投資情報部　鈴木　英之

「SBI証券ではじめてお取引された銘柄人気ランキング」（現物）では、ネットで取引をする投資家になじみの深いネット企業や、株主還元（配当・株主優待等）に積極的な企業が上位にランクされる傾向があります。9月のトップ企業はオリックス（8591）で、第2位が三菱UFJフィナシャル・グループ（8306）、第3位がKDDI（9433）、第4位がソフトバンク（9434）、第5位は日本航空（9201）でした。第1位と第5位は株主優待で投資家に人気の銘柄であり、第2〜第4位は予想配当利回りが高い会社で、いずれも9月に確定する権利を取りにゆく動きが本格化したとみられます。

「SBI証券ではじめてお取引」の投資家の方の多くは株式投資初心者で、配当や株主優待はわかりやすい魅力であり、上記のように知名度の高い企業であれば、安心感も強いと思われます。現状、日本株は配当利回りから考えて割安感も強く、株主優待や配当を「入り口」とする投資も十分検討に値すると考えられます。

ただ、株価変動のある株式投資であることに変わりはなく、業績や株価の位置、売買タイミングには気を付けたい所です。権利・配当落ち後には株価が下がりやすくなる時期もあり、そうしたことへの理解も必要だと思います。

「SBI証券ではじめてお取引された銘柄人気ランキング」（信用）では、第1位はソフトバンク（9434）でした。権利落ち後の値下がりリスクを回避して高配当利回りの権利を取りに行く手段として「つなぎ売り」があります。同社株についても9月に入り信用売り残が増えていますが、つなぎ売りの利用が中心とみられます。第2位は、チェンジ（3962）で8月下旬以降、信用買い残の急速な増加が観測されました。株価は8月末に7,420円でしたが、9月28日には12,780円まで上昇するなど、人気が継続しました。ＩＴで経営課題解決を目ざす企業でDX関連株の中核的銘柄とみなされているようです。菅新首相がデジタル庁の創設を決めたことが追い風になりました。

「SBI証券の売買代金ランキング」（2020年9月）は売り・買いともに第1位ＮＥＸＴ　ＦＵＮＤＳ　日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 （1570）、第2位にソフトバンク・グループ（9984）、第3位に任天堂（7974）となりました。先月と同じ順位であり、傾向に変化はなかったことになります。

「SBI証券のETF/ETN人気ランキング」では、第1位にＮＥＸＴ　ＦＵＮＤＳ　日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信（1357）が、第2位にＮＥＸＴ　ＦＵＮＤＳ　日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信（1570）がランクインされ、先月と同じ顔ぶれになっています。9月の日経平均株価は高値でもみ合う展開になっており、逆張り指向の個人投資家が「そろそろ相場は高値圏」との見通しのもとに動いた結果と考えられます。なお、9月はじめに原油先物相場が急速に押し目を形成したことを背景に、原油価格に絡んだETFが軒並み上位になりました。

「SBI証券のREIT人気ランキング」には第1位がインヴィンシブル投資法人　投資証券（8963）、第2位がジャパン・ホテル・リート投資法人　投資証券 （8985）などとなっており、主にホテルに投資するREITが人気になりました。なお、投資法人みらい　投資証券 （3476）もコアアセットの中にホテルがあります。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、ホテル業界は大きな打撃を受けていますが、政府のGo　To　トラベルキャンペーンなど、政策対応が進み、業績底入れへの期待が高まっています。10月からは同キャンペーンに東京発着が含まれるため、業績改善に拍車がかかることも期待されました。