投資調査部　鈴木　英之

2013年3月末の日経平均株価は12,397円91銭となり、前月比7.25％の上昇となりました。量的緩和に積極的とみられる黒田新日銀総裁が15日に正式承認され、引き続き、脱デフレや円安に対する期待が継続しました。また、日本株に対する週間ベースの海外投資家による買い越し額が史上最高を記録するなど、グローバル市場での日本株の見直しも続きました。ただ、イタリアやキプロスなど欧州債務国問題が再燃し、ユーロが月間でも下落するなど、波乱の場面もみられました。それでも、2013年3月終値としては、2008年8月以来の高水準に回復しました。

2013年3月のランキングで売買代金と信用取引の買い・売りの両面で人気トップとなったのはソニー（6758）でした。我が国を代表する企業のひとつで、「アベノミクス」効果で円安がさらに進めば業績改善が期待されてますし、連結PBR（株価純資産倍率）がいまだ1倍を割れており、出遅れ銘柄とみられていることも人気の理由と考えられます。
また、金融緩和の追い風を受ける銀行株も引き続き人気で、メガバンクは一様に物色されました。中でも、最低売買金額が最も低いみずほフィナンシャルグループ（8411）が人気を集めていました。
個別には、ボーイング787の電池火災発生・運行停止に関し、3月12日に米連邦航空局（FAA）より同機の試験運行が許可されたとのニュースで、ＡＮＡホールディングス（9202）が物色されたもようです。また、初めて取引するお客様に人気のあった銘柄では、普段はあまりランクインしない銘柄としてスターバックス（2712）があげられます。安倍首相は産業界に賃上げを要請していますが、その恩恵が期待できる外食株として物色されたもようです。いずれも、3月末権利確定となる銘柄で、株主優待が個人投資家に人気のある銘柄だったことも大きな要因でしょう。

2013年4月以降も引き続き堅調な相場が続くと見られます。黒田新体制下における初の日銀金融政策決定会合の結果を受け金融緩和の方向性が確認されれば、さらに上値を追う展開になる可能性もあります。ただ、不動産株や土地持ち企業を中心に、金融緩和によるデフレの克服を相当織り込んでいる面もあるだけに、高値波乱の動きには注意したいところです。また、下旬以降は、2012年度決算の発表も本格化してくるため、個別企業の業績にも注意しておく必要がありそうです。