2025-07-20 03:26:05

金は急落も貿易摩擦に対する懸念などが下支え

2024/12/2
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は地政学的リスクも焦点

 11月25日の週のニューヨーク金市場は、米財務長官の指名をきっかけに利食い売り主導の調整局面を迎えた。トランプ次期米大統領の関税発言も圧迫要因になったが、貿易摩擦に対する懸念が出ると、買い戻されて下げ一服となった。中心限月の2月限は6日以来の高値2,748.0ドルを付けたのち、調整局面を迎えた。次期米大統領は米財務長官に著名投資家のスコット・ベッセント氏を指名した。経済成長を押し上げるとの見方からリスク選好の動きとなり、利食い売りが出た。また次期米大統領は中国からの輸入品に10%の追加関税、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すとした。不法移民や違法薬物取引が背景にある。ドル高に振れたが、貿易摩擦に対する懸念が出ると、株安に振れ、下支え要因になった。カナダのトルドー首相やメキシコのシェインバウム大統領は次期米大統領と電話会談しており、関税回避に向けて交渉を進めている。一方、米通商代表部(USTR)代表にはジェミソン・グリア氏が指名された。同氏は第1次トランプ政権で当時のライトハイザーUSTR代表の首席補佐官を務めており、厳しい対中姿勢を示している。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、当局者が「緩やかな」利下げに対して幅広い支持を示していたことが分かった。10月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.3%上昇し、前月の2.1%上昇から伸びが加速した。インフレ抑制に向けた進展が過去数カ月に停滞していることを示したが、市場予想と一致し、12月の米FOMCの利下げ見通しに変わりはなかった。ただ次期米政権の政策によるインフレ懸念が強く、来年の利下げ幅は限られるとみられている。
 イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラの戦闘を巡るイスラエルとレバノンの停戦合意が27日に発効した。イスラエルのネタニヤフ首相は「ヒズボラが合意に違反すれば攻撃する」と述べた。さらに「ヒズボラが紛争の当事者から外れれば、ハマスは孤立する。われわれは圧力を強める」と述べ、ハマスに拘束された人質解放に取り組む決意を強調した。一方、ロシアは28日、ウクライナのエネルギーインフラに対して今月2回目となる大規模な攻撃を行った。ウクライナが米国製の長射程ミサイル「ATACMS」でロシアを攻撃したことへの報復だとし、今後はキーウの中枢部を攻撃目標にする可能性があるとした。またプーチン大統領はウクライナが核兵器を取得すれば、ロシアは保有する全ての兵器をウクライナに対して使用すると警告した。シリア軍は30日、イスラム主義の反体制派「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」が主導する大規模な攻撃で数十人の兵士が死亡したと発表した。シリア軍司令部は、北部の要衝反体制派がアレッポの大部分に侵入したと認めた。ロシアはシリア軍を支援するため反体制派を攻撃しており、シリア情勢の行方も確認したい。
 11月29日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.58トン増の878.55トンとなった。押し目買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は米感謝祭の祝日により、12月2日に発表される。11月19日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万4,367枚(前週23万6,451枚)。

プラチナは金急落で一段安

 ニューヨーク・プラチナ1月限は金急落につれ安となり、9月6日以来の安値928.3ドルを付けた。14日安値932.3ドルを割り込み、テクニカル面で悪化した。トランプ次期米大統領の関税発言や貿易摩擦に対する懸念も圧迫要因になった。ただワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が3年連続の供給不足見通しを示すなか、中国勢の安値拾いの買いが入っており、買い戻しが入ると、下げ一服となった。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、28日のロンドンで18.23トン(前週末18.29トン)、29日のニューヨークで34.28トン(同34.28トン)、28日の南アで11.17トン(同11.17トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は米感謝祭の祝日により、12月2日に発表される。11月19日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2,676枚(前週2万0,233枚)。

ニューヨーク金は調整局面も貿易摩擦などが下支え

 ニューヨーク金2月限は6日以来の高値2,748.0ドルを付けたのち、米財務長官の指名によるリスク選好の動きを受けて調整局面を迎えた。その後は、トランプ次期米大統領の関税発言も圧迫要因になったが、貿易摩擦に対する懸念が出ると、買い戻されて底堅く推移した。カナダやメキシコが関税回避に向けて動いており、交渉の行方を確認したい。一方、中東ではイスラエルとレバノンの親イラン武装組織ヒズボラの停戦合意が発効したが、シリアで反体制派がアレッポの大部分に侵入した。ウクライナ情勢に対する懸念も確認したい。

12月2日からの週の注目ポイント

2日 中国財新製造業購買担当者景況指数(11月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(11月確報) ☆☆
ユーロ圏雇用統計(10月) ☆☆
米ISM製造業景況指数(11月) ☆☆☆
3日 米新車販売台数(11月)
4日 中国財新サービス業購買担当者景況指数(11月) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(11月確報) ☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(10月) ☆☆
ADP全米雇用統計(11月) ☆☆
米製造業新規受注(10月) ☆☆
米ISM非製造業景況指数(11月) ☆☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
5日 独製造業受注(10月) ☆☆
ユーロ圏小売売上高(10月) ☆☆
米貿易収支(10月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
6日 全世帯家計調査・消費支出(10月) ☆☆
独貿易収支(10月) ☆☆
独鉱工業生産指数(10月) ☆☆
ユーロ圏域内総生産(7-9月期確報) ☆☆☆
米雇用統計(11月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(12月速報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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