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金は米大統領の相互関税の行方を確認
2025/2/10
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は予想以下の米雇用統計も支援
2月3日の週のニューヨーク金市場は、米中の貿易戦争に対する懸念や予想以下の米雇用統計を受けて上値を試した。中心限月の4月限は一代高値2,910.6ドルを付けた。米国のカナダとメキシコからの輸入品に対する関税は1カ月延期されたが、中国に対する関税は4日に発動した。メキシコのシェインバウム大統領やカナダのトルドー首相との電話会談で、麻薬の流入阻止に向け、国境警備を強化することで合意した。一方、中国が合成麻薬フェンタニルの米国流入を阻止しなければ関税は大幅に引き上げられるとした。中国は報復措置として米国産の石炭と液化天然ガス(LNG)に15%、原油、農機具、一部の商用車・乗用車に10%の関税を10日に発動すると発表した。トランプ米大統領は中国の習国家主席の会談を予定している。米大統領は石破茂首相との会談の際に多くの国に対する相互関税を発表することを計画しているとした。追加関税は、米財政赤字の縮小に寄与する可能性があるとした。米大統領は10日に全ての国の鉄鋼とアルミニウム輸入への25%関税を発表した。欧州連合(EU)の自動車輸入関税10%が米国の2.5%よりはるかに高いとしており、さらなる相互関税が発表されるとみられる。
1月の米ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と前月の49.2から上昇し、2022年9月以来の高水準となった。事前予想は49.8。米ISM非製造業総合指数は52.8と前月の54.0から低下した。事前予想の54.3から予想外に低下した。1月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は14万3,000人増と前月の25万6,000人増から伸びが鈍化し、市場予想の17万人増も下回った。ただ失業率は4.0%と昨年5月以来の低水準にある。一方、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)のリストラが開始された。米国際開発庁(USAID)の再編が打ち出され、約200万人の連邦政府職員に対して早期退職が促された。裁判所の差し止めの動きもあるが、マスク氏はUSAIDについて「腐敗した組織で修復不可能だ」としており、資金の流れが明らかにされつつある。不法移民の強制送還も開始されており、今後の労働市場に対する影響を確認したい。
パレスチナのイスラム組織ハマスの報道官は4日、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意の第2段階に向けた協議が始まったことを明らかにした。トランプ米大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、ガザ地区からパレスチナ人を他の地域に移住させた上で米国が管理し、「中東のリビエラ」に変える構想を提案した。アラブ諸国を含む国際社会に加え、共和党内からも反発が出た。ルビオ米国務長官はガザ地区について、不発弾などが残されていて危険なため現時点で居住は不可能とし、復興中に住民は一時的に他の場所に居住する必要があるとの考えを示した。
2月7日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.73トン増の868.50トンとなった。米中の貿易戦争に対する懸念などを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月4日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは30万2,508枚となり、前週の29万9,409枚から拡大した。今回は新規買いが1万8,129枚、新規売りが1万5,030枚出て、3,099枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは急落も金堅調で買い戻される
ニューヨーク・プラチナ4月限は週初に急落したが、金堅調を受けて買い戻されて下げ一服となった。米国の関税発動が圧迫要因になったが、メキシコやカナダに対する関税発動が1カ月延期されたことが下支えになった。ただ中国に対する関税は発動した。トランプ米大統領は全ての国の鉄鋼とアルミニウム輸入への25%関税を発表しており、相互関税の行方を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、6日のロンドンで21.11トン(前週末19.61トン)、7日のニューヨークで33.52トン(同33.68トン)、6日の南アで11.10トン(同10.89トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月4日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万8,975枚となり、前週の1万3,373枚から拡大した。
ニューヨーク金は一代高値更新が続く
ニューヨーク金は米中の貿易戦争に対する懸念や予想以下の米雇用統計を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は一代高値2,910.6ドルを付けた。米国のカナダとメキシコからの輸入品に対する関税は1カ月延期されたが、中国に対する関税は4日に発動した。中国の米国に対する関税を10日に発動するとし、貿易戦争に対する懸念が高まった。トランプ米大統領は中国の習国家主席の会談を予定しており、関税の行方を確認したい。米大統領は各国に対する相互関税も計画している。
2月10日からの週の注目ポイント
10日 | 国際収支・経常収支(12月) | ☆☆ |
11日 | 建国記念日 | ☆ |
12日 | 米消費者物価指数(1月) | ☆☆☆ |
米財政収支(1月) | ☆☆ | |
13日 | 企業物価指数(1月) | ☆☆ |
独消費者物価指数(1月確報) | ☆☆ | |
英国内総生産速報値(10-12月期) | ☆☆☆ | |
英貿易収支(12月) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(12月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米生産者物価指数(1月) | ☆☆ | |
14日 | ユーロ圏域内総生産(10-12月期改定) | ☆☆☆ |
米小売売上高(1月) | ☆☆☆ | |
米輸出入物価指数(1月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(1月) | ☆☆ | |
米企業在庫(12月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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