2025-06-19 22:41:52

市場は最終段階の南米の作柄に注目~2025年2月度米農務省各種報告より

2025/2/14
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

2月11日に米農務省より月例需給報告が発表された。2月は24/25穀物年度が未だ5か月経過した時点であり、かつトウモロコシについては昨年12月の報告で大きく需要見通しを上方修正、1月の報告では生産量減から需要を再度修正が行われた背景もあり、今回については大幅な需給の修正は無いと弊社は見ていた。実際大豆、トウモロコシについては米国需給の見直しは無かったものの、市場では需要増→期末在庫減を予想する向きが多かった関係もあり、本需給報告はやや弱気と受け止められた。以下2月需給報告のポイントを報告する。

◆米国トウモロコシ需給
農務省の需給見通しは1月から以下の通り修正なしであった。唯一、農場渡価格平均は+0.10/ブッシェルセント上方修正された。

(出所:USDA)

◆トウモロコシ世界需給
トウモロコシのグローバルでの生産量は南米で下方修正された。アルゼンチンでは1月の高温乾燥を受け、またブラジルでは中西部での多雨の影響による2期作目の作付け遅延による単収減により両国各々▲1百万トンの減産見通しとなり、生産量はアルゼンチン50百万トン、ブラジル126百万トンとなっている。トレード面(輸出入)では今月も中国の輸入見通しを見直し、前月から▲3百万トンの10百万トンとした。各国国内需要に大きな変化はなく、結果として期末在庫は中国中心に前月比▲3百万トンの290.3百万トンとなった。

(出所:USDA)

◆米国大豆需給
大豆も前月から米国需給に変化はなかった。トランプ政権による関税導入により、主にバイオ燃料向けで大豆油の需給への影響が注目されるが、今回需給報告では大豆油の需給も修正はなかった。

(出所:USDA)

◆大豆世界需給
大豆の世界需給ではアルゼンチンの生産量が▲3百万トン下方修正されて49百万トンとなった。USDAは同国の減産分はそのまま期末在庫減となると予測しており、大豆製品含めた同国からの輸出量は修正されなかった。また隣国パラグアイも乾燥の影響を受けて▲0.5百万トンの減産見通しとなっている。一方、ブラジル生産量は変わらずの169百万トンとなっている。南部諸州は乾燥傾向による減収となりそうであるが、作付面積増や北西部主要州の順調な生育により国全体としての修正はなく大豊作がほぼ確定していると言って過言ではない。また需要面では穀物類の輸入を減少させている中国であるが、大豆輸入は据え置きの109百万トンを見込んでいる。結果として世界の期末在庫は▲4百万トンの124.3百万トンとなった。

(出所:USDA)

◆小麦のハイライト
米国需給は好調な食品向けを反映して需要を+4百万ブッシェルを見込み、その分期末在庫が▲4百万ブッシェルとなる形となった。こちらもカナダとの関税紛争により春小麦中心に需給が変わる可能性があるが、本報告では反映されていない。

(出所:USDA)

一方世界需給では、生産量に大きな変化はない中、トレードの減少を見込んでいる、輸出サイドはEU(▲1百万トン)、ロシア(▲0.5百万トン)、ウクライナ(▲0.5百万トン)の減少が大きい。また輸入サイドは中国が現状の輸入ペースから見て前月見通しから▲2.5百万トン下方修正の8百万トンとされた点が目立つ。結果として期末在庫は前月見通しから▲1.3百万トンの257.6百万トンとなった。

(出所:USDA)

◆今後の相場展開~南米の最終生産量次第ながら手仕舞い売りの機会は?
今回の需給報告以降、当面の需給を見て行く上での注目点は南米の最終生産量に移るであろう。具体的には①ブラジル大豆が収穫期の多雨の影響を受けるか、②ブラジルトウモロコシ2期作目の動向、③アルゼンチンの先月の乾燥天候の最終単収への影響となる。足元アルゼンチンでの主産地では降雨の報があり、これが作柄に与える影響は未知数であるが、生育終盤戦に突入して行くタイミングであり、この先大幅に生産量が増減するファクターは少なくなる。米国の若干タイト気味である大豆、トウモロコシの需給状況に変化はないが、ネットロングとなっている投機筋にとっては新たな買い材料に乏しくなって来ると、米国での新穀作付けシーズンを控えて一旦手仕舞い売りのタイミングを模索する可能性はある。

今月末2月27-28日には毎年恒例のUSDA主催アウトルックフォーラムが開催される。期間中月例の需給報告とは別に大局的な見通しも示される意味からも注目に値する。同フォーラムを境に大豆、トウモロコシは旧穀の需給、新穀の作付けの二本立てでの相場展開となって来る。

(出所:CFTC、CBOT)

※穀物価格指数=2022年1月1日の価格を100としてトウモロコシ・大豆・小麦価格を指数化し、単純平均したもの。
(2月12日記)

檜垣 元一郎

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。

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