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金はドル高や米利下げ観測後退が圧迫要因
2024/11/18
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米中関係に対する見方も確認
11月11日の週のニューヨーク金市場は、トランプトレードや米共和党のトリプルレッドによるドル高を受けて売り優勢となった。中心限月の12月限は9月12日以来の安値2,541.5ドルを付けた。米共和党が大統領職と上下両院を制したことでトランプ次期米大統領が公約として掲げた追加関税や減税、移民抑制すべて実行されるとみられている。インフレ懸念が高まるなか、米10年債利回りは4.51%と5月31日以来の高水準となった。次期大統領は中国に対する強硬姿勢で知られるマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に指名した。また「政府効率化省(DOGE)」を新設し、そのトップに実業家イーロン・マスク氏を起用すると発表した。実業家のヴィヴェック・ラマスワミ氏も協力するという。政府予算の約3分の1に当たる少なくとも2兆ドルを、連邦政府の支出から減らすよう求めている。次期政権の人事と政策に対する見方を確認したい。
10月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.6%上昇した。家賃などの住居費の上昇を背景に前月の2.4%から伸びが加速した。ただ事前予想と一致したことで12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見通しが強い。一方、米生産者物価指数(PPI)は同2.4%上昇した。前月の1.9%から伸びが加速し、事前予想の2.3%を上回った。米小売売上高は前月比0.4%増加した。自動車や電化製品の堅調な売り上げが追い風となり、事前予想の0.3%増を上回った。CMEのフェドウォッチで、12月の米FOMCの利下げ確率は61.9%(前週64.6%)となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、経済情勢は「極めて良好」で労働市場の状況は底堅いとし、米FRBは利下げを急ぐ必要はないという見解を示した。市場では、来年の米FRBの利下げ回数が従来予想よりも少なくなるという見方が強い。
中国の習近平国家主席はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で演説を行い、「アジア太平洋の協力は試練に直面している」と指摘し、トランプ次期米大統領を念頭に保護主義の台頭に懸念を示した。バイデン米大統領との会談では、次期米政権と協力する意向を表明した。会談ではサイバー犯罪や貿易など主要な対立点が取り上げられた。石破茂首相との会談では、日本側に歴史や台湾など主要問題への「適切な対応」を求めた。米中関係に対する見方を確認したい。一方、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、イラン中部のナタンズとフォルドゥの核開発施設2カ所を視察した。イランのアラグチ外相は、核開発計画を巡る未解決の問題を解決する用意はあるが、圧力には屈しないと述べた。トランプ次期米政権のイランに対する政策も焦点である。
11月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.92トン減の869.93トンとなった。トランプトレードやトリプルレッドによるドル高を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6,451枚となり、前週の25万5,329枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万0,591枚、買い戻しが1,713枚入り、1万8,878枚買い越し幅を縮小した。
プラチナもドル高が圧迫
ニューヨーク・プラチナ1月限はドル高や金軟調を受けて売り優勢となり、9月6日以来の安値932.3ドルを付けた。10月安値953.0ドルを割り込み、テクニカル面で悪化した。9月安値912.5ドルが次の支持線である。一方、10月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年比0.3%上昇と前月の0.4%から伸びが鈍化した。景気刺激策が必要なことが示唆された。ただ小売売上高は同4.8%増と前月の3.2%増や事前予想の3.8%増を上回った。景気刺激策の効果との見方も出るなか、上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の安値拾いの買いが入ったことは下支え要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで18.35トン(前週末17.28トン)、15日のニューヨークで33.85トン(同33.43トン)、13日の南アで11.26トン(同11.38トン)となった。一方、11月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,233枚買い越しとなり、前週の2万9,041枚から縮小した。 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで18.35トン(前週末17.28トン)、15日のニューヨークで33.85トン(同33.43トン)、13日の南アで11.26トン(同11.38トン)となった。一方、11月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,233枚買い越しとなり、前週の2万9,041枚から縮小した。
ニューヨーク金は10月安値を割り込む
ニューヨーク金12月限は、トランプトレードや米共和党のトリプルレッドによるドル高を受けて売り優勢となり、9月12日以来の安値2,541.5ドルを付けた。10月安値2,618.8ドルを割り込み、テクニカル面で悪化した。トランプ次期米大統領が公約に掲げた政策がすべて実行されるとみられており、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退した。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げの見方が強いが、インフレが継続すると、利下げが止まる可能性が出てくる。当面は次期米政権の人事などを確認したい。
11月18日からの週の注目ポイント
18日 | 機械受注(9月) | ☆☆ |
ユーロ圏貿易収支(9月) | ☆☆ | |
対米証券投資(9月) | ☆☆ | |
19日 | ユーロ圏国際収支(9月) | ☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(10月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(10月) | ☆☆☆ | |
20日 | 貿易収支(10月速報) | ☆☆ |
独生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ | |
英生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
21日 | 南ア準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(10月) | ☆☆ | |
22日 | 消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ |
独国内総生産(7-9月期確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(11月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(11月速報) | ☆☆ | |
英小売売上高(10月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(11月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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