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2024年7月度米農務省月例需給報告より
2024/7/24
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)
7月12日に米農務省より月例の需給報告が発表された。このコラムで繰り返し説明している通り、市場参加者の多くはこの月次のレポートを参考に取引を行う。以下同レポートの要旨を概観する。
なお、今回の需給報告の特徴は春作物の新穀生産量のベースとなる作付面積について、先月レポートまでは3月末の作付意向面積の数字を使用していたが、今月より6月28日発表の作付面積報告が使われる。単収については先月同様に過去からのトレンドをベースとした推定値が使われている。
◆弱い小麦需給
小麦の米国需給は冬小麦、春小麦共に生産量見通しを上方修正し、供給増がほぼ期末在庫増に繋がる形となった。生産量増加は単収の上方修正によるところが大きく、全小麦生産量は前月推定から+133百万ブッシェル増の2,008百万ブッシェルとなった。需要面での若干の見直しもあったが期末在庫は+98百万ブッシェル増で在庫率(在庫÷需要)が再び40%を超えた。
世界需給では米国に加え、カナダ(+1百万トン)、アルゼンチン(+0.5百万トン)などの増産が見込まれ、グローバルでの期末在庫は+4.97百万トン増の257.24百万トンが見込まれた。
出所:CBOT
◆数字上需給が若干引き締まるトウモロコシ、現実には?
トウモロコシの需給見通しであるが、旧穀で需要増を上方修正し、結果、期末在庫を前月比▲145百万ブッシェル減の1,877百万ブッシェルとした。言い換えると新穀の期初在庫が下方修正される形である。6月1日現在の在庫報告から逆算すると6-8月で3,116百万ブッシェルの消費を見込んだ形であるが、やや需要を過大に見ている可能性はある。
一方新穀は作付面積が意向面積から増加した分が反映され、生産量は+240百万ブッシェル増の15,100百万ブッシェルとした。増産分は期初在庫の減少、飼料需要、輸出需要増(合計で+100百万ブッシェル)と相殺される形で、結果、期末在庫は前月比微減(▲5百万ブッシェル)の2,097百万ブッシェルとなった。新穀の穀物年度は始まっていない現段階で需要予測の上方修正は、供給増加に伴い価格が下落し、価格下落が需要を押し上げることを想定したものである。
世界の新穀需給は米国の増産見通しが反映された以外は微修正に留まっている。
出所:CBOT
◆サプライズのなかった大豆需給
大豆は旧穀、新穀共に需要面で数字の修正はなく、旧穀で輸入量の下方修正、新穀で作付面積減から生産量の下方修正が行われ、結果として新穀期末在庫は▲20百万ブッシェル減の435百万ブッシェルとした。
世界需給はトウモロコシ同様に米国の生産量見通しを修正した以外は大きな修正はなく、引き続き南米三国の輸出量合計は117.3百万トン、65%のシェアとなっている。中国の輸入見通しは109百万トンで据え置かれた。
出所:CBOT
◆今後の相場展開〜Crop in made?
冒頭で指摘の通り、今月の需給報告は実際の作付面積を使う事で、前月までの(作付け意向)×(理論的単収)から少し現実に近い数字となった。あとは実際の単収をどう見るかであるが、来月以降のレポートでは実サーベイを元に単収を推定するので一層実態に近づく。今月まで使われている単収は右肩上がりのトレンドが前提であり、受粉期を含め理想的な天候推移が必要なレベル。翻って足元を見ると、今年の天候推移、それを反映した大豆、トウモロコシの作柄は共に優良/良の割合から推測するに豊作が視野に入って来ている。
投機筋は生育初期より本年の傾向を先取りしており、そのシナリオが現実的となりつつある。トウモロコシの受粉は概ね成功で終了しそうであり、大豆の開花〜受粉もまだ数週間の天候リスクは内在するものの、今のところ良好と判断できる。
引き続き7月後半〜8月も天候が重要なファクターとはなるが、現時点では市場参加者間では既に勝負あり(=豊作)が前提となっていると考えられる。
投機筋の売り越しが積みあがる環境下では短期的にはショートカバーのタイミング探しが焦点となろう。中長期的には見方は変わらず、今後発生確率の高いラニーニャ起因による南半球の春先の天候異変が鍵であり、価格上昇リスクは常に内在している。
出所:CBOT、CFTC
※穀物価格指数は2022年1月の水準を100として、トウモロコシ・大豆・小麦価格を指数化して単純平均したもの。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 檜垣 元一郎
1982年国際基督教大学教養学部卒。住友商事株式会社入社。1985年より穀物・油糧種子現物・先物取引に従事。2001年からはコモディティビジネス部で幅広い商品の価格リスク制御の提案業務を担当。
その後、香港投資子会社、ベルギーの現地法人の社長を歴任した後、2024年マーケット・リスク・アドバイザリーフェローに就任。
専門分野は農産物全般市場分析、排出権市場分析、商品デリバティブ取引全般。
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