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金は米インフレ高止まり見通しで上げ一服
2024/12/16
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は中東やウクライナ情勢も確認
12月9日の週のニューヨーク金市場は地政学的リスクや中国の金融緩和見通しなどを受けて買い優勢となったが、米国のインフレ高止まりに対する警戒感から利食い売りが出て急反落した。中心限月の2月限は11月6日以来の高値2,761.3ドルを付けたのち、急反落した。シリアで反体制派のシリア救国政府を率いるムハンマド・バシル暫定政権が発足した。少数派も尊重する憲法改正に着手した。ただ反体制派の中心となるシャーム解放機構(HTS)は旧アルカイダ系組織で協議がすすむのかどうかが焦点である。ブリンケン米国務長官は14日、訪問先のヨルダンでシリアの暫定政権と直接協議していると明らかにし、制裁緩和の見通しも示した。米当局者らはHTSとも接触している。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの侵攻を巡り「ウクライナは誰よりもこの戦争を終わらせたい。外交的解決が多くの命を救うことは間違いなく、われわれはそれを求めている」と外交的解決を主張した。同大統領は14日、ロシア西部クルスク州で大量の北朝鮮兵士が戦闘に投入され始めたと述べた。18日の北大西洋条約機構(NATO)会合に参加し、欧州首脳との会談も予定されている。
11月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.7%上昇し、前月の2.6%から伸びが加速した。事前予想と一致した。また米生産者物価指数(PPI)は同3.0%上昇した。前月の2.6%から伸びが加速し、上昇率は2023年2月以来最大となった。事前予想の2.6%も上回った。一方、米新規失業保険申請件数は前週比1万7,000件増の24万2,000件となった。事前予想は22万件だった。CMEのフェドウォッチで、17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ確率は96.0%(前週86.0%)となった。ただトランプ次期米政権の政策でインフレ高止まりが予想されており、来年の利下げには慎重になるとみられている。
中国共産党の中央政治局常務委員会は来年、経済成長を支えるためにより積極的な財政政策と併せて「適度に緩和的な」金融政策を導入すると発表した。2010年以来の緩和に向けた政策転換となる。また中国共産党と政府は、2025年の経済運営方針を決める中央経済工作会議で、景気底上げに向けて財政出動を拡大するとともに、金融緩和を行う方針を決めた。「安定した経済成長を維持する必要がある」としたものの、具体的な数値についての言及はなかった。一方、中国人民銀行の11月末時点の金準備は2,269トンと前月末時点の2,264トンから増加し、7カ月ぶりに購入を再開した。金購入が続くと、下支え要因になるとみられる。
12月13日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.04トン減の863.90トンとなった。上値の重さを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは27万5,586枚となり、前週の25万9,736枚から拡大した。今回は新規買いが1万6,721枚、新規売りが871枚入り、1万5,850枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは貿易摩擦に対する懸念やドル高が圧迫
ニューヨーク・プラチナ1月限は金堅調につれ高となる場面も見られたが、予想以上の米生産者物価指数(PPI)を受けて戻りを売られ、9月5日以来の安値920.9ドルを付けた。次期米政権の関税引き上げ見通しで貿易摩擦が懸念されることも圧迫要因である。ただ中国が財政出動拡大や金融緩和方針を示しており、中国勢の安値拾いの買いが入ると、下支えになるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで18.46トン(前週末18.46トン)、13日のニューヨークで34.69トン(同34.69トン)、12日の南アで10.99トン(同11.08トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月10日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万4,829枚となり、前週の2万0,486枚から縮小した。
ニューヨーク金はレンジ相場を継続
ニューヨーク金2月限は地政学的リスクや中国の金融緩和見通しなどを受けて買い優勢となり、11月6日以来の高値2,761.3ドルを付けたのち、予想以上の米生産者物価指数(PPI)をきっかけに急反落した。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれているが、インフレ高止まりで来年の利下げは慎重になるとみられている。戻り高値を更新したが、上値を伸ばせなかったことからテクニカル面で中立である。2,629.7~2,761.3ドルのレンジ相場を継続することになりそうだ。
12月16日からの週の注目ポイント
16日 | 南ア休場 | ☆ |
機械受注(10月) | ☆☆ | |
中国住宅価格指数(11月) | ☆☆ | |
中国小売売上高(11月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(11月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(12月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(12月速報) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(12月) | ☆☆ | |
17日 | 英雇用統計(11月) | ☆☆ |
独ifo景況感指数(12月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(10月) | ☆☆ | |
米小売売上高(11月) | ☆☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(11月) | ☆☆ | |
米企業在庫(10月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
18日 | 貿易収支(11月速報) | ☆☆ |
日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
英消費者物価指数(11月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(11月確報) | ☆☆☆ | |
米経常収支(7-9月期) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(11月) | ☆☆☆ | |
米FOMC声明文公表 | ☆☆☆ | |
19日 | 日銀政策金利公表 | ☆☆☆ |
英中銀(BOE)政策金利公表 | ☆☆☆ | |
米国内総生産(7-9月期確報値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(11月) | ☆☆ | |
対米証券投資(10月) | ☆☆ | |
20日 | 消費者物価指数(11月) | ☆☆☆ |
英小売売上高(11月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(11月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(12月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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