金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 2025年の金は高値圏で乱高下
2025年の金は高値圏で乱高下
2024/12/30
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はトランプ米大統領就任による政策変更が焦点
2024年のニューヨーク金市場は、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争やロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクに加え、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始、米大統領選に対する不透明感を受けて上値を試した。中心限月ベースで史上最高値2,801.8ドルを付けた。その後は米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利すると、インフレ高止まり見通しからドル高に振れたことを受けて調整局面を迎えたが、ウクライナのロシアに対する反撃で核兵器使用に対する懸念が高まると価格は下落、押し目を買われた。一方、米FRBの利下げが続いたが、来年の利下げペース鈍化が示されると、上げ一服となった。2025年の金はトランプ米大統領の就任で米国の政策が大きく変更されることが焦点である。中東やウクライナの停戦が見込まれていることは圧迫要因だが、政策変更で貿易摩擦に対する懸念が残ることなどが下支え要因であり、高値圏で変動幅の大きな展開が予想される。
イスラエルのイスラム組織ハマスに対する攻撃が続いた。停戦交渉も試みられたが、条件がまとまらず、戦闘は継続した。ガザ攻撃が一巡すると、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの攻撃が開始され、ヒズボラは大打撃を受けた。ハマスやヒズボラを支援するイランがイスラエルを攻撃する場面も見られ、中東の緊張が高まった。一方、ウクライナはロシアとの戦線がこう着するなか、ロシアのクルスク州に侵攻した。ロシアがクルスク州に北朝鮮軍を投入すると、米国がウクライナに長距離ミサイルの使用を許可した。ロシアは核兵器使用を示唆しており、ウクライナが長距離ミサイルを使用すると、緊張が一段と高まった。ロシアは新型の中距離弾道ミサイルを試射し、威力が確認されると、ウクライナのゼレンスキー大統領の停戦に関する発言が出始め、緊張の高まりは一服した。米大統領選で勝利したトランプ前大統領はゼレンスキー大統領と会談し、停戦を促した。マクロン仏大統領と3者会談が開かれるなか、ロシアが支援するシリアのアサド政権が崩壊し、ロシアのプーチン大統領も和平交渉に応じる姿勢を示した。トランプ氏はイスラエルにも就任までに停戦を実現するよう圧力をかけており、1月20日の米大統領の就任式までにウクライナや中東の停戦が実現するかどうかを確認したい。ただゼレンスキー大統領はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を主張しており、交渉が長引く可能性もある。
米連邦準備理事会(FRB)は9月に利下げを開始し、12月も利下げを決定した。ただ米経済が底堅いことに加え、トランプ次期米大統領の政策でインフレ高止まりが見込まれることから、2025年の利下げ回数が2回とされ、9月の前回見通しの4回から半減する見通しとなった。次期米大統領は米国第1主義を主張し、不法移民や麻薬の排斥、関税引き上げ、減税、規制緩和を公約として掲げており、インフレにつながるとみられている。また政府効率化省のトップに実業家のイーロン・マスク氏を指名し、大幅な歳出削減を図る。リベラルの民主党から保守の共和党に政権が移譲し、政策が大きく変更されることに加え、大幅な歳出削減は市場にショックを与える可能性もある。2025年上半期は政策変更の発表に加え、関税引き上げで各国との交渉の行方が注目され、下半期は経済指標への影響を確認することになりそうだ。
12月27日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.88トン減の872.52トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)で利下げペース鈍化見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告はクリスマスの影響で30日に発表される。12月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万2,041枚となっている。
プラチナは貿易摩擦に対する懸念も供給不足見通しが下支え
ニューヨーク・プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げペース鈍化見通しやトランプ次期米大統領の関税引き上げによる貿易摩擦に対する懸念が圧迫要因である。次期米大統領は不法移民や麻薬でメキシコ、カナダ、中国に対する関税を引き上げるとし、BRICSに対しても脱米ドルを進めると100%の関税を課すとした。ただメキシコやカナダはトランプ氏と会談しており、交渉次第では関税引き上げが回避される可能性がある。中国は不動産不況に対して財政支出拡大と金融緩和方針を示したが、次期米大統領の関税引き上げの影響は不透明なため、規模は先送りにした。交渉の行方を確認したい。一方、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が3年連続の供給不足見通しを示していることは下支え要因である。ただ次期米大統領の政策次第で見通しが修正されるとみられ、四半期報告を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで18.46トン、27日のニューヨークで34.69トン(前週末34.69トン)、24日の南アで10.90トン(同10.90トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告はクリスマスの影響で30日に発表される。12月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,744枚となっている。
ニューヨーク金はポジション調整で方向性を模索
ニューヨーク金2月限は18日以来の高値2,655.7ドルを付けたのち、上げ一服となった。クリスマスと年末年始を控え、ポジション調整中心の商いとなるなか、方向性を模索する動きとなった。来年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ回数の見通しが半減したことが圧迫要因だが、利下げ見通しに変わりがないことやインフレ・ヘッジとして買われやすいことが下支え要因である。19日安値2,596.7ドルが支持線である。当面はトランプ米大統領の就任を控えた動きを確認したい。
12月30日からの週の注目ポイント
30日 | シカゴ購買部協会景気指数(12月) | ☆☆ |
米中古住宅販売仮契約指数(11月) | ☆☆ | |
31日 | 中国製造業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ |
中国非製造業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(10月) | ☆☆ | |
1日 | 元日 | ☆ |
2日 | ニュージーランド休場 | ☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(12月確報) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
3日 | 独雇用統計(12月) | ☆☆ |
英マネーサプライ(11月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(12月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。