金・プラチナ取引 > 金・プラチナ取引とは(金・プラチナ・銀の特徴) > 金・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 貴金属・コモディティレポート > 緩和傾向の小麦需給、大豆/トウモロコシは月末の作付意向面積報告に関心は移る~2025年3月度米農務省需給報告より
緩和傾向の小麦需給、大豆/トウモロコシは月末の作付意向面積報告に関心は移る~2025年3月度米農務省需給報告より
2025/3/14
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)
3月11日に米農務省より月例需給報告が発表された。3月は例年修正が最小限で、大きなサプライズは起こりにくいが、今回の報告では小麦中心に若干弱い需給状況が示された。以下3月需給報告のポイントを報告する。なお、USDAは需給見通し作成にあたり米政府による関税導入の動きの影響は考慮しているとしている。
◆米国トウモロコシ需給
需給見通しは2月から次の通り修正なしであった。輸出を上方修正し、期末在庫が下方修正されると事前には予想されており、修正なしでやや弱気と捉えられた。
(出所:USDA)
◆トウモロコシ世界需給
トウモロコシのグローバルでの生産量はインドが+2百万トン増、ロシア、ウクライナで小幅上方修正の一方で、南アフリカが▲1百万トンの下方修正となった。南米各国の生産見通しは据え置かれ、結果生産量は+1.7百万トン増となった。また供給面ではブラジルの昨年度の生産量が見直され、従来推定から▲3百万トン減の119百万トンに修正されており、世界需給では今年度の期初在庫が下方修正された形となった。
トレード面では中国の輸入ペース鈍化を受けて今月も輸入見通しを下方修正し、前月から▲2百万トン減の8百万トンに。これは昨年度実績23.4百万トンを大幅に下回る数字である。結果として期末在庫は前月比▲1.4百万トン減の288.9百万トンとなったが、需給率は98.0%(+0.1%)、在庫率は23.3%(▲0.2%)となる。
(出所:USDA)
◆米国大豆需給
大豆も前月から米国需給は修正なしであった。製品では大豆油のバイオ燃料向け需要を下方修正したが、他方輸出が好調である事から、ネットで大豆油の期末在庫の修正は無かった。
(出所:USDA)
◆大豆世界需給
大豆の世界需給では南米諸国の生産量見通しは据え置かれた。他の国での生産量の出入りはあったが供給面では前月からほぼ変わらずであった。なお、ブラジルでは南部の乾燥による影響から減産見通しであるが、北西部での増産と相殺となっているとUSDAは説明している。国内需要では中国が搾油量を伸ばしており、前月から+2百万トン上方修正して128.9百万トンと予測している。同国の輸入見通しは据え置いており、結果期末在庫が減少する見通しである。グローバルでの期末在庫も▲2.9百万トン減の121.4百万トンとなった。在庫率は29.7%で前月から▲0.9%減となっている。
(出所:USDA)
◆小麦のハイライト
米国需給はカナダ産春小麦、デュラム小麦の輸入増を+10百万ブッシェルと見ている一方で輸出ペースが鈍く、輸出需要を▲15百万ブッシェル下方修正した。結果米国の期末在庫は前月から+25百万ブッシェル上方修正し819百万ブッシェルとなった。在庫率は再び41.2%と40%超である。
(出所:USDA)
一方世界需給では、豪州で記録的豊作となり、先月見通しから生産量が+2.11百万トン増の34.11百万トンとなった。これは史上3番目の豊作である。生育期序盤に一部地域で乾燥傾向が伝えられたが、以降主産地である西豪州中心に生産地全般で降雨に恵まれたほか、極端な高温も観測されず理想的な天候推移の結果と説明している。トレード面でEU(▲1百万トン)、ロシア(▲0.5百万トン)の輸出量減少が予想されるが、豪州からの輸出増(+1百万トン)が埋める形となる。結果として、期末在庫は前月見通しから+2.5百万トン増の260.1百万トンとなった。需給率98.8%、在庫率32.6%である。
(出所:USDA)
◆今後の相場展開~春先に向けての新規材料待ちか。
現在まで市場の大きな注目点であった南米の動向であるが、ブラジルでのトウモロコシ二期作目以外はほぼ固まりつつあると思われ、大豆は豊作確定である。南米が固まると次は北米で、今月末に発表される作付意向面積報告に目が移る。但し、2月末の米農務省アウトルックフォーラムで作付面積の方向性はほぼコンセンサスが出来上がりつつあり、実際に農家が考えている行動との差異が焦点となる。
小麦は春を迎えて冬小麦の生育が再開されるタイミングが近づき、今後実際の作柄に左右される展開となろう。現時点までの投機筋の行動は、大豆が南米の豊作や米中関係が意識されてネットロングからショートへ移行、トウモロコシはアルゼンチンの乾燥による作柄への影響が大規模ではなさそうとの見方が広がり、ロングポジションを急速に削減中、小麦は緩い需給を背景にショートの積み増しと、ポジションは三者三様の推移ながら全般に売り圧力が強い。ここからは、各市場ともに新規の材料待ちの様相が強まり、3月後半に向けてはポジション調整主体の神経質な展開を予想する。
(出所:CFTC、CBOT)
※穀物価格指数=2022年1月1日の価格を100としてトウモロコシ・大豆・小麦価格を指数化し、単純平均したもの。
(3月12日記)

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。
金・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)の見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
商品先物取引に関するご注意事項
商品先物取引のリスクについて
商品先物の価格は、対象商品の価格の変動等により上下しますので、これにより損失が発生することがあります。また、商品先物取引は、少額の証拠金で当該証拠金の額を上回る取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、商品先物取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。
- 市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、短期間のうちに証拠金の大部分又はそのすべてを失うこともあります。また、その損失は証拠金の額だけに限定されません。
- 損失を被った状態で建玉の一部又は全部が決済される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。
- 商品取引所は、取引に異常が生じた場合又はそのおそれがある場合や、JSCCの決済リスク管理の観点から必要と認められる場合には、証拠金額の引上げ等の規制措置を講じることがあります。
- 市場の状況によっては、意図したとおりの取引ができないこともあります。例えば、市場価格が制限値幅に達したような場合、転売又は買戻しによる決済を希望しても、それができない場合があります。
- 市場の状況によっては、商品取引所が制限値幅を拡大することがあります。その場合、1日の損失が予想を上回ることもあります。
商品先物取引の手数料について
商品先物取引のインターネットでの取引にあたっては、下記のとおり所定の手数料がかかります。
金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
銀(限日現金決済先物取引):片道1枚につき82.5円(税込)
白金(限日現金決済先物取引):片道1枚につき16.5円(税込)
堂島コメ平均(米穀指数先物取引):片道1枚につき330円(税込)
商品先物取引は、クーリング・オフの対象にはなりません
商品先物取引については、注文の成立後、その注文を解約すること(いわゆるクーリング・オフ)はできません。
金融商品取引法等に関する表示
商号等 株式会社SBI証券 金融商品取引業者、商品先物取引業者
登録番号 関東財務局長(金商)第44号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人 日本STO協会、日本商品先物取引協会