金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金はドル安で押し目を買われる
金はドル安で押し目を買われる
2025/3/10
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はウクライナの停戦協議を確認
3月3日の週のニューヨーク金市場は、欧州のウクライナ支援表明や米国の関税発動によるドル安を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は2月26日以来の高値2,941.3ドルを付けた。ドイツ連邦銀行は4日、憲法で定められた借り入れ上限(債務ブレーキ)の抜本的な改革を提案した。これにより政府は2030年までに、最大2,200億ユーロの追加資金を国防と投資に充てることができるとしている。欧州連合(EU)は6日、防衛力の強化などを協議する臨時の首脳会議をブリュッセルで開き、防衛費増額計画を支持するとともに、ウクライナへの継続支援を改めて確認した。米大統領は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が自国の国防費を十分に支払わなければ、米国は防衛しないと述べた。トランプ米政権のウィトコフ中東担当特使は、ウクライナと和平合意や停戦の枠組みを巡り協議しており、サウジアラビアでウクライナ当局者と会談する計画と明らかにした。ウクライナのゼレンスキー大統領は、予定されている米国当局者との協議に先立ち、10日にサウジアラビアを訪問し、同国のムハンマド皇太子と会談すると発表した。
米国は4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国に対して10%の追加関税を発動した。カナダもこれに対して報復関税を発動した。中国政府は米国の関税への報復措置として、米国産の農産物や食品などに対して10~15%の追加関税を課すと発表した。ただトランプ大統領は5日、北米製の一部の自動車について関税導入を30日間延期することを発表した。また6日にはメキシコとカナダに対する25%の関税について、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除するとした。鉄鋼とアルミニウムの関税引き上げ計画には変更はないとした。ナバロ米大統領上級顧問(貿易・製造業担当)は、4月2日に導入を計画する相互関税の税率について、「各国が米国に課す関税および非関税障壁に内在する不公平さを反映した1つの数字を国ごとに課す」と明らかにした。
2月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は15万1,000人増加した。伸びは前月の12万5,000人増から加速したものの、市場予想の16万人増を下回った。失業率は4.1%と前月の4.0%から上昇した。2月の米ISM製造業購買担当者景気指数は50.3と前月の50.9から低下し、市場予想の50.6も下回った。また米ISM非製造業総合指数は53.5と前月の52.8から上昇した。価格指数が上昇し、最近みられる工場での原材料価格の急騰と相まって、今後数カ月でインフレが加速する可能性を示唆した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、トランプ政権の政策が経済にどのような影響を与えるかがより明確になるまで、FRBは利下げを急ぐつもりはないとの見解を示した。一方、欧州中央銀行(ECB)理事会では、主要政策金利の預金金利を0.25%引き下げ、2.50%とした。ラガルドECB総裁は理事会後の会見で、金利の方向性は下向きとする従来の指針を繰り返し表明することは避け、利下げと据え置きの双方の可能性があると強調した。
3月7日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比10.04トン減の894.34トンとなった。貿易戦争でリスク回避の動きが警戒されるなか、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月4日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万3,261枚となり、前週の26万1,625枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万3,816枚、新規売りが4,548枚出て、1万8,364枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはドル安も貿易戦争に対する懸念が上値を抑える
ニューヨーク・プラチナ4月限はドル安や金堅調を受けて買い優勢となり、2月26日以来の高値989.2ドルを付けた。欧州のウクライナ支援表明を受けてリスク回避の動きが一服した。ただ貿易戦争に対する懸念からリスク回避の動きが出たことが上値を抑える要因である。一方、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告で、プラチナは3年連続の供給不足見通しとなった。投資需要や宝飾品需要の増加は下支え要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、6日のロンドンで19.96トン(前週末19.85トン)、7日のニューヨークで33.22トン(同33.80トン)、6日の南アで10.71トン(同10.68トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月4日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,852枚となり、前週の1万6,176枚から縮小した。
ニューヨーク金はドル安が下支え
ニューヨーク金はドル安を受けて買い優勢となった。欧州のウクライナ支援表明や米国の関税発動を受けてドル安に振れた。中心限月の4月限は2月26日以来の高値2,941.3ドルを付けた。ただリスク回避の動きが警戒されるなか、金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、高値での買いが続くかどうかを確認したい。今週はウクライナのゼレンスキー大統領がサウジアラビアを訪問し、同国のムハンマド皇太子と会談し、米国の当局者とも会談する。
3月10日からの週の注目ポイント
10日 | 国際収支・経常収支(1月) | ☆☆ |
独貿易収支(1月) | ☆☆ | |
独鉱工業生産指数(1月) | ☆☆ | |
11日 | 国内総生産(10-12月期2次速報) | ☆☆☆ |
12日 | 企業物価指数(2月) | ☆☆ |
米消費者物価指数(2月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(2月) | ☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
13日 | ユーロ圏鉱工業生産(1月) | ☆☆ |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米生産者物価指数(2月) | ☆☆ | |
14日 | 独消費者物価指数(2月確報) | ☆☆ |
英貿易収支(1月) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(1月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(3月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。