2025-07-12 22:00:49

金は利下げペース鈍化見通しが圧迫

2024/12/23
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は中東やウクライナの停戦交渉も確認

 12月16日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げペース鈍化見通しが示されたことを受けて急落した。中心限月の2月限は11月18日以来の安値2,596.7ドルを付けた。米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.25~4.50%とした。金利・経済見通しでは2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で「今後はインフレの進展を見極めながら慎重に進む必要がある」と述べた。また英中銀は金利据え置きを決定し、ベイリー総裁は、利下げについて「段階的なアプローチ」を続ける必要があると指摘した。トランプ次期米大統領の就任を2025年1月に控えるなか、主要中銀は金利見通しに関して慎重な姿勢を示した。一方、日銀金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決定した。ハト派的な内容となり、円安が進んだ。
 11月の米小売売上高は前月比0.7%増加した。自動車やオンライン販売の加速に支えられ、事前予想の0.5%を上回った。第3四半期の米国内総生産(GDP)確報値は年率換算で前期比3.1%増と、改定値の2.8%から上方改定された。堅調な個人消費が示された。11月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.1%上昇と、前月の0.2%から伸びが鈍化した。金ETF(上場投信)に安値拾いの買いが入って下げ一服となった。ただ前年比では2.4%上昇し、前月の2.3%から伸びが加速した。CMEのフェドウォッチで、2025年末の米連邦準備理事会(FRB)のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.75~4.00%の確率が32.1%(前週32.7%)となっており、1~2回の利下げを織り込んでいる。一方、米議会で3月14日までのつなぎ予算案を可決し、バイデン米大統領は21日未明、署名した。年末の政府機関閉鎖は回避された。
 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争終結に向けトランプ次期米大統領と協議し、妥協する用意があると言明した。ただ次期米大統領の就任まで停戦ラインを巡る攻防が続くとみられる。ロシアは新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を再度発射する計画があるとしている。一方、パレスチナ自治区ガザの停戦交渉に関し、イスラム主義組織ハマス幹部がイスラエルとの停戦合意に向けて「ほとんどの問題が解決した」との見解を示したと伝えられた。またシリア暫定政府は、元反体制派「シャーム解放機構(HTS)」幹部のムルハフ・アブカスラ氏を国防相に任命した。旧アルカイダ系組織のHTSを取り込み、平和と安定に向けた動きが続くかどうかを確認したい。
 12月20日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比13.50トン増の877.40トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げペース鈍化見通しが示されたことを受けて急落するなか、安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万2,041枚となり、前週の27万5,586枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万1,354枚、買い戻しが7,809枚入り、1万3,545枚買い越し幅を縮小した。

プラチナも利下げペース鈍化見通しが圧迫

 ニューヨーク・プラチナ4月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げペース鈍化見通しを受けて戻りを売られ、9月5日以来の安値929.0ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しに変わりがないことは下支え要因だが、貿易摩擦に対する懸念が残ることが上値を抑える要因である。トランプ次期米大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国防費の割合を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるよう要求すると伝えられた。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアとの停戦交渉の前提として、停戦後の安全保障の確保が重要との認識を示した。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで18.46トン、20日のニューヨークで34.69トン(前週末34.69トン)、19日の南アで10.90トン(同10.99トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,744枚となり、前週の1万4,829枚から縮小した。

ニューヨーク金は急落も11月安値を維持

 ニューヨーク金2月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げペース鈍化見通しが示されたことを受けて急落し、11月18日以来の安値2,596.7ドルを付けた。ただ11月の米個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが鈍化したことを受けて下げは一服。急落局面でも、11月安値の2,565.0ドルを維持した。来年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ回数の見通しが2回に半減したが、利下げ見通しに変わりはなく、金ETF(上場投信)には安値拾いの買いが入った。クリスマスと年末年始を控える今は、方向性を模索することになりそうだ。

12月23日からの週の注目ポイント

23日 英国内総生産(7-9月期確報値) ☆☆
米消費者信頼感指数(12月) ☆☆
米耐久財受注(11月速報値) ☆☆
米新築住宅販売(11月) ☆☆☆
24日 ドイツ休場
日銀金融政策決定会合議事要旨 ☆☆
25日 豪州、欧米、南ア休場
景気動向指数(10月改定) ☆☆
26日 豪州、独仏英スイス、南ア、カナダ休場
貿易収支(11月確報) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
27日 失業率(11月) ☆☆
鉱工業生産指数(11月速報) ☆☆
小売業販売額(11月速報) ☆☆
中国工業利益(11月) ☆☆
米卸売在庫(11月速報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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