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金は史上最高値更新後に調整局面
2025/3/24
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は関税交渉や地政学的リスクを確認
3月17日の週のニューヨーク金市場は、地政学的リスクやドル安、貿易戦争に対する懸念を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は一代高値3,065.2ドルを付けたのち、利食い売り主導で調整局面を迎えた。トランプ米大統領がイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する軍事攻撃を指示したことに加え、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ北部のベイトラヒヤなどを空爆したことを受けて中東情勢に対する懸念が高まった。米大統領はイランにもフーシ派への支援を直ちに停止するよう警告し、イラン産原油取引に絡む新たな制裁を発表した。イスラエルのネタニヤフ首相は、停戦回復に向けた交渉は「砲火の下でのみ」継続すると表明した。イスラエル軍は22日、レバノンから撃ち込まれたロケット弾への報復攻撃を発表しており、中東情勢の行方を確認したい。一方、米ロ首脳会談で、ウクライナのエネルギー施設やインフラに対する攻撃を30日間停止することで合意した。米当局者は24日にサウジアラビアで、ロシアおよびウクライナの代表とそれぞれ個別に会談する。黒海の船舶を対象とした停戦交渉が進む見通しである。ただ包括的な停戦合意は4月中旬まで実現する可能性は低いとみられている。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、トランプ米政権の鉄鋼・アルミニウム関税に対する第1段階の対抗措置発動を4月中旬まで延期すると発表した。欧米のアルコールに対する関税の交渉の行方を確認したい。一方、トランプ米大統領は4月2日に全ての貿易相手国に対する相互関税を発動する方針を示している。複数の当局者はグローバル関税ではなく、焦点を絞ったものになる見通しとしており、貿易戦争に対する懸念が後退する可能性が出ている。ただ各国の中央銀行が関税政策の先行き不透明感を指摘しており、市場での不安感が強い。
米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25~4.50%に据え置いた。ただ経済減速が見込まれるなか、年内2回の利下げ見通しを維持した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は政策変更を急いでいないとし、米政権が打ち出す一連の政策がさらに明確となるまで待つ姿勢を示した。米国の関税発動がインフレに与える影響を精査すべきかどうかを判断するのは時期尚早で、物価上昇のどの程度が関税に起因するのかを判断するのは難しいとした。
3月21日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比24.10トン増の930.51トンとなった。地政学的リスクやドル安、貿易戦争に対する懸念を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月18日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万7,932枚となり、前週の23万6,100枚から縮小した。今回は新規買いが2万5,482枚、新規売りが3,650枚出て、2万1,832枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは貿易戦争の行方を確認
ニューヨーク・プラチナ4月限は中国の景気刺激策や金堅調を受けて買い優勢となり、2月14日以来の高値1,036.3ドルを付けたが、株安に上値を抑えられると、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて手じまい売りが出た。貿易戦争に対する懸念が高まったことが上値を抑える要因である。トランプ米大統領は4月2日に相互関税を発動する方針であり、各国に対する自動車関税の行方を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、20日のロンドンで19.32トン(前週末20.20トン)、21日のニューヨークで33.36トン(同33.08トン)、19日の南アで10.56トン(同10.59トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月18日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,507枚となり、前週の1万5,748枚から拡大した。
ニューヨーク金は一代高値更新後に調整局面
ニューヨーク金は地政学的リスクやドル安、貿易戦争に対する懸念を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は一代高値3,065.2ドルを付けたのち、利食い売り主導で調整局面を迎えた。イスラエルのガザ攻撃を受けて地政学的リスクが再び高まった。また米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きが決定されたが、年2回の利下げ見通しが示されたことを受けてドル安に振れた。ただ月末を控えて利食い売りが出た。一方、欧米のアルコールに対する関税の交渉や米大統領が4月2日に相互関税を発動する方針であることを受けて貿易戦争に対する懸念が強い。各国中銀も関税政策による不透明感を指摘しており、内容を確認したい。
3月24日からの週の注目ポイント
24日 | ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月速報) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月速報) | ☆☆ | |
25日 | 日銀金融政策決定会合議事要旨公表(1月23-24日分) | ☆☆ |
独ifo景況感指数(3月) | ☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(1月) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(2月) | ☆☆☆ | |
米消費者信頼感指数(3月) | ☆☆ | |
26日 | 英消費者物価指数(2月) | ☆☆☆ |
米耐久財受注(2月速報値) | ☆☆ | |
27日 | 中国工業利益(2月) | ☆☆ |
米国内総生産(10-12月期確報値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(2月) | ☆☆ | |
28日 | 英国内総生産(10-12月期確報値) | ☆☆☆ |
英貿易収支(1月) | ☆☆ | |
英小売売上高(2月) | ☆☆ | |
独雇用統計(3月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(2月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(3月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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