金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金は米大統領の関税の動きを確認
金は米大統領の関税の動きを確認
2025/1/27
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はウクライナの停戦交渉も焦点
1月20日の週のニューヨーク金市場は、米政権の政策に対する不透明感を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は昨年10月31日以来の高値2,822.1ドルを付けた。トランプ米大統領は20日、就任式での演説で不法移民の取り締まりなどを優先課題に挙げ、「米国の黄金時代が今始まる」と表明した。就任初日に包括的な通商に関する覚書に署名するとしたが、当日の新たな関税措置の導入は見送られた。ただメキシコとカナダからの輸入品に最大25%の関税を2月1日までに賦課することを計画していると述べた。また欧州連合(EU)に関税を課す考えを表明し、中国からの輸入品に対して2月1日から10%の関税発動を検討しているとした。一方、23日のFOXニュースとのインタビューで、どちらかと言えば中国に対して関税は使いたくないとの考えを示した。関税発動はインフレにつながるとみられていることに加え、ロシアとのウクライナの停戦交渉を控えていることが背景にあるとみられる。米大統領は22日、ロシアがウクライナ戦争終結に合意しない場合、ロシアと「他の参加国」に高水準の税金や関税、制裁を課すと警告した。
トランプ米大統領は23日、世界経済フォーラム(WEF)のダボス会議でリモート演説し、米国で石油生産の拡大を図りつつ、インフレや不法移民対策に取り組むと表明した。関税計画について、「米国で製品を製造すれば、地球上のどの国よりも低い税金が適用される」と述べた。米大統領は「原油価格が下落している今、金利の即時引き下げを要求する」とし、「同様に世界中で金利が下がるべき」と述べた。またサウジアラビアと石油輸出国機構(OPEC)に原油価格の引き下げを求める考えも示した。米新規失業保険申請件数は前週比6,000件増の22万3,000件となった。事前予想は22万件。増加幅はわずかにとどまり、雇用増が1月も堅調に続いていることが示された。28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きが見込まれている。1月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.4と前月の55.4から低下し、昨年4月以来の低水準となった。1月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値は71.1と前月の74.0から低下した。速報値の73.2から下方修正された。6カ月ぶりに低下した。CMEのフェドウォッチで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げは5月になるとみられている。
イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意が19日に発効し、ハマスの人質解放とイスラエルのパレスチ人釈放が続いている。停戦の第1段階は6週間でハマスは98人の人質のうち、女性や子供ら33人を解放する見通しである。第2段階で恒久的な停戦を目指す予定であり、停戦維持と人質解放が続くかどうかを確認したい。
1月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比18.94トン減の860.18トンとなった。戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは30万0,784枚となり、前週の27万9,363枚から拡大した。今回は新規買いが2万4,721枚、新規売りが3,300枚入り、2万1,421枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは米関税の行方を確認
ニューヨーク・プラチナ4月限はドル安や株高が支援要因になり、13日以来の高値984.7ドルを付けた、トランプ米大統領の関税に対する不透明感を受けて上げ一服となった。米大統領はメキシコやカナダ、中国に対する関税を2月1日に発動させるとしたが、中国に対して関税は使いたくないとの見方を示した。一方、就任演説で地球温暖化対策から化石燃料生産へと米国の政策を方向転換させるため、「EV義務化」と呼ぶバイデン政権時代の電気自動車優遇措置を撤廃するとしたことは支援要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで19.36トン(前週末19.22トン)、24日のニューヨークで33.68トン(同33.68トン)、23日の南アで10.71トン(同10.77トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万4,608枚となり、前週の1万5,560枚から縮小した。
ニューヨーク金は一代高値が視野に入る
ニューヨーク金は米政権の政策に対する不透明感を受けて買い優勢となった。中心限月の4月限は昨年10月31日以来の高値2,822.1ドルを付けた。一代高値2,846.6ドルが視野に入った。トランプ米大統領はこれまでメキシコやカナダ、中国に対する関税を2月1日に発動させるとしていたが、中国に対して関税は使いたくないとの見方を示した。ウクライナの停戦交渉も控えており、関税の行方を確認したい。
1月27日からの週の注目ポイント
27日 | オーストラリア休場 | ☆ |
中国工業利益(12月) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(1月) | ☆☆ | |
中国非製造業購買担当者景況指数(1月) | ☆☆ | |
独ifo景況感指数(1月) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(12月) | ☆☆☆ | |
28日 | 中国休場 | ☆ |
米耐久財受注(12月速報値) | ☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(11月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(1月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
29日 | 中国、香港休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨(12月18-19日分) | ☆☆ | |
米FOMC声明文公表 | ☆☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
30日 | 中国、香港休場 | ☆ |
ユーロ圏域内総生産(10-12月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(12月) | ☆☆ | |
欧州中央銀行(ECB)理事会 | ☆☆☆ | |
南アフリカ準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米国内総生産(10-12月期速報値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(12月) | ☆☆ | |
31日 | 中国、香港休場 | ☆ |
失業率(12月) | ☆☆ | |
鉱工業生産指数(12月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(12月速報) | ☆☆ | |
中財新国製造業購買担当者景況指数(1月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(1月速報) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(12月) | ☆☆☆ | |
米雇用コスト指数(10-12月期) | ☆☆ | |
米シカゴ購買部協会景気指数(1月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。