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トウモロコシ、小麦の需給緩和、大豆の引き締まりが進むか?~2025年10月度米農務省需給報告内容予測

更新:2025/10/16

提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー (MRA)

本来であれば10月9日に米農務省より月例需給報告が発表される予定であった。しかしながら米国政府機関の一部閉鎖により農務省に関係する各種報告も発表が中断されており、月例需給報告もしばし発表が遅れる。本レポートでは既に発表されたであろう10月度の需給報告の内、トウモロコシ、大豆、小麦の米国需給について弊社にて予想した内容を報告する。

◆米国トウモロコシ需給

  

まず期初在庫は9月30日発表の四半期在庫数字に置き換え、前月から+207百万ブッシェルの上方修正となる。単収については見方が分かれる部分であるが、8月末から9月末にかけての作柄の変化(悪化)を加味して、前月比▲1.7bpa下方修正の185.0bpa、収穫面積は据え置きの結果、生産量は16,650百万ブッシェルとした。期初在庫増と生産量減が相殺されるが、期初在庫増の幅が大きく、結果供給量全体では+42百万ブッシェル増の18,207百万ブッシェルとなる。一方、需要面では例年10月は供給量の増減による小幅修正が見られるが、今年は既に好調な輸出成約を9月時点で反映しており、今回は需要面据え置きと予想する。結果として期末在庫は供給増がそのまま反映される形となり、先月から+42百万ブッシェル上方修正の2,152百万ブッシェル、在庫率は13.1%から13.4%に増加すると予想する。生産量見通しがどの程度下方修正されるかにもよるが、供給増→価格下落→需要増を更に織り込むことは現時点では若干無理があるように思える。

◆米国大豆需給

  

米国の期初在庫は9月1日四半期在庫の数字を採用し316百万ブッシェル、前月から▲14百万ブッシェル下方修正となる。単収はトウモロコシ同様に9月は作柄の悪化が見られたことから▲0.2bpa下方修正の53.3bpaとし、生産量は4,280百万ブッシェルで▲21百万ブッシェルの下方修正となる。期初在庫減に加えて生産量見通し減から総供給量は▲35百万ブッシェル減の4,616百万ブッシェルとなる。供給減を反映して需要面は据え置きないし下方修正する可能性もあるが、暦年2026年度はバイオディーゼル向けに大豆油の更なる需要増が想定されることから、あえて搾油需要を+5百万ブッシェル上方修正した。輸出需要については中国向けの成約不調をどの程度反映させるかがポイントとなろうが、今後南米の端境期に向けてある程度の成約は出てくると予想し、輸出需要は据え置きとした。結果として期末在庫は261百万ブッシェルで前月から▲39百万ブッシェルの下方修正を予想する。在庫率は6.9%から6.0%への減少となる。

◆米国小麦需給

  

小麦については生産量を9月30日発表のスモールグレインサマリーレポートに基づき、+58百万ブッシェル上方修正の1,985百万ブッシェルとした。その他項目については需要面含め大きな修正はないと予想されることから全て据え置きとし、結果生産量の増加分が期末在庫増に繋がっている。期末在庫は902百万ブッシェルで+58百万ブッシェルの上方修正、在庫率は43.9%となる。

◆今後の相場展開~足元需給は弱いが大豆が反発基調に転換するか?
上記需給見通しはあくまで弊社の試算であり、政府機関再開後に発表される需給報告が今後の相場を動かす材料となることは言うまでもないが、仮に上記数字をベースにするとトウモロコシ、小麦は需給緩和、大豆は需給逼迫の絵が見えてくる。
トウモロコシは生育終盤での乾燥傾向もあり、当初見通しから幾分単収が落ちる見通しながら、史上最高の単収は確保しそうである。輸出需要の増加はある程度見込めるものの、潤沢な供給は当分重石となろう。
大豆は足元中国向け成約がないことが弱材料で、また中国によるレアアース輸出規制に絡み新たな米中関係の火種が生まれており、収穫の進展と相まってやや軟調な展開となっているが、中国による買い付けは早晩実現すると予想され、来年以降のバイオディーゼル向け大豆油需要増を想定すると、需給は見た目より厳しいのではと推測する。
小麦は米国自身の需給が弱い上に豪州はじめ主要生産国が軒並み豊作予想であり、グローバルベースで需給は緩い。
ただし、これらファンダメンタルズを既に投機筋は織り込んでの売り先行の展開となっており、この点も加味すると年末から来年に向けては大豆主導の上昇、トウモロコシの買戻し圧力が強まる可能性がある。また、小麦は大豆、トウモロコシ高の局面では連れ高となろう。
なお、現在進行中の南米での大豆、トウモロコシの作付は現時点では大きな障害は見られないが、今後何らか異常気象具現となると、一気に上昇圧力が強まるリスクは常に内在している。

(出所:CFTC、CBOT)

※穀物価格指数=2022年1月1日の価格を100としてトウモロコシ・大豆・小麦価格を指数化し、単純平均したもの。
(10月12日記)

檜垣 元一郎

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー (MRA) 檜垣 元一郎

1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。

その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。

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