一段の需給の弱さが暗示されるトウモロコシ~2025年9月度米農務省需給報告より
更新:2025/9/19
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー (MRA)
9月12日に米農務省より月例需給報告が発表された。今回も単収及び作付/収穫面積について見直しが実施されている。8月後半以降、中西部主要州では乾燥傾向が具現しており、単収の下方修正が事前予想通り実施された。一方で大豆、トウモロコシ共に作付/収穫面積が上方修正され、結果として期末在庫数字に与えるインパクトは限定的となった。小麦は月末のスモールグレインサマリー報告を控えて生産量見直しは実施されず、需要面のみの小幅改定となった。
◆米国トウモロコシ需給
旧穀需給見通しでは主にエタノール等需要減▲35百万ブッシェル、輸出需要増+10百万ブッシェルとの相殺で期末在庫が1,325百万ブッシェルと+20百万ブッシェルの上方修正となった。旧穀の期末在庫は9月30日発表予定の四半期在庫報告で最終数字が確定する。新穀需給は作付面積が+1.4百万エーカー増、単収見通しはエーカーあたり186.7ブッシェルと前月から▲2.1ブッシェル下方修正したが、史上最高単収に変化はない。結果、生産量見通しは16,814百万ブッシェルとなり、単収減にもかかわらず史上最高生産量は上方修正となった。需要面では国内需要を据え置いた一方で、輸出需要を+100百万ブッシェル上乗せした。結果として期末在庫は2,110百万ブッシェルと▲7百万ブッシェルの微減、在庫率は13.1%となった。最新の輸出需要の状況では、輸出成約残は前年同期比で+9.1百万トン程度多いが、メキシコ、日本、韓国などの従来輸入国の買付ペースが各々+1百万トン程度増など、豊作を背景にした価格下落から買付スピードを速めている印象である。価格安による新規需要がどの程度となるかは今後の展開を見る形となる。
(出所:USDA)
(出所:USDA)
◆トウモロコシ世界需給
グローバルでは、トウモロコシ生産量が米国、インドで増産見通しの反面、EUが東欧中心の干ばつを反映して▲2.7百万トン、また、ロシアが主なトウモロコシ生産地である南西部での高温乾燥の影響で▲0.9百万トン下方修正したことが響き、ネットで▲2百万トン下方修正された。需要面は微調整にとどまり、結果、新穀の期末在庫は前月推定から▲1.1百万トン減の281.40百万トン、需給率は100%、在庫率は21.8%となる。
(出所:USDA)
◆米国大豆需給
米国の旧穀大豆需給は期末在庫を330百万ブッシェルに据え置いた。新穀は作付/収穫面積が+0.2百万エーカー増加した一方で、単収は53.5ブッシェル/エーカーと▲0.1ブッシェルの下方修正、生産量は前月推定から+9百万ブッシェル増の4,301百万ブッシェルの見通し。需要は輸出を更に▲20百万ブッシェル下方修正、国内需要は搾油を+15百万ブッシェル上方修正した。結果、期末在庫は+10百万ブッシェル上方修正の300百万ブッシェル、在庫率は6.9%となった。搾油増による大豆油の生産量増加が示されているが、今回バイオディーゼル向け需要は据え置き、国内の食用/他の工業用の増加を見ている。搾油増自体についてUSDAはミールの輸出需要増を背景として説明している。
(出所:USDA)
(出所:USDA)
◆大豆世界需給
大豆の世界需給ではアルゼンチンで輸出好調を背景に旧穀の期末在庫を下方修正し、その分新穀の期初在庫が▲1.6百万トン下方修正された。新穀生産量はEUやインドが減産、米国、ロシアで増産、ネットでは▲0.5百万トン減となる一方で、需要面では国内搾油の減少を見込む。また、中国の輸入見通しは引き続き112.0百万トンで修正なしである。結果、グローバルでの新穀期末在庫は124.00百万トンで前月時点での推定から▲0.90百万トン下方修正された。在庫率は29.3%で前月比▲0.1%となる。
(出所:USDA)
◆小麦のハイライト
上述通り、米国の全小麦生産量見通しは据え置き、需要面で輸出を+25百万ブッシェル上方修正し900百万ブッシェルとした。年度3ヵ月が経過した現時点での船積み済も含めた成約残は12.723百万トンであり前年同時期を約+2百万トン上回っている。今後米国産が価格優位性を保てるかが現ペースを維持できるかの鍵となる。期末在庫は輸出増分を反映して▲25百万ブッシェル下方修正され、844百万ブッシェルとなる見通しである。
(出所:USDA)
世界需給では、生産量が主要生産国で軒並み上方修正されている。特に豪州は7、8月の潤沢な降水量を反映して前月から+3.5百万トン上方修正し34.5百万トンとしている。その他カナダ(+0.5百万トン、以下同じ)、EU(+1.85)、ロシア(+1.5)、ウクライナ(+1)、カザフスタン(+0.5)などとなっており、グローバルでは+9.3百万トンの上方修正である。上記通り米国が輸出拡大の予測となっているが、輸出市場での価格競争は激化しそうである。需要面は飼料用需要増加などを見込んでいるが、期末在庫は前月見通しから+4.0百万トン上方修正、264.60百万トンとなる見通しである。これにより需給率は100.2%、在庫率は32.4%となる。
(出所:USDA)
◆今後の相場展開~大豆が主導権を握るか…南米の作付進捗に注目
今月の需給報告数字を額面通り受け取ると大豆、トウモロコシは需給緩和、小麦は逼迫となるが、まず足元では大豆、トウモロコシの実際の単収がどの程度で着地するかが大きなポイントとなろう。今月も下方修正が見られたが、8月中旬以降、乾燥傾向は継続しており、史上最高レベルながら更なる下方修正の余地はあると見る。輸出面でトウモロコシが米国シェア拡大、大豆が縮小を見ているが、いずれも南米のある程度の豊作が前提となる。徐々に本格化する南米での作付け状況、特に天候異変による遅延は材料視されて来よう。小麦は輸出競争力がポイントとなるが、主要輸出国が軒並み豊作模様であり、今後価格競争は激化すると推測する。
以上を勘案すると、大豆は中長期で強気維持、トウモロコシは安値圏でのもみ合いから徐々に買い戻しが強まる動き、小麦は弱気が維持ながら大豆、トウモロコシの反発局面では買い戻しの動きが誘発されよう。
(出所:CFTC、CBOT)
※穀物価格指数=2022年1月1日の価格を100としてトウモロコシ・大豆・小麦価格を指数化し、単純平均したもの。
(9月16日記)
株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー (MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の (株) マーケット・リスク・アドバイザリー (MRA) の見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65% (税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
-
本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値 (Bid:お客さまが売ることの出来る値段) と買値 (Ask:お客さまの買うことのできる値段) の差 (スプレッド) があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
商品先物取引に関するご注意事項
商品先物取引のリスクについて
商品先物の価格は、対象商品の価格の変動等により上下しますので、これにより損失が発生することがあります。また、商品先物取引は、少額の証拠金で当該証拠金の額を上回る取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、商品先物取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。
- 市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、短期間のうちに証拠金の大部分又はそのすべてを失うこともあります。また、その損失は証拠金の額だけに限定されません。
- 損失を被った状態で建玉の一部又は全部が決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。
- 商品取引所は、取引に異常が生じた場合又はそのおそれがある場合や、JSCCの決済リスク管理の観点から必要と認められる場合には、証拠金額の引上げ等の規制措置を講じることがあります。
- 市場の状況によっては、意図したとおりの取引ができないこともあります。例えば、市場価格が制限値幅に達したような場合、 転売又は買戻しによる決済を希望しても、それができない場合があります。
- 市場の状況によっては、商品取引所が制限値幅を拡大することがあります。その場合、1日の損失が予想を上回ることもあります。
商品先物取引の手数料について
商品先物取引のインターネットでの取引にあたっては、下記のとおり所定の手数料がかかります。
金 (限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円 (税込)
銀 (限日現金決済先物取引):片道1枚につき82.5円 (税込)
白金 (限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円 (税込)
堂島コメ平均 (米穀指数先物取引):片道1枚につき330円 (税込)
商品先物取引は、クーリング・オフの対象にはなりません
商品先物取引については、注文の成立後、その注文を解約すること (いわゆるクーリング・オフ) はできません。
金融商品取引法等に関する表示
商号等 株式会社SBI証券 金融商品取引業者、商品先物取引業者
登録番号 関東財務局長 (金商) 第44号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人 日本STO協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会
-
SBI証券お客さま相談窓口:
カスタマーサービスセンター 平日(年末年始を除く)8:00〜17:00
固定電話の方 0120-104-214(携帯電話の方0570-550-104) -
特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC):0120-64-5005
- 日本商品先物取引協会 相談センター:03-3664-6243
SBI証券の企業情報は、SBI証券WEBサイトおよび日本商品先物取引協会WEBサイト等で開示されております。
詳しくは、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。