2025-07-12 22:31:04

金は貿易摩擦の緩和期待が圧迫

更新:2025/5/19

提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米ロ・ウクライナ首脳の電話会談も確認

 5月12日の週のニューヨーク金市場は、米中の関税引き下げ合意で貿易摩擦の緩和期待を受けて売り優勢となった。中心限月となる6月限は4月10日以来の安値3,123.3ドルを付けた。
 ベッセント米財務長官は、米中の貿易問題を巡る閣僚級協議で2国間の貿易戦争の緩和に向けて「大きな進展」があったと述べた。米中は相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意したと発表した。上乗せ分の90日間の停止、経済・貿易関係に関する協議メカニズムの構築も打ち出した。中国はレアアース(希土類)および軍事用途の他製品・技術の輸出を米国の28組織に対して制限していた措置を一時的に停止した。また米国は各国との貿易協議で通貨政策の約束を盛り込もうとはしていないと伝えられた。カナダで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で日米財務相会談が模索されており、交渉の行方を確認したい。
 4月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%上昇した。伸びは3月の2.4%から鈍化し、2021年2月以来の低水準となった。米小売売上高は前月比0.1%増加した。米関税措置発表前にみられた自動車購入前倒しの動きによる効果が薄れ、伸びは前月から減速した。5月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は50.8と4月確報値の52.2から低下し、市場予想の53.4を下回った。一方、1年先の期待インフレ率は7.3%と、前月の6.5%から急上昇した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はここ数年のインフレ動向や、今後数年間に供給ショックとそれに伴う価格上昇が頻繁に起こる可能性を踏まえ、現在の金融政策アプローチにおいて雇用とインフレを巡る重要要素を再検討する必要があるとの認識を示した。一方、米格付け会社ムーディーズ・レーティングスは16日、米国の長期発行体格付けと無担保優先債格付けを最上位の「Aaa(トリプルA相当)」から「Aa1(ダブルAクラス)」に1段階引き下げたと発表した。格下げの理由について「歴代の米政権と議会は、巨額の年間財政赤字と金利負担の増加傾向を反転させる措置で合意できなかった」と指摘した。米国売りが再開するかどうかも焦点である。
 ロシアとウクライナの和平に向けて16日にトルコのイスタンブールで行われた両国の3年ぶりの直接協議は約2時間で終了した。開催地のトルコも同席したが、両国間の溝が埋まる兆しは見られなかった。ウクライナ側は、ロシアの要求は「実現不可能」と述べた。ただそれぞれ1,000人の戦争捕虜を交換することで合意したという。トランプ米大統領は17日、ロシアのプーチン大統領およびウクライナのゼレンスキー大統領と19日に個別に電話協議を行う予定だと明らかにした。停戦協議が進むかどうかを確認したい。
 5月16日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末19.21トン減の918.73トンとなった。貿易摩擦の緩和見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月13日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万1,209枚となり、前週の16万2,497枚から縮小した。今回は新規買いが746枚、新規売りが2,034枚出て、1,288枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは金軟調に上値を抑えられる

 ニューヨーク・プラチナ7月限は米中の関税引き下げ合意を受けて4月2日以来の高値1,009.0ドルを付けたのち、金軟調を受けて上げ一服となった。貿易摩擦の緩和期待が高まったが、金軟調に上値を抑えられた。米国と各国の貿易協議の行方を確認したい。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、15日のロンドンで19.23トン(前週末19.23トン)、16日のニューヨークで32.48トン(同32.48トン)、15日の南アで10.73トン(同10.73トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月13日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは9,316枚となり、前週の9,510枚から縮小した。

ニューヨーク金はダブルトップを形成

 ニューヨーク金は米中の関税引き下げ合意で貿易摩擦の緩和期待が圧迫要因になった。中心限月の6月限は5月1日安値3,209.4ドルを割り込み、4月10日以来の安値3,123.3ドルを付けた。ダブルトップを形成し、金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、米国と各国の貿易協議が順調に進むと圧迫要因になるとみられる。ただ米国の景気減速懸念や地政学的リスクに対する懸念が残ることが下支え要因である。

5月19日からの週の注目ポイント

19日

カナダ休場

中国住宅価格指数(4月)

中国小売売上高(4月)

中国鉱工業生産(4月)

ユーロ圏消費者物価指数(4月確報)

20日

オーストラリア準備銀行政策金利公表

独生産者物価指数(4月)

ユーロ圏国際収支(3月)

21日

貿易収支(4月速報)

英消費者物価指数(4月)

22日

機械受注(3月)

ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(5月速報)

ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(5月速報)

独ifo景況感指数(5月)

米新規失業保険申請件数

米中古住宅販売統計(4月)

23日

消費者物価指数(4月)

独国内総生産(1-3月期確報)

英小売売上高(4月)

米新築住宅販売(4月)

※重要度を3段階で表示

金 (現物1oz.あたり) 日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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