不足見通しになることが伝えられた。高値での買いが続くかどうかを確認したい。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで19.26トン(前週末19.23トン)、23日のニューヨークで33.61トン(同32.48トン)、22日の南アで10.94トン(同10.70トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月20日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7,396枚となり、前週の9,316枚から拡大した。

ニューヨーク金は米国の財政不安で押し目買い

 ニューヨーク金はムーディーズの米国債格下げなど米国の財政不安を受けて押し目を買われた。中心限月の6月限は4月10日以来の安値3,123.3ドルを付けたのち、米国売りの再開を受けて押し目を買われた。トランプ米大統領がアップルと欧州連合(EU)の関税について警告しており、協議の行方も確認したい。

5月26日からの週の注目ポイント

26日 英国、米国休場

景気動向指数(3月改定)

27日 中国工業利益(4月)

米個人所得・支出(4月)

米耐久財受注(4月速報値)

米S&Pケース・シラー住宅価格指数(3月)

米消費者信頼感指数(5月)

28日 NZ準備銀行政策金利公表

独雇用統計(5月)

米FOMC議事録公表(5月6-7日)

29日 フランス、スイス休場

南ア準備銀行政策金利公表

米国内総生産(1-3月期改定値)

米新規失業保険申請件数

米中古住宅販売仮契約指数(4月)

30日 失業率(4月)

鉱工業生産指数(4月速報)

小売業販売額(4月速報)

独消費者物価指数(5月速報)

米卸売在庫(4月速報値)

シカゴ購買部協会景気指数(5月)

米ミシガン大消費者信頼感指数(5月確報値)

※重要度を3段階で表示

金 (現物1oz.あたり) 日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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