金・プラチナ取引 > 金・プラチナ取引とは(金・プラチナ・銀の特徴) > 金・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 貴金属・コモディティレポート > 2024-25年度米国作付意向面積報告を受けて
2024-25年度米国作付意向面積報告を受けて
2025/4/4
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)
3月31日に米農務省より2024/25年度の作付意向面積が発表された。主要作物を見るとトウモロコシは前年比105%、大豆同96%、春小麦同94%となっている。以下2024/25年度の特徴を概観する。
まず全米での主要作物作付意向面積の合計は3億990万エーカーで前年比▲1.3百万エーカーの減少となった。作物別ではトウモロコシが+4.7百万エーカー増の95.3百万エーカー、大豆は▲3.6百万エーカー減の83.5百万エーカー、春小麦▲0.6百万エーカー減の10.0百万エーカーとなっている。中西部では東部オハイオ州を除くほぼ全域でトウモロコシが+0.2~+0.6百万エーカー増となる一方で、大豆は各州で相当分の減少となっている。また北部ノースダコタ州では春小麦からトウモロコシへの転換も見られている。農家の作付け行動は価格のみで決定される訳ではないが、2024年通年の大豆÷トウモロコシレシオは2.17倍と2023年の2.51倍から下落、直近でも2.3倍程度となっている。米国での増産や南米での豊作を受けた大豆価格の低迷に加えて、需給引き締まりから相対的に堅調に推移したトウモロコシ価格が影響していると考えられる。前年比で大豆価格がトウモロコシに対して相対的に割安になっており、トウモロコシの作付面積に増加バイアスがかかりやすい。
(出所:USDA)
(出所:USDA資料を元にMRAにて作成)
USDAによる2025穀物年度の需給見通しは5月12日発表予定の月例報告を待つ形となるが、新穀については本作付意向面積×トレンドイールド(単収)が生産量見通しの根拠となる。2月に開催された米農務省アウトルックフォーラムで示されている単収及び需要見通しを前提とすると、2025/26年度トウモロコシの需給は大幅に緩和、逆に大豆は再び厳しい環境となる事が予想される。
手元計算ではトウモロコシ生産量は158億ブッシェル程度、25/26年度期末在庫は21億ブッシェル超、在庫率13.8%程度が想定される。一方で大豆は生産量43.5億ブッシェル程度、期末在庫は3億ブッシェルを割り込み、在庫率6.5%程度まで下落する可能性もある。
4月中旬以降、主要穀物生産州の南部からまずトウモロコシ作付け作業が始まるが、開始のタイミングは土壌水分及び土壌の温度に左右される。現状、中西部の状況を見るとコーンベルトの中部イリノイ州から北西部アイオワ、ミネソタ州にかけて土壌水分が不足傾向の地域が多く、その他地域でも乾燥傾向が強い地域も見られる。本格的な作付け作業開始までまだ数週間あり、現時点での予測は適切ではないが、向こう2、3週間の降水量推移は初期の作付け進捗を見る上で重要となってくる。
【3月25日現在乾燥状況、黄=>赤が濃くなるにつれ乾燥度合いが強い】
(出所:US Drought Monitor/National Drought Mitigation Center)
以上を踏まえた今月の市場動向であるが、投機筋は先月末に向けてトウモロコシの買い越しを急速に手仕舞いしており、また大豆、小麦はショートポジションを積み増ししている状況であった。今後の天候が特段の異常なく推移する前提であれば、トウモロコシ中心にもう一段の売り圧力が強まる可能性がある反面、大豆は順調な天候であっても需給が厳しくなるシナリオもあり、新穀限月中心に下値は限られると見る。
小麦は主産地であるプレーンズ各州の乾燥傾向あるいは春小麦の作付面積減少との強材料に加え、ロシア、ウクライナ産が端境に向かって徐々に価格競争力が落ちる可能性を考慮すると、こちらも近いうちに底値を探る動きとなろう。
(出所:CBOT、MRA)
以上(4/2記)

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。
金・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)の見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
商品先物取引に関するご注意事項
商品先物取引のリスクについて
商品先物の価格は、対象商品の価格の変動等により上下しますので、これにより損失が発生することがあります。また、商品先物取引は、少額の証拠金で当該証拠金の額を上回る取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、商品先物取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。
- 市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、短期間のうちに証拠金の大部分又はそのすべてを失うこともあります。また、その損失は証拠金の額だけに限定されません。
- 損失を被った状態で建玉の一部又は全部が決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。
- 商品取引所は、取引に異常が生じた場合又はそのおそれがある場合や、JSCCの決済リスク管理の観点から必要と認められる場合には、証拠金額の引上げ等の規制措置を講じることがあります。
- 市場の状況によっては、意図したとおりの取引ができないこともあります。例えば、市場価格が制限値幅に達したような場合、転売又は買戻しによる決済を希望しても、それができない場合があります。
- 市場の状況によっては、商品取引所が制限値幅を拡大することがあります。その場合、1日の損失が予想を上回ることもあります。
商品先物取引の手数料について
商品先物取引のインターネットでの取引にあたっては、下記のとおり所定の手数料がかかります。
金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
銀(限日現金決済先物取引):片道1枚につき82.5円(税込)
白金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
堂島コメ平均(米穀指数先物取引):片道1枚につき330円(税込)
商品先物取引は、クーリング・オフの対象にはなりません
商品先物取引については、注文の成立後、その注文を解約すること(いわゆるクーリング・オフ)はできません。
金融商品取引法等に関する表示
商号等 株式会社SBI証券 金融商品取引業者、商品先物取引業者
登録番号 関東財務局長(金商)第44号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人 日本STO協会、日本商品先物取引協会