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金は地政学的リスクが支援要因
2024/11/25
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米PCE価格指数などを確認
11月18日の週のニューヨーク金市場は、地政学的リスクを受けて急伸した。中心限月の2月限は6日以来の高値2,743.3ドルを付けた。バイデン米政権は、ウクライナが米国製兵器を使用してロシアを攻撃することを許可した。北朝鮮によるロシアのウクライナ戦線への派兵を受け、方針を転換した。ウクライナは米国製の長距離ミサイル「ATACMS」や英国製の長距離ミサイル「ストームシャドー」、米国製の高機動ロケット砲システム「ハイマース」でロシアを攻撃した。ATACMSを使用した攻撃では深刻な被害はなかったが、西部クルスク州に対するストームシャドーを用いた攻撃では死傷者が出た。ロシアのプーチン大統領は、新型の中距離極超音速非核弾道ミサイル「オレシュニク」を、ウクライナのドニプロにあるミサイル・防衛企業を標的に試験的に発射し、攻撃は成功したと述べた。ロシアに対する攻撃に使用された兵器の供与国の軍事施設を攻撃する可能性があると表明した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが新型の弾道ミサイルでウクライナを攻撃したことは「明確で深刻なエスカレーション」と非難し、ロシアに対する世界的な強い行動を呼びかけた。オレシュニクはマッハ11で飛行し、迎撃不可能とみられている。射程距離は3,000~5,500kmで欧州全域が射程に入るが、米国には届かない。北大西洋条約機構(NATO)は26日にブリュッセルで緊急会合を開き、対応を協議する。
トランプ次期米大統領は、マクロヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループを経営するスコット・ベッセント氏を次期財務長官に指名すると発表した。次期米大統領はウォール街と関税導入や暗号資産の受け入れ、不法移民の取り締まりを期待する有権者層の双方から支持される候補者を探しているとみられていた。同氏は米通貨政策の再調整を支持しているが、あからさまなドル安戦略を後押しするまでには至っていない。一方、経済指標では欧米の購買担当者景気指数(PMI)で明暗が分かれ、ドル高が進んだ。11月のユーロ圏HCOB総合PMI速報値は48.1と前月の50.0から大幅に低下、節目となる50を割り込み、10カ月ぶりの低水準となった。サービス業、製造業ともに縮小した。米総合PMI速報値は55.3と前月の54.1から上昇し、2022年4月以来の高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しや次期米政権による企業優遇策への期待が影響した。今週は10月の米個人消費支出(PCE)価格指数の発表がある。
11月22日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.04トン増の877.97トンとなった。ウクライナ情勢に対する懸念を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月19日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万4,367枚となり、前週の23万6,451枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,871枚、買い戻しが4,787枚入り、2,084枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは金急伸もドル高に上値を抑えられる
ニューヨーク・プラチナ1月限は金急伸につれ高となり、11日以来の高値982.6ドルを付けたのち、ドル高を受けて上げ一服となった。地政学的リスクによる有事のドル買いに上値を抑えられた。一方、上海プラチナの出来高が減少し、高値での買いが見送られたことも上値を抑える要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、20日のロンドンで18.29トン(前週末18.26トン)、22日のニューヨークで34.28トン(同33.85トン)、21日の南アで11.17トン(同11.17トン)となった。一方、11月19日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2,676枚となり、前週の2万0,233枚から拡大した。
ニューヨーク金は地政学的リスクで急反発
ニューヨーク金2月限は、地政学的リスクを受けて急反発し、6日以来の高値2,743.3ドルを付けた。バイデン米政権がウクライナに長距離ミサイルでのロシア攻撃を許可した。ウクライナがロシアを攻撃すると、ロシアは新型の中距離弾道ミサイルで反撃した。ロシアは兵器を供与した国の軍事施設を攻撃する可能性があるとしており、今後の行方を確認したい。金ETF(上場投信)に逃避買いが入っており、支援要因である。
11月25日からの週の注目ポイント
25日 | 独ifo景況感指数(11月) | ☆☆ |
26日 | 米S&Pケース・シラー住宅価格指数(9月) | ☆☆ |
米新築住宅販売(10月) | ☆☆☆ | |
米消費者信頼感指数(11月) | ☆☆ | |
27日 | NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
中国工業利益(10月) | ☆☆ | |
米国内総生産(7-9月期改定値) | ☆☆☆ | |
米耐久財受注(10月速報値) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米個人所得・支出(10月) | ☆☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(10月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録公表(11月6-7日) | ☆☆ | |
28日 | 米国休場 | ☆ |
独消費者物価指数(11月速報) | ☆☆ | |
29日 | 失業率(10月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(10月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(10月速報) | ☆☆ | |
独雇用統計(11月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(11月速報) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(11月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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