2025-06-22 17:35:46

金は逃避買いで上値を試す

2025/3/17
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は地政学的リスクも確認

 3月10日の週のニューヨーク金市場は、貿易戦争に対する懸念やドル安を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は一代高値3,017.1ドルを付けた。米国は12日、すべての貿易相手国に対する25%の鉄鋼・アルミニウム関税を発動した。カナダのオンタリオ州が報復措置を発表すると、トランプ米大統領は25%の追加関税を課すとした。同州のフォード首相が計画停止を発表すると、米大統領は追加関税を撤回した。欧州連合(EU)は、米国の鉄鋼・アルミ関税に対抗し、来月から260億ユーロ相当の米国製品に関税を課すとした。米大統領はEUが米国産ウイスキーへの課税措置を撤廃しなければ、EUから輸出されるワインやシャンパンなど全てのアルコール製品に200%の関税を課すと述べた。また4月2日に全ての貿易相手国に対して相互関税を課す計画を変える考えはないとした。貿易戦争激化で先行き不透明感が強い。
 2月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.8%上昇と前月の3.0%から伸びが鈍化し、事前予想の2.9%を下回った。米生産者物価指数(PPI)は前月比で7カ月ぶりに横ばいとなった。事前予想は0.3%上昇。前年比では3.2%上昇と前月の3.7%上昇から伸びが鈍化した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、トランプ新政権の政策が経済にどのような影響を与えるかがより明確になるまで、米FRBは利下げを急ぐつもりはないとの見解を示した。一方、3月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は57.9と前月の64.7から大幅に悪化し、約2年半ぶりの低水準となった。事前予想は63.1だった。1年先期待インフレ率は4.9%に上昇した。5年先は3.9%と1993年序盤以来の高水準となった。前月はそれぞれ4.3%、3.5%だった。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれている。
 ドイツの次期首相候補のメルツ・キリスト教民主同盟 (CDU)党首は、防衛・インフラ支出のための財政改革パッケージを巡り、緑の党と合意に達した。米国はウクライナとサウジアラビアで実施した高官協議で、ウクライナへの軍事支援と情報共有を直ちに再開することで合意した。両国が発表した共同声明によると、ウクライナはロシアと30日間の暫定停戦を巡る米国の提案を受け入れる用意があると表明した。ロシアのプーチン大統領は、ロシアはウクライナとの停戦に向けた米国の提案に同意するとしつつも、いかなる停戦も紛争の根源的な要因を排除した上で恒久的な平和につなげる必要があるとし、多くの事項で詳細を詰めなければならないと述べた。今週はトランプ米大統領がプーチン大統領と電話会談する可能性がある。一方、米大統領は15日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する大規模な軍事攻撃を指示した。紅海やアデン湾などでフーシ派が繰り返す商船攻撃への報復措置として攻撃した。イランにもフーシ派への支援を直ちに停止するよう警告した。またイスラエル軍は15日、パレスチナ自治区ガザ北部のベイトラヒヤなどを空爆した。ドローン(無人機)を操作する2人をベイトラヒヤの部隊に脅威を与える「テロリスト」と認定して攻撃した。イスラム組織ハマスは、イスラエルが停戦合意を反故にしようとしていると非難した。中東情勢の行方も確認したい。
 3月14日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比12.07トン増の906.41トンとなった。貿易戦争に対する懸念やドル安を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月11日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6,100枚となり、前週の24万3,261枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,960枚、新規売りが201枚出て、7,161枚買い越し幅を縮小した。

プラチナはドル安や金堅調が支援

 ニューヨーク・プラチナ4月限はドル安や金堅調を受けて買い優勢となり、2月14日以来の高値1,022.6ドルを付けた。ドイツの防衛費増額見通しなどを受けてユーロ高に振れた。ウクライナの停戦交渉の行方も当面の焦点である。一方、中国全人代で今年の経済成長率の目標を5%前後とした政府活動報告などを承認した。中国国務院は声明で、国民の所得押し上げによる消費回復に向けた措置を講じるとした。貿易戦争に対する懸念が上値を抑える要因だが、中国勢の買いが続くかどうかも確認したい。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、13日のロンドンで20.09トン(前週末19.96トン)、14日のニューヨークで33.08トン(同33.22トン)、13日の南アで10.68トン(同10.71トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,748枚となり、前週の1万3,852枚から拡大した。

ニューヨーク金は逃避買いで一代高値を更新

 ニューヨーク金は貿易戦争に対する懸念やドル安を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は一代高値3,017.1ドルを付けた。米国は12日、すべての貿易相手国に対する25%の鉄鋼・アルミニウム関税を発動した。一方、米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)でインフレ鈍化が示されたが、米ミシガン大消費者信頼感指数速報値でインフレ期待の上昇が示された。またドイツで財政改革パッケージが合意した。今週はトランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談する可能性がある。

3月17日からの週の注目ポイント

17日 中国住宅価格指数(2月) ☆☆
中国小売売上高(2月) ☆☆
中国鉱工業生産(2月) ☆☆
米小売売上高(2月) ☆☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(3月) ☆☆
米企業在庫(1月) ☆☆
18日 日銀金融政策決定会合1日目 ☆☆
ユーロ圏貿易収支(1月) ☆☆
独ZEW景況感指数(3月) ☆☆
米住宅着工・許可件数(2月) ☆☆☆
米輸出入物価指数(2月) ☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(2月) ☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 ☆☆
19日 機械受注(1月) ☆☆
貿易収支(2月速報) ☆☆
日銀総裁記者会見 ☆☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(2月確報) ☆☆☆
米FOMC声明文公表 ☆☆☆
対米証券投資(1月) ☆☆
20日 春分の日
英雇用統計(2月) ☆☆
英中銀政策金利公表 ☆☆☆
スイス国立銀行政策金利公表 ☆☆☆
南ア準備銀行政策金利公表 ☆☆☆
米経常収支(10-12月期) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(3月) ☆☆
米中古住宅販売統計(2月) ☆☆
21日 南ア休場
消費者物価指数(2月) ☆☆☆
ユーロ圏国際収支(1月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

当コラムに関してご留意頂きたい事項

  • 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
  • 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
  • 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。

ご注意事項

  • 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
  • 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
  • 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
    また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。
  • 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
  • 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
  • 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
  • スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
ユーザーネーム
パスワード

セキュリティキーボード

ログインにお困りの方

東京建物株式会社第36回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(サステナビリティボンド)

よくあるお問合せ
・口座開設の流れ
・NISA関連のお問合せ
・パスワード関連のお問合せ

HYPER SBI 2 ダウンロード

金・銀・プラチナの投資情報

SBI証券はお客様の声を大切にしています

  • 国内株式の入庫と条件達成で他社出庫手数料還元キャンペーン!