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金は史上最高値更新後にリスク回避で急落
2025/4/7
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米大統領の次の一手を警戒
3月31日の週のニューヨーク金市場は、トランプ米大統領の相互関税発表を受けて史上最高値を更新したのち、貿易戦争の激化に対する懸念からリスク回避の動きが出ると急落した。中心限月の6月限は一代高値3,201.6ドルを付けたのち、調整局面を迎えた。米大統領は、世界の貿易相手国に対して相互関税を課すと発表した。米国への全輸出国に最低10%の関税を賦課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に一段と高い関税率を適用する。関税率は対中国が34%、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、ベトナムは46%となった。カナダとメキシコは既に麻薬密売と不法移民に関連した25%の関税を課せられている。中国の場合、合成麻薬フェンタニルの米国への流入に関して先に賦課された20%の関税と合わせると、税率は計54%に達する。中国財政省は、米国の相互関税への対抗措置として10日から全ての米国製品に34%の追加関税を課すと発表した。貿易戦争の激化に対する懸念から株価が急落し、リスク回避の動きとなった。米大統領は「中国は間違った対応をした」と述べており、中国への対応を確認したい。EUも報復措置を示唆しており、各国の対応も焦点である。米大統領は就任以降、不法移民の強制送還や政府機関の閉鎖、関税措置と相次いで発表しており、市場では次の一手は金融との見方も出ている。
3月の米ISM製造業購買担当者景気指数は49.0と前月の50.3から低下し、3カ月ぶりに節目となる50を割り込んだ。市場予想は49.5だった。米ISM非製造業総合指数は50.8と前月の53.5から低下した。2024年6月以来の低水準となり、関税措置を巡る不確実性から第1四半期の経済成長が大幅に減速するとの見方を裏付ける形となった。市場予想は53だった。一方、3月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は15万5,000人増加し、伸びが加速した。ただ関税による経済不確実性の高まりを背景に労働市場が減速しているとのエコノミストの見方は変わらなかった。市場予想は11万5,000人増。前月は7万7,000人増から8万4,000人増に上方修正された。米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万8,000人増加し、事前予想の13万5,000人増を大幅に上回った。失業率は4.2%と前月の4.1%から上昇した。事前予想は4.1%。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、トランプ米大統領の新たな関税措置は「予想以上に大きく」、インフレや成長などへの影響も同様に予想以上となる公算が大きいという見解を示した。市場ではインフレと景気後退でスタグフレーションになるとの見方が強まっている。
ロシアのリャプコフ外務次官は、ウクライナ戦争終結に向けた米国の提案は現状のままでは受け入れることができないとの認識を示した。ロシアが紛争の根本原因と考えている問題に対処していないためという。ロシアのドミトリエフ大統領特使はワシントンを訪問し、トランプ米政権メンバーと協議し、「確かに対話の回復は困難で緩やかなプロセスだ。ロシアの立場を本当に理解することで、投資や経済分野を含む建設的な協力の新たな機会が開かれる」と述べた。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナへの外国部隊派遣について、欧州の軍当局者らが1カ月以内に準備できるという見通しを示した。
4月4日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.86トン増の932.80トンとなった。貿易戦争に対する懸念を受けて936.24トンまで増加したのち、リスク回避の動きを受けて換金売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月1日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万8,434枚となり、前週の24万9,796枚から縮小した。今回は新規買いが1万1,364枚、新規売りが2万2,726枚出て、1万1,362枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはリスク回避で2023年11月以来の安値
ニューヨーク・プラチナ7月限は金堅調が下支えになったが、米大統領の相互関税発表をきっかけとしたリスク回避の動きを受けて急落し、2023年11月以来の安値910.7ドルを付けた。中国が米国の相互関税に対する報復措置を発表し、貿易戦争の激化に対する懸念が強い。欧州連合(EU)の対応も当面の焦点である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、3日のロンドンで19.06トン(前週末18.94トン)、4日のニューヨークで33.36トン(同33.36トン)、3日の南アで10.62トン(同10.56トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月1日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万4,975枚となり、前週の1万3,558枚から拡大した。
ニューヨーク金は一代高値更新後に急反落
ニューヨーク金は米大統領の相互関税発表を受けて一代高値を更新したのち、貿易戦争の激化に対する懸念からリスク回避の動きが出ると急反落した。中心限月の6月限は一代高値3,201.6ドルを付けたのち、調整局面を迎えた。また米大統領の相互関税を受けて中国が報復措置を発表した。トランプ米大統領は「中国は間違った対応をした」と述べており、今後の対応を確認したい。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は新たな関税措置は予想以上に大きいとしており、経済指標でインフレや成長への影響も焦点である。
4月7日からの週の注目ポイント
7日 | 独貿易収支(2月) | ☆☆ |
独鉱工業生産指数(2月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(2月) | ☆☆ | |
8日 | 国際収支・経常収支(2月) | ☆☆ |
9日 | NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
米FOMC議事録公表(3月18-19日) | ☆☆ | |
10日 | 企業物価指数(3月) | ☆☆ |
中国消費者物価指数(3月) | ☆☆ | |
中国生産者物価指数(3月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米消費者物価指数(3月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(3月) | ☆☆ | |
11日 | 独消費者物価指数(3月確報) | ☆☆ |
英貿易収支(2月) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(2月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(3月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(4月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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