2025-07-12 21:58:25

金は強弱材料交錯でもみ合い

2024/12/9
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はウクライナ情勢も焦点

 12月2日の週のニューヨーク金市場はトランプ次期米大統領の関税発言や米雇用統計前の手じまい売りを受けて売り優勢となったが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しに変わりはなく、買い戻されて下げ一服となった。中心限月の2月限は2,629.7~2,690.5ドルのレンジを形成した。次期米大統領は、BRICSに対して脱ドルを推進すれば100%の関税を課すと述べた。ロシアのプーチン大統領は、準備資産を政治的理由で没収されやすい外貨で持つ必要性に疑問を呈した。西側諸国は2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、約3,000億ドルに上るロシアの外貨準備を凍結した。不法移民問題などで関税を課すとされたカナダやメキシコは関税回避のため、次期米大統領と協議しており、BRICSの反応も確認したい。

 11月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万7,000人増と事前予想の20万人増を上回った。小幅な伸びにとどまっていた10月から急回復した。10月の雇用者数は1万2,000人増から3万6,000人増に上方改定され、9~10月分の増加数は計5万6,000人上方改定された。ただ失業率は4.2%に上昇した。前月まで2カ月連続で4.1%だった。CMEのフェドウォッチで、17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ確率は85.1%(前週66.0%)に上昇した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、米経済は9月に利下げを開始した当初よりも力強く推移しているため、米FRBはさらなる利下げに慎重になる可能性があると述べた。次期米政権の政策でインフレ高止まりが見込まれており、来年の利下げの行方は不透明感が強い。今週は11月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争を止めるには、ウクライナが管理している地域を北大西洋条約機構(NATO)に入れる必要があると述べた。ロシアの支配下にある領土については、あとから外交的な方法で返還を交渉できるとした。トランプ次期米大統領は7日、フランスの首都パリのエリゼ宮で、マクロン仏大統領およびゼレンスキー大統領と3者会談した。ウクライナ停戦に向けて協議されたとみられている。一方、シリアの反乱で反体制派が首都ダマスカスに進攻し、アサド政権が崩壊した。ロシア外務省はアサド大統領が辞任すると決定し、シリアから出国したと声明で明らかにした。また欧州連合(EU)加盟交渉を中断すると発表したジョージアで抗議デモが行われた。ロシアはウクライナ侵攻で兵力を周辺国に割くことができなくなっており、次期米大統領の就任に向けてウクライナの停戦交渉が進む可能性が出てきた。

 12月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.61トン減の871.94トンとなった。上値の重さを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月3日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万9,736枚となり、前週の25万0,338枚から拡大した。今回は新規買いが4,210枚、買い戻しが5,188枚入り、9,398枚買い越し幅を拡大した。

プラチナは貿易摩擦に対する懸念やドル高が圧迫

 ニューヨーク・プラチナ1月限は買い戻される場面も見られたが、貿易摩擦に対する懸念や金軟調を受けて戻りを売られた。米雇用統計発表後のドル高も圧迫要因になった。トランプ次期米大統領は中国、カナダ、メキシコに関税を課すと述べたのち、脱ドルでBRICSにも関税を課すとした。市場では交渉を開始するためとみられているが、貿易戦争も懸念されており、今後の行方を確認したい。

 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで18.40トン(前週末18.44トン)、6日のニューヨークで34.69トン(同34.28トン)、5日の南アで11.08トン(同11.17トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,486枚となり、前週の1万8,660枚から拡大した。

ニューヨーク金は米FRBの利下げ見通しが下支え

 ニューヨーク金2月限はトランプ次期米大統領の関税発言や米雇用統計前の手じまい売りを受けて売り優勢となったが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しに変わりはなく、買い戻されて下げ一服となった。2,629.7~2,690.5ドルのレンジを形成しており、テクニカル面ではどちらに放れるかが焦点である。米雇用統計がおおむね予想通りとなり、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見込まれていることは支援要因だが、次期米政権の政策でインフレ高止まりが懸念されるなか、来年の利下げの行方は不透明である。今週は11月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。

12月9日からの週の注目ポイント

9日 国内総生産(7-9月期2次速報) ☆☆☆
国際収支・経常収支(10月) ☆☆
中国消費者物価指数(11月) ☆☆
中国生産者物価指数(11月) ☆☆
米卸売在庫(10月確報値)
10日 中国貿易収支(11月) ☆☆
豪準備銀行政策金利公表 ☆☆☆
独消費者物価指数(11月確報) ☆☆
11日 企業物価指数(11月) ☆☆
米消費者物価指数(11月) ☆☆☆
米財政収支(11月) ☆☆
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
12日 英鉱工業生産指数(10月) ☆☆
欧州中央銀行(ECB)理事会 ☆☆☆
スイス国立銀行政策金利公表 ☆☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米生産者物価指数(11月) ☆☆
13日 日銀短観(12月調査) ☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(10月) ☆☆
米輸出入物価指数(11月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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